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知らなきゃ損!?驚きの中国ボーナス事情

毎年12月になると中国でも大きく話題になるのはボーナスに関するニュース。日本とは違い、現物支給なども多い点です。通常の現金支給の他、買物プリペイドカード、お酒などを含む飲料、交通カード、ガソリンカードなども一般的で、中には少数ながら自動車や家を支給される例もあります。

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  なかでも、ここ数日話題をさらっているのは『一汽大衆』(フォルクスワーゲンやアウディの生産販売企業)のボーナス額『平均27ヶ月支給』のニュースです。様々なサイトや微博などのSNSでも大きな話題となっています。これは同本社が位置する長春の社内イントラで掲載されているパワーポイント資料が流出してしまい、各所に知れることになったもので、新聞記者が実際に確認を取ったところ、同社も否定しなかったため、さらに情報が広まる結果となりました。同社は前年の販売利益に応じて翌年のボーナスを決めるわけですが、前年の売上が一昨年前の22%増とたいへん好調だったことからこのような数字になったとのこと。またボーナス以外にも毎月の基本給与が2倍となった月が1年のうち5~8ヶ月にもなったそうです。

  ただしあくまでも基本給与をベースとして算出する為額はある程度押さえられ、正社員の工員で年間所得が8~10万元(≒96万円~120万円)に押さえられると同本社は強調しています。しかし物価上昇中の中国とはいえ、平均給与も高待遇です。私自身、微博に記載されている内容をチェックしてみましたが、“羨慕嫉〓恨”(恨めしいほどうらやましい・・・〓は女へんに戸)や“聳人听聞”(誰もが驚きを持って聞く)などのキーワードが飛び交い、本件を語ることがちょっとしたブームになっていました。

  なお、現在好調な金融保険業、不動産管理会社、エネルギー産業は更に厚遇でボーナスを含めると年間50万元~百万元(≒600万円~1200万円)の給与を手にする一般社員も増えています。また国営企業、外資系企業、合弁企業のほとんどはボーナスが支給されますが、より競争にさらされている一般中国民間企業の場合はボーナス支給が無い企業もあったりと、日本よりもよりシビアな社会です。

  この時期、ボーナス額がこんなにも話題になるのは中国の就業事情にあるようです。あまりにも過保護な日本社会と違い、シビアな競争社会を生き抜かなければならない中国では自分自身でキャリアアップを重ねる必要があります。そして、ボーナス額が明らかになるこの12月に活発になるのが転職です。元々28歳までの転職率が70%以上に達する事実からも分かるように、中国は『跳槽(転職)』しながら自分の価値を高めて行く欧米式に近い概念があります。よって12月には厚待遇を求める優秀な人材が流出することもあり、ヘッドハンティング含め人材派遣企業には企業人事部、求職者ともに問い合わせが殺到します。そこで企業はボーナス額を敢えてリークして優秀な人材に会社の魅力を訴える例もあるようです。

  中国における、このような雇用事情を良く把握していないのは、実は日系企業です。例えば、中国企業や欧米企業は新卒者を積極的に雇用しません。それは折角ノウハウを教示し教え込んでも早いうちに転職されることが分かっているからです。しかしながら未だ『新卒神話』にとらわれている日本企業のみが日本国内の就職概念をそのまま中国に持ち込み、結果として職員のスキルアップの場として捉えられてしまうことも。中国企業や欧米企業からは、日系企業のこの風潮はかえって有り難いとされ、優秀人材の転職前のトレーニングの場となってしまっています。

  また日系企業は最も活躍する中間層の確保も苦手です。一例を挙げると、ある日系アパレル企業がマーケティング責任者として35歳前後の女性の雇用を考えていました。人材会社に相談したところ、同業種に従事している優秀な人材を対象にしてボーナス額が明らかになる12月にヘッドハンティングをすることを勧められたそうです。このとき用意した条件は年間手取り600万円。それは日本国内の従業員規定に合わせた算出方法で、同年代の同職責と比較しての提示でした。しかしながら欧米の競合が提示したのは年間手取り500万円+出来高払い。このとき対象者が選んだのは欧米企業でした。結果として、成果を上げて年間の手取りが1200万円程度になったそうです。シビアな社会で生きて行くことに慣れている中国の優秀な人材は、結果を出すことを求め日々真剣に考えます。そして実際に会社に大きな利益をもたらすことが多々あります。日系企業の給与提示では結果を出しても出さなくても同じ。それでは中国市場では業績向上にはつながりづらいところもあります。

  日系企業も過剰な人数の邦人を現地に派遣し、高い給与や高額な住居家賃などのコストを負担しているのであれば、人事を見直し現地に派遣する邦人を厳選した上で、その分中国の優秀な人材を正しく雇用することに注力をすべきかも知れませんね。(執筆者:秋葉良和・A-commerce 編集担当:サーチナ・メディア事業部)

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