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【読書感想】フェイクニュースの見分け方

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 ここで大胆な法則をお話しよう。証拠となる事実の提示がない「オピニオン」(意見)は全部捨ててかまわない。

 ファクトの裏付けがないオピニオンが社会にとって重要なことはほとんどない。あっても、それは例外的なことだと考えてよい。

 私の報道記者としての経験で言う。新聞者にいたころでも、ニュース週刊誌にいたころでも「ニュースにしてくれ」という情報提供のファクスや手紙、メールは毎日、開封が面倒くさくなるほど来た。フリーになった今でも、公開メールアドレスにそうした連絡が多数来る。しかし、私は記者になって30年間ずっと「匿名の人から来た情報は、確認できるまで事実とは関係ない」ことにしている。つまり「匿名情報は信用しない」が原則である。ネットであれ新聞・テレビ・書籍といった旧メディアであれ、発信者が誰かわからない情報は捨ててかまわない。ファクトとしての信用度が低いからである。

 著者は自らの経験での「例外」を紹介していますし、「パナマ文書」のような、匿名での告発からはじまった大スクープもあるので、職業記者としては、全部切り捨てるわけにはいかないのでしょうけど、一般的な情報の受け手は「匿名情報は信用しない」のが無難なはずです。

 また、「主語が明示されていない文章は疑え」とも仰っています。

 ああ、僕もけっこう書くなあ、「主語のない文章」。気を付けなければ。

 そうやって、自分(の意見)を重要にみせたくなるんですよね。

 実はネットの世界でも、情報の正確さに注意深い組織は同じである。

「Yahoo! ニュース」は政治・経済・社会など非エンタテインメント系のニュースでは「ウィキペディア」や「NAVERまとめ」を参考情報のリンクに張っていない。誰が書いているかわからないからである。私個人も、日本語版ウィキペディアやNAVERまとめはまったく信用していない。もちろん、自分の書いた記事に「事実」として引用することはない。

 「(ニュース)ソースを出せ!」というのは、ネットで他者が提示する「事実」に疑念を持った人がよく使う言葉なのですが。そのソースの有無と同時に、ソースは信頼できるメディアや人か、というのが大事なんですよね。

 そういう点では、新聞社や通信社などの既成の大メディアは、なんのかんの言っても「ウィキペディアより信頼性は高い」のでしょう。

 この新書の特長は、そういう「明確なウソを見分ける」方法の紹介にとどまってはいないところです。

 新聞、テレビ、ネット記事が共通して持つ特徴があるのだ。それは「確かにその記事はウソは書いていない。しかし『本当のこと』も言っていない」である。

 次の記事を例として見てみよう。2014年3月20日付共同通信社電である。

「福島のワタムシに形態異常 回復の兆しも 北大調査」という記事は、福島第一原発の北約32キロにある川俣町山木屋地区で採取したアブラムシの仲間「ワタムシ」に、高い確率で異常が確認されていたことがわかった、というものだ。

 ワタムシは体長約3~4ミリで羽があり、複数の植物に寄生するのが特徴。

 2012年6月、山木屋地区で、原発事故後初めての交配により、木の枝でふ化した『オオヨスジワタムシ』を採取。死骸を含む167匹のうち、13.2%に脚が壊死するなどの異常があった」(一部略)

 福島第一原発事故のその後の関心のひとつは、広範囲にばらまかれた放射性物質が、生態系にどんな影響を与えるのか、ということだ。低線量の放射性物質が広く環境に拡散するという事故そのものが、人類史上数回しか起きていないので、未知の部分が多い。特に、生物の遺伝子に長期的にどんな影響を与えるのかが注目されている。

 記事にある地区は同原発から流れでた高濃度のブルームが通った場所であり、その後も高い空間線量が観測されていた。そこで13.2%の形態異常、つまり「奇形」が見つかったという。最初この記事を見たとき私は「すわ、放射能の影響で奇形が!」とびっくりした。しかし、最後まで読んで「何だ」と思った。「13.2%」という奇形発生率が自然発生率より多いのか少ないのか、書いていなかったからだ。

「形態異常」は原発事故がなくても、自然に何%かは発生する。「13.2%」はその自然発生率より高いのか、低いのか、記事ではそれがわからないのだ。

 たしかに、この記事には「事実」が書かれているし、「ウソ」もない。

 でも、読んだ人は、「放射能の影響で、こんなに奇形が発生するのか……」と感じるのではないでしょうか。

 文字数の制限で、そこまで詳しく書けなかった、というような事情があるのかもしれませんが、「事実」も、伝え方で、受け手をミスリードすることができることが少なくないのです。

 また、ある人物がバッシングされているときには「過去にやった悪事」ばかりが採りあげられ、賞賛される際には、「立派な人エピソード」ばかりが出てくる、という事例も紹介されています。

 けっして、「良い面」ばかりではないのが、人間なのに。

 フェイクニュースを見破ることの難しさと同時に、ネットの普及は、価値のない情報ばかりを世の中にばらまくことにしかなっていないのではないか、と考えさせられます。

 真偽はさておき、面白ければいい、というのも、ひとつの向き合い方ではあるのでしょうけど。

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