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佐川証人vs籠池証人。どちらかが偽証だ

 

 森友学園の土地取引をめぐる決裁文書の改ざん問題で、衆参両院で佐川宣寿前国税庁長官の証人喚問が行われました。一年前には籠池泰典森友学園理事長(当時)も証人喚問されています。証人喚問における陳述には、決定的な重みがあります。偽証が罪に問われるからです。

虚偽の事実を陳述した場合、議院証言法により偽証罪で告発されるおそれがあります。法定刑は「3月以上10年以下の懲役」です。最高刑が10年以下の懲役というのは、窃盗、詐欺、業務上横領、強制わいせつ、建造物等以外放火、拳銃や覚醒剤の所持…等々に匹敵します。それだけ重い罪とみなされているわけです。

そして今回、佐川氏の陳述の中に、籠池氏の証人喚問における陳述と完全に食い違う部分がありました。それは、「籠池氏が昨年2月、代理人である酒井弁護士を通じて、佐川局長の部下である財務省理財局の嶋田課長補佐から、しばらく身を隠すよう指示された」とされる部分です。

付け加えれば、この「身を隠せ」という指示の重みは、一年前と今ではまったく違います。一年前は単に「ほとぼりが冷めるまでマスコミから身を隠せ」という意味に受け取れなくもありません。しかし、決裁文書の改ざんが明らかになった今になれば、これが「文書改ざんと一体をなす組織的隠蔽行為」であった疑いがあるからです。

以下、衆議院における希望の党・今井雅人議員と佐川証人とのやり取りです。

今井委員「籠池さんが、2月17日に例の総理の答弁があった後、理財局のS課長補佐さんが籠池さんに身を隠してくださいと弁護士を通じて連絡をしたと言っていますが、これは事実でしょうか」

佐川証人「その件は昨年も国会で何度も聞かれまして、その後、その弁護士の方がマスコミに紙を発表されて、私自身、佐川と面識もないし、連絡もとったこともないし、その他の財務省の職員にそういうことを言われていないという発表をしていたということでございますし、私自身全くそういうことをしておりません」

今井委員「そのSさんっていう人に事実関係に確認されました?」

佐川証人「それはもう先方の弁護士さんも、そう、弁護士さんですね、弁護士さんもそうおっしゃり、当のその補佐もそういうふうにいっております」

今井委員「良くわからなかったんですけど、その当事者に確認したんですか」

佐川証人「私の下にいた部下でございますので、確認しております」

一方、以下は一年前の証人喚問における、籠池氏の参議院での冒頭証言です。

籠池証人「財務省の佐川理財局長の命として部下の嶋田さんが十日間隠れていてと顧問弁護士の酒井先生から申し伝えられましたことも、そのときは何でだろうと不思議に思っておりました。

平成二十九年三月十五日になって、もうこれ以上関わることはできないと、突然、顧問弁護士辞任のお申出をいただきましたが、私には何があったのか理解できません」

加えて、参議院での福山哲郎委員(当時民進、現立憲民主)とのやり取りです。

福山委員「問題発覚後も近畿財務局といろんなやり取りをされたんでしょうか。その中の一環がいわゆる十日間隠れるという話なのか。その中の一環だとしたら、それは直接籠池証人がやられているのか。どなたがそういうやり取りを近畿財務局とやられているのか。お答えいただけますか」

籠池証人「近畿財務局とあの一件がありましてからもやり取りをしておりました。私もありましたし、当時の顧問弁護士であった方もしておりました。はい。十日間云々ということにつきましては、当時顧問弁護士でありました酒井先生がされておりました」

福山委員「その酒井、もう辞められた方が、いわゆる近畿財務局というか、嶋田さんでしたっけ、さっき出たかな、嶋田さんから言われたと言われたわけですか」

籠池証人「財務省の嶋田さんから言われたということであります」

これに関しては、著述家の菅野完氏が「ハーバービジネスオンライン」に3月18日、『政権の「佐川主犯」物語に終止符!一年前のある発言から明らかになる「綻び」』と題する興味深い記事を寄稿しています。以下、一部を引用します。

『酒井弁護士が迂闊だったのは、酒井氏の言う「2017年3月15日午後4時30分」、籠池氏の隣に、私と私のスタッフと扶桑社の担当編集が座っていたことを想起しえなかったことだろう。

我々は「2017年3月15日午後4時30分」に酒井弁護士から籠池氏にかかってきた電話の内容をつぶさに聞いている。酒井弁護士が電話で「佐川理財局長本人からの指示じゃないって言ったでしょ。佐川さんの部下のシマダさんからの指示だと言ったでしょ」と発言したのをしっかりと聞いている。繰り返すが、その発言を聞いたのは私だけではない。私のスタッフ、扶桑社編集部員も同時に聞いている。』

(興味のある方は「ハーバービジネスオンライン」で全文を読めます。https://hbol.jp/162275

 佐川、籠池両証人の発言は、もはや正反対と言っていいでしょう。どちらかが事実だとすれば、どちらかが偽証である疑いが強い。証人喚問における偽証は、最高懲役10年の犯罪であり、単に「藪の中」で片付けるわけにはいかないはずです。国会には、二つの証言の真偽を明らかにする義務があります。

明白な「偽証」の疑いが浮上し、犯罪である「虚偽公文書等作成」との関連性が疑われる以上、まずは当時の理財局課長補佐・嶋田氏と、籠池氏の代理人だった酒井弁護士から話を聞くことが必要です。

安倍昭恵首相夫人の証人喚問は与党にとって受け入れがたいものでしょうが、与党が「財務省主犯説」を取り、安倍総理本人まで「膿を出していく」と明言している以上、嶋田氏や酒井弁護士を国会に呼ぶことについて、与党にも反対する理由が一切ないはずです。理屈からいえば、むしろ与党側から積極的な提案があっても良いくらいです。

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