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「負けない努力」と「どこにチャンスを残して負けるか」

 このお正月に内藤さんのブログで紹介されていた落合博満著「采配」画像を見る を読みました。中日ドラゴンズの監督就任期間8年でリーグ優勝4回、日本一1回。時に「オレ流采配」と批判されながらも、「文句なしの結果」を残した落合監督の言葉には、いずれも黙って頷いてしまうものが多いです。

 この著書の中で示された66の金言の中で、私が最も印象に残ったのは、「負けない努力が勝ちにつながる」、「連戦連勝を目指すより、どこにチャンスを残して負けるか」という一見矛盾するような2つの言葉でした。
 野球の場合、個々の試合の中で勝率を少しでも高めるためにもっとも計算できるのは、打撃力よりも投手力であり、勝てない時こそ相手を0点に抑える「負けない努力」が最も必要であると落合氏は説いています。その意味で、「先発投手が1点に抑えて完投しても、試合に負けたのであれば、それは彼が仕事をしたことには決してならない」となかなか手厳しいです。
 一方で、野球人たる者の最終目標は、常にペナントレースという長期戦を戦いぬいた後に獲得する優勝にあります。ここで重要なのは、優勝チームでも年に50回は負けるという事実であり、「いかに連敗をしないか、0対10の大敗をした次の戦いを自分のものにするか」というところに監督の真価が問われることとなります。落合氏は、負け試合は割り切って次戦にチャンスを残すために戦力を温存する(勝負所を間違えない)戦い方の重要性を同時に説いています。
 つまり、指揮官たる者、「ペナントレースを勝ちにいく」という結果にこだわるのであれば、個々の戦で少しでも負けない確率を上げていく「局所的な視点でのディフェンシブ思考」と、長期的な目標を見越し、どこで負けて(リスクをとって)どこで勝つか(成果を得るか)という「大局的な視点でのリスクマネジメント思考」の双方を磨かなくてはならないということなのでしょう。

 ここからは完全な私見ですが、毎月の収入が最低限保証されている(私を含めた)会社勤めの使用人は、「負けない確率を上げる」というディフェンシブ思考にはなじみがあっても、「どこで負けてどこで勝つか」というリスクマネジメント思考にはどうしても疎くなってしまうのではないでしょうか。
 仮に「組織に依存しなくても生きていけるプロフェッショナル」を究極の目標とするのであれば、後者のリスクマネジメント思考はできるだけ若いうちから意識して身につける必要がありそうです。
 最も手っ取り早いのは、自分があげた成果が収入に直結する独立自営業者として早いところ生活してみることなのでしょうが、これではリスクが大きすぎる気もします。そこで代替手段として、若いうちから個別株などのリスク資産で自己資金を運用してみるということも、このリスクマネジメント思考を鍛える上では有効なのではないでしょうか。

 最後は落合氏の著書からだいぶ離れて「投資奨励」となってしまいましたが、この著作は「超一流野球人の経験を素材に腕の良い編集者とライターさんの手で、ビジネスマン向けにうまく料理された逸品」と言えそうです。皆さんもいかがでしょうか。

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