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東京都迷惑防止条例、審議はたったの1時間。これでいいのか?

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こんにちは。東京都議会議員(大田区選出)のやながせ裕文です。話題の「迷惑防止条例」の議決が29日と迫ってきた。遅ればせながら、私の見解を述べたいと思います。

結論から申し上げると、現状の審議では、あまりにも不十分であり、「継続審議」を求めたい。ですが、実質上この「継続審議」はあり得ないので、賛否を問われる現時点では「賛成できない」と考えます。

長文になるので、以下簡潔に理由を3点述べておきます。

①条例が「憲法違反ではないか?」という疑義が晴れていない

②なぜ、この条例が必要か(立法事実)の検討が不十分

③都議会は、都民の疑問を解消するだけの質疑をしていない

さて、今回の改正案は「盗撮を規制する場所の拡大」と「つきまとい行為の規制強化」が柱となっている。盗撮規制は、スマートフォンの普及等で、現行条例では対応できない場所を規制しようとするもので、評価できる。問題とされているのは「つきまとい行為の規制強化」だ。

今回改正される「つきまとい行為」に関する規制は、2002年に改正案で追加が提案されたが、都議会が反発し削除となった。その翌年、要件を厳格化して成立した経緯がある。つまり、一度は全ての会派で廃案にまで追い込んだことがある「事情のある案件」という認識が必要だ。

では、この「つきまとい行為」のどこが問題なのか?

1.憲法違反の疑義は晴れたのか?

条例反対派からは「憲法94条違反だ!」との指摘がある。94条では、条例は「法律の範囲内」で制定できると定めている。この「迷惑防止条例」が法律の範囲を超えているという主張だ。

例えば、今回の条例改正で規制される内容として「名誉を害する事項を告げること」が追加されている。正当な理由なく悪意をもって反復して「名誉を害する事項」のメール等を特定人物に送付するなどし、送られた側が不安を覚えれば、取締りの対象となるもの。警視庁は以下の例を示している。

 仕事で研修会や会議に参加する度、自宅に「仕事も不倫もやりたい放題」などと書かれた手紙が送られてきたもの

この例示は深刻さが感じられず、あまり適切ではない気がするが、問題は別。これまで、このような行為は規制の対象とならなかった。名誉毀損にはならないし、ストーカー規制法では「恋愛感情」が必要だ。つまり、これまでの法律の規制範囲を超えているのではないかという疑義である。法律でも取り締まらないことを、条例で取り締まるのは憲法違反だという主張だ。

では、条例が法律の範囲を超えているか?憲法94条違反かどうか?はどうやって判断するのか。

これは「徳島市公安条例事件」という有名な判例があって、判断基準が示されている。 そのなかでは、問題となる法令と条例の両者の趣旨等に照らして具体的に判断する必要があることを明らかにしている。そして、 矛盾抵触があるかの判断基準として、同判例は以下の3要件を挙げる。

 ①ある事項について国の法令中にこれを規律する明文の規定がない場合でも、当該法令全体からみて、右規定の欠如が特に当該事項についていかなる規制をも施すことなく放置すべきものとする趣旨であると解されるときは、これについて規律を設ける条例の規定は国の法令に違反することとなりうる。

②特定事項についてこれを規律する国の法令と条例とが併存する場合でも、後者が前者とは別の目的に基づく規律を意図するものであり、その適用によって前者の規定の意図する目的と効果をなんら阻害することがないときは、国の法令と条例との間にはなんらの矛盾牴触はなく、条例が国の法令に違反する問題は生じえない。

③両者が同一の目的に出たものであっても、国の法令が必ずしもその規定によって全国的に一律に同一内容の規制を施す趣旨ではなく、それぞれの普通地方公共団体において、その地方の実情に応じて、別段の規制を施すことを容認する趣旨であると解されるときは、国の法令と条例との間にはなんらの矛盾牴触はなく、条例が国の法令に違反する問題は生じえない。

これをわかりやすく単純化すると、こんな感じ。

①法律で「放置」すると考えているのに、そこに条例で規制したら違憲

②法律と条例が同じような内容でも、別目的であり、法律の効果を邪魔しないなら合憲

③法律と条例が同じような内容で、同じ目的であっても、地方の実情に併せた差異を容認する趣旨なら合憲

ということとなる。では、提案者である東京都はどのように考えているのか。都議会の質疑では自民党議員から94条との関連を問われて、警視庁は以下のように答えている。

憲法94条との関係については、判例において、条例が法令とは別の目的の規律を意図している場合のほか、同一の目的であっても、法令が実情に応じた別段の規制を容認する趣旨である場合、条例は法令に抵触しない旨、判示されているものと承知しており、今般の条例改正はこれを侵害するものではないと考えております。

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これは、判例の判断基準②と③を述べただけで、迷惑防止条例が具体的にどのような法律とどう関連するのか全く答えていない。この質疑は、追っかけの質問もなく、このテーマではなぜか共産党も質疑なし。警視庁が「合憲だ」と考えていることはわかるが、その根拠は明示されていない。

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