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消費税増税は貧困激増させ年間自殺者5万人超まねく-今でも世界最悪の日本の税・社会保障

 政府・与党による社会保障改革本部が1月6日、消費税率を2014年4月に8%、2015年10月に10%へ引き上げることを柱とする「社会保障と税の一体改革」の素案を正式決定しました。


 ジャーナリストの斎藤貴男さんは、「消費税増税なら『失業率10%、年間自殺者5万人超』」(「東京新聞」2010年7月30日付)と警鐘を鳴らしています。このすくらむブログでも「自殺の急増を招いた消費税増税」 の中で同様の指摘をしています。


   ▼消費税そのものの逆進性はもとより

    消費税率10%で税負担全体の「累進制」も失われる


 上の表は、「所得10分位階級別にみた消費税負担率」で、元専修大学教授で社会保障問題研究者の唐鎌直義さんが作成したものです。(2011年11月5日開催の日本科学者会議主催シンポジウム「今日の貧困と3.11後の社会保障」講演レジュメから転載)



 上のグラフは、唐鎌さん作成の表から所得階級の一番上と下を比較したものです。一目瞭然ですが、消費税は低所得世帯に高所得世帯の2倍以上もの負担を強います。驚くのは、年収280万円世帯の現行消費税率5%の負担率4.04%が、年収1,437万円世帯の消費税率10%の負担率3.81%よりもさらに高いということです。いかに消費税が低所得世帯に大きな負担をさせるものであるかが分かります。


 もう一度、最初に紹介した上の表を見ていただきたいのですが、表の一番右端の「税負担率」(消費税と直接税の合計の負担率)ですが、消費税率5%の「税負担率」は「累進制」がわずかに残っていますが(それでも年収280万円世帯が年収537万円世帯の税負担率より高いという異常な実態にありますが)、消費税率10%になると(表の一番右列)、ほとんど「累進制」は失われ、年収280万円世帯の「税負担率」はなんと年収768万円世帯より高くなってしまっています。


   ▼税と社会保障による相対的貧困率の改善効果(2006)
   【(出所)OECD Economic Surverys Japan 2006.7】


 現行の消費税率5%においても、上のグラフにあるように、税と社会保障による貧困改善効果は、OECD17カ国平均9.8%に対して、日本は3分の1以下の3.0%と最低です。


 これを受けて、OECDは、日本経済の審査報告書(2006年)の中で、①日本は税・社会保障による貧困率の改善効果が他のOECD諸国と比べると大変小さい(上のグラフ)、②日本は勤労者世帯への公的社会支出が少なく、社会保障の給付が低所得世帯に集中していない、③日本の貧困世帯は、他のOECD諸国に比べて、税・社会保障の移転は小さな割合しか受け取っていないのに、高い税負担を担っている。所得階層を5つに分けた所得5分位における最下位の階層(最も低所得の階層)が支払った直接税を見ると、直接税全体に占める比率が、OECD平均は4%であるのに、日本では7.4%である(下のグラフ)と指摘されています。


    現行でも日本は低所得者に高い税負担を負わせている
    ▼所得5分位最下層の直接税負担率
    【OECD Economic Surverys Japan 2006.7】


 現行でも日本の税や社会保障は、世界でもっとも貧困者を苦しめるものなのに、消費税増税を強行してしまうと、これをさらに加速させ、アメリカの貧困率を日本は確実に上回り、斎藤貴男さんが指摘する「年間自殺者5万人超」の危険性が高くなると思います。


(byノックオン。ツイッターアカウントはanti_poverty)

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