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月額9800円の洋服借り放題がウケる理由

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月額制ファッションレンタル「airCloset(エアークローゼット)」が働く女性を中心に人気を集めている。サービス開始2年で会員数は15万人を突破した。人気のサービスは、一体どのように生まれたのか――。

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■アイルランドの高校を選んだ理由

【田原】天沼さんは千葉のご出身ですね。でも高校はアイルランド。ご両親の転勤か何かですか?

【天沼】いえ、父は日本で開業医をしていました。私が海外に興味を持ち始めたのは、父の患者さんにキリスト教の宣教師の方がいて、小学生のころにクリスマスパーティーに招かれてから。日本人にとって年末年始の最大のイベントはお正月ですが、欧米の人たちはむしろクリスマスを大事にしている。そうした違いに気づいて、海外の文化をもっと知りたくなりました。その思いがさらに膨らんだのは、中1の夏休みに参加したヨーロッパでの語学研修。当時の私には衝撃的なシーンを見てしまいまして。

【田原】何を見たんですか?

【天沼】イギリスの電車の中で、男性同士が抱き合っていたのを見たのです。いまと違い、当時の日本ではオープンな場所で抱擁する男性同士のカップルはいませんでした。世界は面白いなと直感的に感じて、親に高校は単身で海外に行かせてくれと頼みました。

【田原】ご両親はすんなりオーケーしてくれたんですか。

【天沼】両親よりも、祖父に反対されました。祖父は海外経験が豊富で賛成してくれると思ったのですが、知っているだけに「危ないからダメだ」と。ならば現地校ではなく、日本の学校の全寮制の海外分校ならどうかと頼み込んで、なんとかオーケーをもらいました。

【田原】その分校がアイルランド?

【天沼】選択肢はいくつかありましたが、英語圏がよかったことと、都市化されていないところのほうが文化を学べるかなと思って、アイルランドを選びました。

■コンサル会社から楽天へ転職した後、起業

【田原】大学はそのままロンドンにいく。日本よりよかった?

【天沼】高校は全寮制だったので、外で文化に触れる機会は少なかったんです。現地で1人暮らしをして生活に溶け込んだときに、自分がどう感じるのかを知りたくてイギリスに移りました。最初の1年はドーバー海峡の近くにいて、あとの3年はロンドン大学で、コンピュータインフォメーションを学びました。コンピュータサイエンスというより、情報をどう取り扱うかといった学問です。

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【田原】大学卒業後の2003年にアビームコンサルティングに入社される。どうしてその会社に?

【天沼】将来、独立してチームで何かやりたいなという思いをずっと持っていました。チームを組んだとき、私は尖ったスペシャリストより、幅広く知見を活かせるジェネラリストになりたかった。広く能力を開発するなら、コンサルティングファームがいいなと。アビームには9年勤めました。前半はITシステムの現場に近いところで経験を積んで、後半は中央省庁や大学、病院といったセクターに向けてシステムや調査のコンサルティングをしていました。

【田原】そして楽天に転職。どうしてですか?

【天沼】アビームで自己成長できた実感はありましたが、起業するにはまだ足りないものが3つあると思っていました。1つ目はグローバルなビジネス経験。将来は世界を舞台に事業をやりたかったのですが、クライアントが中央省庁だと、そうした経験を積みにくい。2つ目は、組織をつくる経験です。それまでやってきた仕事はプロジェクト型で、必ずゴールがあります。そうではなくチームとしての大きな目的に向かって継続的に成長する組織のマネジメントをやってみたかった。

【田原】3つ目は?

【天沼】コンサルティングファームって、上司を含めて全員が同じ“コンサルタント”です。自分で起業したら、チームにはデザイナーやエンジニアなどの幅広い人材が必要になる。多種多様な人たちと一緒に仕事をするなら、事業会社のほうが良いと判断しました。

【田原】楽天では具体的に何を?

【天沼】世界に13あった海外拠点をサポートする組織を立ち上げからやらせてもらいました。たとえばアメリカの子会社の購買率が下がって困っていたとしたら、国内の事例を教えたり、分析官やエンジニアを送り込むといった支援を行います。いわば楽天社内の海外向けコンサルティングファームですね。

■「ファッションレンタル」のアイデアは妻が教えてくれた

【田原】3年後、いよいよ起業する。どうしてファッションレンタルだったのですか?

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【天沼】起業にあたって3つのキーワードを決めていました。1つ目は、いまおっしゃったIT。大学からずっとやってきたことなので、最大限に活用しようと思いました。2つ目は、シェアリングエコノミー。シェアは、人と人との信頼関係がなければ成立しない。その概念がすごく好きなんです。そして3つ目は衣食住。ポッと出て流行っては消えていくサービスより、人々の生活に定着してライフスタイルを支援できる事業をしたかった。その条件を満たすものは何かと、コンサルティングファーム時代の仲間2人とディスカッションして、たどりついたのがファッションレンタルでした。

【田原】レンタルできるものはほかにいろいろあります。なぜ洋服?

【天沼】私や共同創業者の奥さんから、洋服と出合う機会がなくなったという話を聞きました。仕事で毎日忙しくて、お店に行く時間もなければ、ファッション誌をめくる時間もないと。子育てが始まると、小さい子どもを抱っこして試着するのは難しいし、そもそも自分の服より先に子どもの服を見に行くようになる。そういった声を聞いて、私たちが洋服を選んでお届けして、自由に試着してもらえるサービスがあれば、もっと洋服に出合っていただけるのではないかと考えました。

【田原】洋服は買うものだというのが常識です。

【天沼】アメリカでは、「レント・ザ・ランウェイ」というドレスのレンタルサービスが09年に始まっていました。レント・ザ・ランウェイは、いまや会員数が800万人を突破。ファッションのシェアがあたりまえの時代になりつつあります。

【田原】買うより借りる時代ですか。

【天沼】誤解していただきたくないのですが、私たちは、「買う」をすべて「借りる」に置き換えるつもりはありません。実際、お届けした洋服が気に入れば、そのまま購入していただくこともできます。ただ、いまは必ずしもみなさんが質の高い出合いをしているわけではない。たとえばインターネットで買ったけれど、サイズがフィットしなかったとか、色みが想像していたのと違うケースもあるはずです。そういう出合いをできるだけなくして、もっと「ワクワクする洋服との出合い体験」をつくっていくことが私たちの目的です。

【田原】エアークローゼットは、いくらで洋服を借りられるのですか。

【天沼】レギュラープランは月額9800円で借り放題。私たちが選んだ洋服を3点、ボックスに入れてお客様の自宅にお届けします。その洋服を好きなだけ楽しんでいただいて、着終わったら返送。また次のボックスをご用意してお届けする流れです。多い方だと月に4~5回はボックスを交換されます。交換は月1回でいいというお客様には、月額6800円のライトプランもあります。

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