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山岡賢次国家公安委員長の「金融・経済の大津波がやってくる」との警告は正しく要警戒!

◆日本人は、不吉な言葉を「縁起でもない」と忌み嫌う傾向が強い。冠婚葬祭の場では、絶対に口にしてはならない言葉が決められている。たとえば、結婚式のスピーチでは「切れる」「別れる」などという言葉は絶対に使ってはならない。受験シーズンとなれば、受験生を前に「滑る」「落ちる」というのは禁句だ。様々な会合の後の宴会や懇親会を終わるとき、司会者は「これで終わりとします」とは言わない。「これで中締めとします」とか「お開きとします」と言う。新年会ではなおさらだ。

だから、不吉なことや最悪な事態を想定して、物事を考えたり、議論したりしたがらない。いわゆる「リスクマネジメント(危機管理)」は、不得手である。この性癖が、モロに最悪の災いを招いたのが、原発安全神話だった。

福島第1原発の大事故で、原発安全神話は、あっという間にどこかへ吹き飛んだと思いきや、不吉な言葉を嫌う性癖は依然として変わる気配はない。それどころか、ますますひどくなってきている感がある。

山岡賢次国家公安委員長(消費者問題担当相)が、お目出度い新年早々「破綻」とか「大津波」とか不吉な言葉を年頭の訓示で連発したというので顰蹙を買い、マスメディアからも「失言だ」として批判を受けた。

産経新聞msn産経ニュースが1月5日午後5時35分、「『ユーロは破綻する』『金融・経済の大津波』山岡氏、失言連発」という見出しをつけて、以下のように配信した。
「山岡賢次国家公安委員長・消費者問題担当相は5日、内閣府職員への年頭の訓示式で『ユーロは破綻するんじゃないかと内心思っている。そうなると中国のバブルも破裂する可能性がある』と述べた。欧州債務危機の拡大で単一通貨ユーロ圏が崩壊する可能性を指摘したとみられるが、日本を含む関係諸国が危機回避に取り組む中、不適切な発言との批判は免れない。野田佳彦首相は参院で問責を受けた山岡氏をなお擁護しているが、適格性に改めて疑問符がつき、1月下旬召集の通常国会を前に更迭は避けられそうにない。山岡氏はさらに『金融・経済の大津波がやってくる』などと金融・経済危機を3度も『津波』にたとえた。それらの危機に備える際、『政治の混乱が一番良くない』と問責を受けたことを人ごとのように表現した上で、『(危機に)対処できる政治体制を与野党問わず整えていかなければいけない。危機感を強く持っている』と続投に意欲を表明した。『今年も良い年でありますよう改めてお願い申し上げる』と締めくくったが、『今年も良い年』との認識も東日本大震災の被災者への配慮に欠けていると受け取られかねない。訓示式には山岡氏のほか、藤村修官房長官ら6閣僚が参加した」
マスメディアが、批判したことを受けて、藤村修官房長官が「適切ではなかった」と批判し、山岡賢次国家公安委員長は、この後、「誤解与えたなら撤回もやぶさかではない」と発言したという。

◆しかし、学校の卒業式など、校長やPTA会長などの来賓が卒業生を社会に送り出す挨拶をするとき、人生の行く手から襲ってくる様々な困難を「大きな荒波」などと「海」や「波」を比喩として使うのは当たり前になっている。これに「大津波」を用いたからと言って何が悪いのか、理解に苦しむ。ましてや今年予想されている「欧州の金融危機」なかでもイタリアが国債のデフォルトが取りざたされ直撃する危険があるというのは、ある意味で日本国民の間で常識になっている。それを指摘して、緊張感を持って政治を行わなくてはならないというのも、これまた当たり前のことだ。これが悪いという感覚こそ、緊張感を欠く姿勢として咎められるべきである。マスメディアの「言葉狩り」報道は、いまや異常である。

◆振り返ってみると、鉢呂吉雄経済産業相が2011年9月9日、前日の8日に野田佳彦首相らと視察に訪れた福島県の東京電力福島第1原子力発電所の周辺市町村について、「市街地は人っ子一人いない、まさに死の街という形だった」と発言し、野党自民党やマスメディアなどから厳しい批判を受けた。このため、直ちに発言を撤回し陳謝した。

毎日新聞社は、8日夜、夜回りにきていた毎日新聞社記者に、防災服の袖を擦りつけ「放射能をつけたぞ」という趣旨の発言をしたと報じた。NHKによれば、「放射性物質がうつった」などという趣旨の発言について鉢呂吉雄経済産業相は、周辺に対し「厳しい福島原発の現状と作業員の懸命な努力の様子を、記者団と共有したいという思いだった」と釈明したという。

しかし、鉢呂吉雄経済産業相は9月10日に東日本大震災に関連する自らの発言の責任を取り、経済産業大を辞職する意思を固め、野田佳彦首相に辞表を提出し、直ちに受理され、9月11日付で辞任は了承された。臨時代理には官房長官藤村修が充てられ、枝野幸男が翌12日、後任に任命された。

福島第1原発の周辺市町村が、「市街地は人っ子一人いない、まさに死の街という形だった」というのは、だれの目でみても、紛れもない「ゴーストタウン」という事実である。それを直視した言葉を忌み嫌い、避難住民に帰宅できる当てのない希望を抱かせ続ける。こんな残酷なことはない。大本営発表の宣伝記事ばかり垂れ流して、常に無責任なマスメメディアの罪は計り知れない。

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