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ちかごろの妊産婦さんはまじめすぎる?

【平成22年乳幼児身体発育調査の概況について】*1と謂う調査報告が厚生労働省ウェブサイトにアップされていたので読んでみました。そのなかから栄養関係で参考になるところや興味深い部分について、元資料を参照しながら紹介してみたいと思います。

この調査は一般調査と病院調査からなり昭和35年に第一回が行われ、今回で六回目となります。調査項目にもよるけれど、経年比較が出来るため最近の乳幼児の発達状況について色々と示唆を与えてくれます。まぁ、調査の性格もあるのでこれで何かをはっきりと謂えるものでもないのですけど・・・

出生時・出生後の体格

以前、生まれてくる子供の体重は年々減少傾向にあって、低出生体重児が増えていることやその原因や問題点に言及した記事*2を書いたことがありますが、乳幼児身体発育調査にもそのことがあらわれているようです。※画像はクリックと大きくなります。

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上の表は体重について過去の調査結果と並べて比較したものですが、出生時の体重は昭和55年をピークに減少傾向が続け、第一回の調査時よりも低体重となっております。しかしながら、昭和55年以前と比べてみると、出生時の差は3歳ぐらいまでにはほぼ解消されております。確実なことは謂えませんが、乳幼児の食生活が昔に比べよくなっていることのあらわれなのかもしれません。

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身長についてみると、体重と同じく小さく生まれる傾向があるようですが、その後の成長により取り戻せているように見えます。しかしながら、低出生体重児にはいくつかの病気の発症リスクが将来高くなると謂うデータもありますので、なるべく低体重になるようなリスクを避けたいところでしょう。

低出生体重児が増えている

この調査では低出生体重児の割合を男子9.6%女子11.9%総数10.7%と報告していますが、平成21年人口動態統計の値(男子8.5%、女子10.8%、総数9.6%)に比べずいぶんと高い値となっております。これについては一年で急激に増加したと考えるのではなく、調査方法の違いによるものと考えるほうが妥当であろうと思います。一般調査と病院調査の集計であること、一般調査の回収率が7割ほどであることなどが関係しているかもしれません。まぁ理由はともかく、経年変化をみる場合には同じ調査で比較したいところです。と謂うわけで、参考資料として【平成22年度「出生に関する統計」の概況】*3より単産・複産別の出生体重の経年変化をみた表を引用します。

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出生体重に影響を与える要因として一番大きいと考えられるのが多胎妊娠ですので、出生に占める複産の割合が高くなっている事が低出生体重児の割合を高くしている要因の一つではありましょう。しかしながら、上記の表を見ればわかるように、単産でも低出生体重児の割合が大きく増えているんですね。現在の傾向はその他の要因が影響していると考えられるでしょう。

出生体重に影響を与える要因など

子供の体重増加にマイナスの影響を与えそうな因子として考えられるものは色々とありますが、母親の喫煙習慣・母親の低体重・妊娠期の体重増加が少ない、などが考えられます。他にもストレスや歯周病なども関係しているとの指摘もあります。平成22年乳幼児身体発育調査では、一般調査の項目に喫煙、飲酒、母親の体格などに対する質問が用意されており、低出生体重児が増えている現状に対応するものとなっております。

体格の問題

母親が痩せているほど産まれてくる子供の体重は少ないと謂う傾向がみられます。

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調査結果からもその傾向がみられるのですが、問題は若い女性の痩身傾向と痩身願望に歯止めがかかっていないことだと思います。BMI18.5未満の痩せている女性の割合はどんどん増えております。また、調査項目にはありませんが、妊娠中の体重増加も産まれてくる子供の体重増加にとても重要な要素ですが、それだけでなく母体の健康や子供の栄養状態にも影響を与えますので、太りすぎを妙に気にして、必要な食事が確保できないなんてことも心配されます。ちなみに妊娠中の望ましいとされる体重増加は以下*4のようになっております。

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この体重増加の目安を参考に適度な体重増加を目指してほしいところですが、一部で妊娠中の体重増加に必要以上に神経質な助産師さんや専門医の方もいらっしゃいますので、このあたりはもう少し周知されてほしいとどらねこは思っております。病気があったり極端に体重増加しない限り、そんなに神経質になる必要はないなぁ、なんて個人的には思ってます。つわりやおなかの圧迫など、いつ食欲落ちるかわからないのだから、おいしく食べれるときに・・・ね。

ここで参考までにアメリカの指標も掲載しておきます。

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日本に比べてとてもおおらかですね(笑)。このような指標は政治的な側面もあったりしますので、人種の差や生理的な差をそのまま反映するものではありません。この指標は低出生体重児のリスクに配慮が強いという印象です。肥満側が細かいところが流石アメリカと思いますが、日本の実情を考えれば、低体重女性にもう少し配慮した指標策定なんて求められるんじゃないかな、これからは・・・なんてどらねこは思っちゃいました。

喫煙問題

妊娠中の喫煙はやはり出生時の体重に影響を与えているように見えるデータが得られています。

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妊娠中の喫煙についての経年比較をみると平成22年調査では前回調査に比べて半分の割合に激減しているのですが、平成2年の調査とはほぼ同水準です。これらの事情はいまひとつわかりません。次に同居者の喫煙状況を見てみましょう。

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母親の喫煙がない場合とそうでない場合を比べると、同居人の喫煙割合の違いがとても大きいところが面白いですね。妊娠中だからと配慮している結果なのでしょうが、喫煙しない女性は喫煙しない男性を求めるのかもしれません。しかしながら、妊娠中に同室者が26.6%も喫煙しているというのは同なんでしょうねぇ・・・。

飲酒問題

飲酒と出生体重の関係は調査されていないのがちょっと残念です。

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しかし、前回調査時に比べ妊娠中の飲酒者は半分以下に激減しており、健康に配慮する母親像が浮かび上がります。

母乳のこと

こうして調査結果から幾つかの項目を見てきましたが、どらねこの印象は近ごろの妊婦は節制しているなーと謂うものです。いやぁ、素晴らしい心がけだと思うんですけどね。これも母親教室とか出産育児にかかわる専門家の努力のたまものだとは思うのですが、全体を見るともう少しおおらかでもいいのかな、なんて思ったりもしてしまいます。そんな感じで全体にストイックになっている事が必要以上に体重を気にする事につながっているのかもしれません。

そうやって赤ちゃんのことを考えて妊娠期を過ごした母親は生まれた後も子供に対して一生懸命栄養を与えるんだと思います。それが、小さく生まれても大きく育っている現状なんじゃないかな?と思います。

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出産後の職場復帰が早くなっていると謂われますが、それでも母乳育児を選択する母親は増えているようです。

立派

近ごろの妊婦授乳婦さんは本当に立派です。近ごろのわかいもんわ~な皆様には苦言を呈してやりたいところです。でもさ、こんな風に熱心なのはよいのだけど、これって出産育児のハードルを高くしてやいないか?なんて心配もしてしまうんですよね。無理なくできるひとはよいけれど、そうで無い人も安心して子供を産めるような社会が実現すればいいのにな、どらねこはそんな風に思うのでした。



*1http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001t3so.html

*2:関連記事【妊娠前に読んでいいもの・わるいもの】http://d.hatena.ne.jp/doramao/20101027/1288162843

*3http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/tokusyu/syussyo06/index.html

*4:表は【妊産婦のための食生活指針】より引用http://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/02/h0201-3a.htmlを参照のこと。

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