- 2018年03月20日 15:18
海外では海外では〜「海外出羽守」の批判者も発信者も気をつけたいこと。
1/2海外出羽守とは?
海外出羽守(かいがいでわのかみ)とは、「〜の国では」と何かにつけて海外の事例を引き合いに出して語る人のことです。
ぼく自身、ヨーロッパに住んで学問的にも、時にはただの雑感としても多くの海外事例を紹介してきました。しかし時に、紹介の仕方を丁寧にやらないとそれは根無し草の安全な所からの「高みの見物」のような印象を与えてしまうことがあります。そのような発言を批判して、「アンチ海外出羽」のような批判者がネットの言論空間で多くいることも事実です。
改めて「海外出羽守」の発信者も、さらにその批判者も気をつけたいことをまとめます。
無責任な海外出羽守にはなりたくない
北欧研究をしている身としての、ぼくのスタンスは「無責任な海外の出羽守にはなりたくない」で、これはスウェーデンに渡る前からずっと思っていたことです。何せもともとスウェーデンのことはとくに国としてたいして興味があったわけでもなく、それよりか若者支援の活動で忙しかったので、北欧に渡るとしても「実践に活かせることは何か?」ということしか考えていませんでしたから。
なので、「マクロ」な話や海外の事例を聞いているときはこう思っていました。(以下、4年前のツイート)
海外在住の日本人で大学院とか国際機関で働いた人で、何かと日本の話題に文脈なくして「〜では」とかいう出羽守にはならないように努めたい。こういう人に限って偏ってるなって思うことけっこうある。
— たっぺい from Tatsumaru Times (@tppay) 2014年11月26日
しかし、実際に海外にいくとそういう人に会うんです。留学生も含めて、そういう人に限って「日本では〜!」と主語を大きくする。飲み会の席の話なら別にいいんですけどね。。。
留学する人や海外に移住する人にありがちなのは、そういう「足場」を完全に切ってしまうこと。そして明後日の方向から文脈も知らずに上から目線で「ヨーロッパでは〜」と「出羽守」になってしまうこと。☝こういう人には絶対にならないように気をつけたい。
— たっぺい from Tatsumaru Times (@tppay) 2016年3月30日
なぜ海外出羽守と認定されたのか?
今回この記事を書こうと思ったのは、そんな僕が「海外出羽守」として認定されたからです。きっかけはこちらのニュージーランド在住のマーディーさんに寄せられた質問。
スウェーデンの若者が立派だ、ドイツの環境政策が素晴らしいのは事実。ただ、「日本がダメ」とは言っていませんよね?ただ、事実を述べているだけで、批判には力いれてないと思うので、質問者さんのおっしゃる意味がわかりません。 #peing #QuestionBox https://t.co/2Rpu7r9pxZ pic.twitter.com/fflzBGcndH
— マーディー@NZ (@rym_nz) 2018年3月5日
こちらの質問の以下の部分。
残念なことに、他の海外在住者の中には、自分の在住国を持ち上げて日本をディスることでしか存在感を示せない人も多いような気がします。特にヨーロッパ、スウェーデンやドイツの在住者にその傾向が顕著です。例えば、スウェーデンの若者は立派だ、とか、ドイツの環境政策はすばらしい、とか。海外に住んでまで、ツイートでわざわざ日本を批判することに力を注ぐのは、本末転倒です。
明らかにぼくのことを指していますね…。そもそもスウェーデンの若者研究やっている人少ないので。
というわけで以下、僕からの怒涛の回答です。
スウェーデンに関しては僕のことなんでしょうけど、もちろん海外事例を講演や論文で紹介するときには、大前提として「背景・文脈の違いが異なるので簡単に導入するこどできない」スタンスでいます。おそらく多くの海外事例の紹介者はそういうスタンス https://t.co/aHBTk6WS5U
— たっぺい from Tatsumaru Times (@tppay) 2018年3月5日
(以下、このツイートからの引用ですが、読みやすさを考えてテキストだけここに貼りつけ&編集してお届けします)
では毎回「海外事例は、背景・文脈が異なるので簡単な導入はできない」をツイートすればいいのでしょうか?そうであるなら、海外に限らず国内の事例紹介でさえも前置きがいちいち長くなります。一方で発信者側は常にこれを意識して複眼的な視点でコンテンツを練る必要はあります。
極端な「海外出羽守」もそれを一面的に切り取って批判する人も、どちらも「わかりやすさ」に逃げてはいけません。白黒ハッキリしないのが世の常だからです。
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しかし、Twitterのつぶやきは長文・曖昧さを嫌うのでこれがやりにくいのです。これはメディア(媒体)の性質に規定されて言論が極端に表出していることの表れです。だから、ツイート自体は「出羽守』っぽくても、ツイートの真意はそんな「極端」ではなく、むしろ何かしらの「想い」(良いも悪いも)があるんだろうなと察して読解する必要があるでしょう。本当は日本好きでつぶやいてるのかもしれませんし。