「副業」と「複業」──。本業のかたわら、サブ的に別の仕事をする「副業」と違って、「複業」とは、本業としての仕事を複数持つことを意味します。
そんな「複業」を実践するサイボウズ若手社員4名の座談会。複業のリアルを話しあった前編に引き続き、後編では、複業に対する世間のイメージとそのギャップについて語ってもらいました。
複業って、実はそんなに特別なことじゃないのかも……?
複業は自己実現のため。社内の枠を越えた「社会出世」を考える若手は多い?
「副業」はお金を稼ぐためにするイメージが強いですが、僕の今の働き方はそうじゃないなって思います。
カレー屋の仕事は、サイボウズの社員であることとはまったくの別軸で全力投球していて。
安藤 耕史(あんどう・こうじ)。2014年新卒入社。ソリューション営業部を経たのち、ビジネスマーケティング本部へ異動。現在は自社製品(kintone)の販売戦略に関わる傍ら、奥さんと一緒に高円寺でカレーとビールのお店を営んでいる
「複業」には、稼ぐこと以外の意義がありますよね。
僕もYouTubeチャンネルを開設した当初は無給に近い状態でしたが、代わりにWebマーケティングの知識が身についたり、応援してくれる視聴者の方が増えていったりすることに大きな意義を感じていました。
DAISUKE(本名非公開)。2015年新卒入社。ソリューション営業部で公共事業案件を主に担当。全国をかけまわる営業マン。複業ではスポーツ系YouTuberとして動画配信をしたり、コーチングを行っている。具体的な種目やチャンネル名は公言したくないらしい
私も、共感できるビジョンを持った組織の活動には、収入に関係なく取り組む派です。
でも、好きで携わっているうちにお金をもらえるようになることってありますよね。DAISUKEさんのように最初は無給状態でも、自分なりの価値さえ提供していれば後からお金はついてくると思います。
熱田 優香(あつた・ゆか)。2016年新卒入社。パートナー営業(代理店営業)で営業を1年間経験したのち、ビジネスマーケティング本部へ異動。現在はワークスタイルプロモーションを担当している。理想は、「誰もが自分らしく自由に生きられる世の中をつくること」
熱意があるからこそ、お金をもらうに値する価値を提供できるってことですよね 。
深澤さんは収入を増やすために複業をはじめたと言ってましたけど、今はどうなんでしょう?
今、サイボウズとお付き合いのある企業さんで複業しているのは、お金が目的じゃなくて、純粋に「おもしろそう」だと思ったからですね。
社員としてだけではなく、違った立場からもサイボウズに関わってみたいなって。
深澤 修一郎(ふかさわ・しゅういちろう)。2012年新卒入社。パートナー営業(代理店営業)部で、現在サイボウズで一番大きな代理店を担当。その傍ら、サイボウズとお付き合いのあるパートナー企業にも勤務し、週1回常駐している
会社員としての仕事と複業、どっちにアクセルを踏むかは、その時々で判断を変えてもいいと思っています。どちらが「主」でどちらが「副」というわけじゃない。
今の若い世代って、「会社内での出世」というよりも、もっと大きい「社会の中での出世」に目を向けている人が増えてきている気がします。
「社内出世よりも社会出世」! たしかに、その表現はしっくりきますね。
「風土と制度」があればひとまずOK? 複業のために会社側に担保してほしいこと
「社内での出世」だけをその人の評価にしないためには、会社の風土って大事ですよね。
それでいうと、世代間で「出世」の概念が違うなと感じることもあります。「社内出世」を重視する方も、一定数いらっしゃるのは事実。
「社会出世」の概念が会社全体に風土としてなじんでいれば、複業はよりやりやすいはずです。
あとは、仕事をする上で、会社員としてコミットする「バッファ」を考慮してもらえたらいいなって思います。
バッファ?
たとえば、先週は120%頑張ったから、今週は80%でコミットしよう、といったような感じです。
そこを自分でコントロールできるようになるだけで、複業のしやすさは格段に上がると思っていて。
それはすごくわかります。トータルで100%になっていればよくて、その分配を自分で決められるような仕組みが会社にあるといいですよね。
平日にどうしても複業の方をやりたいときってあるんですよね。「この大会だけは、現地取材してすぐにYouTubeにアップしたい!」とか……(笑)。
逆に、「今週は本業が忙しいからYoutuberの活動はしない」というときもあります。
たしかに。普通に考えると、そういうときって有給を使うことになるけれど、平日の複業も許容してもらえる制度があると、もっと働きやすくなりそうですね。
結局は、会社の「風土と制度」によって、複業のしやすさは左右されますよね。