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  • K.K.
  • 2012年01月05日 23:48

【橋下市長】二重の意味で、これは上手いわ

以前、何度か書いていますが、私は、大阪市長の橋下徹氏については、嫌いではないにしても、決して好きな人物ではありません。
同様に、評価にも批判にも値する人物だと感じており、そのたびに、ネタに使わせていただております。

今回のエントリーも、書き終わってみれば、そのあたり、非常に微妙なニュアンスに仕上がっているような気がします。

では、本題。
大阪府内であった事件3件の関連性を見て行きましょう。
大阪で政治活動規制条例提出へ
橋下市長、市職員が対象

http://www.47news.jp/CN/201201/CN2012010401001442.html
 大阪市の橋下徹市長は4日、代表を務める「大阪維新の会」の全体会合で、選挙活動など市職員の政治活動を規制する条例案を2月市議会に提出する意向を表明した。
 橋下市長は、(中略)「現職市長、市役所、組合が一体化すると、とてつもない政治力を生み出し、若手が政治にチャレンジできなくなる。こういう選挙は大阪からなくしていく」と語った。(後略)
正直、これは、お見事としか言いようがありません。
個人的な好き嫌いは別として、やり方として非常に上手です。

以下、複数の側面から見てみましょう。

まず、法制面です。
地方公務員法を読んでみましょう。
地方公務員法
(政治的行為の制限)
第三十六条  職員は、政党その他の政治的団体の結成に関与し、若しくはこれらの団体の役員となつてはならず、又はこれらの団体の構成員となるように、若しくはならないように勧誘運動をしてはならない。
2  職員は、特定の政党その他の政治的団体又は特定の内閣若しくは地方公共団体の執行機関を支持し、又はこれに反対する目的をもつて、あるいは公の選挙又は投票において特定の人又は事件を支持し、又はこれに反対する目的をもつて、次に掲げる政治的行為をしてはならない。ただし、当該職員の属する地方公共団体の区域外において、第一号から第三号まで及び第五号に掲げる政治的行為をすることができる。
一  公の選挙又は投票において投票をするように、又はしないように勧誘運動をすること。
二  署名運動を企画し、又は主宰する等これに積極的に関与すること。

三  寄附金その他の金品の募集に関与すること。
四  文書又は図画を地方公共団体又は特定地方独立行政法人の庁舎、施設等に掲示し、又は掲示させ、その他地方公共団体又は特定地方独立行政法人の庁舎、施設、資材又は資金を利用し、又は利用させること。
五  (後述)
以上、よく誤解されますが、地方公務員の政治的行為は、基本的に可能です。
ただ、これら列挙されたものは、行ってはならないというだけです。

しかし・・・
地方公務員法
第三十六条第2項(禁止事項)

五  前各号に定めるものを除く外、条例で定める政治的行為
はい。
ここです。
地方公務員法で許された政治的行為を、法律に基づいて条例で制限してゆこうという作戦です。
法治主義の原則のもとでは、なんら問題はありません。

そして・・・
地方公務員法
第三十六条

5  本条の規定は、職員の政治的中立性を保障することにより、地方公共団体の行政及び特定地方独立行政法人の業務の公正な運営を確保するとともに職員の利益を保護することを目的とするものであるという趣旨において解釈され、及び運用されなければならない。
ここで、
「現職市長、市役所、組合が一体化すると、とてつもない政治力を生み出し、若手が政治にチャレンジできなくなる。こういう選挙は大阪からなくしていく」
・・・と、述べることで、政治活動規制条例の正当性を法律の裏打ちに基づき、強化するわけです。

お見事。
法律が許していることを、法律に基づいて否定するという、なんとも法律のプロ・弁護士な作戦です。
非常に上手だと思います。

そして、タイミングの問題。

実は、この1月4日の会合というのは、前日の時点では、別の事態を最大の案件としていました。

そう、1月1日に、自らが代表を務める大阪維新の会に所属する議員さんが、飲酒運転のうえ、ひき逃げを行ったとされる事件の対応を決めることが最大案件であったわけです。
大阪市役所筋の情報では、4日の会合は、この事件に対応する緊急会合であったとも聞いています。
(あくまで、私個人の情報ソースですので、信憑性は微妙ですが)

しかし、その会合で、新しい施策をブチ上げることで、維新の会の汚点ともいうべき事件の情報価値を、相対的に低下させることに成功しました。
本来、ネガティブな会合であったものを、一転させてしまったわけです。

また、同じ1月4日の早朝に、(いろいろパフォーマンスも含めて)大阪市の職労に市役所庁舎から退去を求めたのも、同じ流れの上にあるでしょう。

↓ 参考URL
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120104/t10015049091000.html

以上、マイナスの情報が流れているところに、別のベクトルの情報を複数付加することで、見事に、マスコミと住民の視線を拡散させることに成功したわけです。

基本、「敵」を作り出し、それに対して欠かすことなく攻撃を続けることは、政権維持の古典的手法で、正直、おなかいっぱいな感がありますが、絶妙のタイミングで使われると、お見事としか言いようがありません。

上手くやったものだと思いますが、同時に誰にでもできるものではありません。
まったく、とんでもないな・・・

【おまけ:】
やはり、大阪市役所筋の情報では、
「市長に都合のいい会議の時だけ、その場にマスコミが居る」
・・・というお話もありました。

正直に言います。
私が秘書&広報担当をしていた時に、何度か、これに似たようなコトをやろうとしました。
すべて、上司に却下されましたが。

情報のアクティブなコントロールと報道の活用(否、むしろ利用)。

確かに、役所の現職公務員がやるには抵抗があるのはわかりますが、現実にやっている人間を目の前にすると、なんとも微妙な気持ちです。

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