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「社会を変える」を軽々しく言うな

現時点で断言はできないが、もし安倍昭恵さんが森友学園の一連の騒動の一因なのだとしたら、それは彼女だけの罪ではないと思う。

一時期、社会活動家を自認するような人たちが「ご要望があれば私から昭恵さんに伝えますよ」というのをいろんなところで耳にした。安請け合いしてしまう昭恵さんが問題であると同時に昭恵さんに群がって彼女の万能感を肥大化させた輩にも、現状に対する責任があると思う。

結果さえ出せればプロセスはどうでもいいという意味で似た構造として、正しい意見を通すためなら炎上も辞さずという、一部の社会活動家の独善的な態度が、不倫やら失言やら何かあると炎上させて対象を葬るという過激な社会的ムードを醸成した部分も大きいと思う。

「社会を変える」って言葉があんまりにも軽々しく使われているんだよな。社会は誰かがマジックみたいにポンッと変えるんじゃない。地道なプロセスを経てじわりじわりと変わるんだよ、普通は。

以下、拙著『ルポ父親たちの葛藤 仕事と家庭の両立は夢なのか』(2016年、PHP研究所)より。

 制度が社会を変えるのではない。個々人が変化した結果、社会構造が変化し、それに合わせて制度が整備されるのだと、第4章で述べた。そうやって社会は時間をかけて変化する。元首の鶴の一声で社会制度が変わってしまうようでは、社会として危うい。社会の変化が緩慢で弾力性に富んでいることは、一見まどろっこしいが、それは一方で、実は民主主義がうまく機能している証拠でもあるのだ。

 昨今、社会問題に対して問題意識の高い人たちが、事態の改善を訴えるために、インターネットやメディアを利用して大きな声を上げるという動きが盛んに行われるようになっている。それ自体は悪いことだとは思わない。

 しかし、「炎上させれば勝ち」のような理屈は非常に危険だ。自分の問題意識に世間的な注目を集めるため、過激に振る舞うことは、それが正論であったとしても、子供がだだをこねるのと同じである。それがまかりとおるようになれば、いわゆる「過激派」が跋扈しかねない。社会はますます殺伐としていくだろう。

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