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「イクメン」の実像 第2回 「子どもとの接し方に自信ない」父親が増加中

前回に続き、父親のワークライフバランスについて考えてみたいと思います。多くの父親が「もっと家事や育児に関わりたい」と思いつつも、帰宅時間や職場環境から難しい状況にあることは、前回ご紹介した通りです。さらに、同じ調査の結果からは、「子育てに自信がない」と考える父親が増加しており、労働環境が改善されただけでは解決が難しい、父親の複雑な状況も見えてきました。

父親の家事・育児は 短時間・一時的な内容が多い

上の図1は、前回ご紹介したデータです(ベネッセ教育総合研究所「第3回 乳幼児の父親についての調査」より)。家事・育児に今以上に関わりたいと思っている乳幼児の父親は約6割いて、2005年からの9年間で増加傾向がみられました。この中には、「すでにかなり関わっており、やればやるほどもっと関わりたい」という積極的なケースと、「今はあまり関われていないので、もっと関わりたい」といういわば反省型のケースの両方が含まれると思われます。

では、実際に関わっている家事や育児の内容や頻度はどのように変化しているでしょうか。その結果が下の図2です。上位の項目は「おむつを替える」「園の行事に参加する」「子どもがぐずったときになだめる」などで、「いつもする」と「ときどきする」の合計が80%を超えています。忙しい中でも短時間でできるものや一時的に関われる内容が目立ちます。一方、下位の項目は「子どもと一緒に外で遊ぶ」「掃除をする」「食事のしたくをする」などで、週に3日以上関わっている比率が約10%以下となっています。帰宅時間の遅い父親にとって取り組むことが難しい内容が並んでいます。

2005年からの経年でみると、家事の頻度は増え、育児の項目が減っています。背景には共働き世帯の増加や労働時間の長時間化など、複数の要因が関連していると考えられます。

4割が 「子どもとの接し方に自信がない」

次に、父親の子育てに関する意識の変化をみた結果が下の図3です。

「子どもがかわいくてたまらない」「子どもと遊ぶのはとてもおもしろい」など、子育てに関する肯定的な感情は、5つの質問項目いずれも8割(「よくある」+「ときどきある」の%)を超えており、多くの父親が子育てを肯定的に捉えている割合が高いことがわかります。一方、「子どもとの時間を十分に取れない」「子どもが小さいうちは自分のやりたいことが十分にできない」といった否定的な感情は、項目によって約4割~7割が「よくある」または「ときどきある」と答えており、父親が理想とする育児とは異なる現状も感じているようです。

経年での変化をみると、全体として大きく変わらないものの、肯定的な感情は5つの項目すべてでわずかに減り、否定的な感情はわずかに増える傾向がみられます。例えば、「子どもとの接し方に自信がもてない」は、9年間で7.8ポイント増加しました。「家事や育児にもっと関わりたいと思っているけれども、育児をしようにも、かかわり方に自信がない」という父親が増えているのです。自分の経験だけでは、どのようにわが子と遊んでよいのかわからない、不確かな将来を前に何をわが子に伝えればよいのかわからない、といった「接し方のノウハウがない」ことや、父親を含む社会全体が、これからの将来に漠然とした不安を抱え、明確なビジョンが描けない自信のなさの表れ、などが理由として考えられます。

「イクメン」という言葉が流行語大賞のトップ10に入ったのは2010年のことです。あれから7年が経過し、ワークライフバランスを真剣に見直そうする機運は確実に高まっています。例えば母親だけでなく父親をも支援する仕組みづくりなど、これからの社会に応じた、従来の枠組みにとらわれない家族のあり方を皆で考えていきたいものです。

*父親の子育ての実態、子育て観、仕事と家庭のバランス、家族との関係などに関する調査結果の詳細や、テーマ別特集「少子化社会と子育て」の記事を、ウェブサイト上でご覧いただけます。ご活用ください。

「第3回 乳幼児の父親についての調査」調査概要】

調査方法インターネット調査
調査時期2014年10月(第1回調査 2005年8月、第2回調査 2009年8月)
調査対象 0歳から6歳の乳幼児を持つ父親2645名。
※6歳児は就学前のみを対象としているため、6歳0~4ヶ月としている。
調査地域 第 1 回 首都圏の0 歳から6 歳(就学前)の乳幼児をもつ父親 2,956 名(20~45 歳)
第 2 回 首都圏の0 歳から6 歳(就学前)の乳幼児をもつ父親 4,574 名(20~45 歳)
第 3 回 首都圏の0 歳から6 歳(就学前)の乳幼児をもつ父親 2,645 名(20~49 歳)
※首都圏は東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県
調査項目子どもと関わる時間(平日・休日)/家事・育児の実態と希望/配偶者の就業状況/配偶者との絆/子育てストレス/子育ての将来への不安/育児休業制度の活用実態 など

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