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企業不祥事の根本原因を徹底追及できない理由

皆様、あけましておめでとうございます。今年も(若干、更新頻度は落ちそうな予感がいたしますが)当ブログをよろしくお願いいたします。<m(__)m>

昨年は様々な調査報告書を読む機会がありました。多くの企業不祥事に関する第三者委員会報告書に目を通しての印象や、私自身の第三者委員会委員としての経験からの感想でありますが、企業不祥事の本当の原因を徹底追及することは実はたいへん困難な作業ではないか、と感じております。と言いますのは、企業不祥事の原因が「社内自己完結型」であればきれいな報告書が書けるのでありますが、意外と自己完結型は少なくて、どこかに「他社関与型」の匂いがするものが多く、本当の不祥事原因を追究するには「他社」の関与に踏み込まねばならないからであります。

「他社の関与」というのは、ある事案では反社会勢力との遭遇であり、ある事案では行政当局のミスや癒着との遭遇であり、またある事案ではお世話になっている取引先企業とのなれ合いを示すものでして、これら「他社の関与」に踏み込まなければ実効性ある再発防止策を検討できないにもかかわらず、これに踏み込むことがタブー視される、という構造であります。たとえば、昨年末に触れました「法人の刑事責任」でありますが、たしかに「両罰規定」を通じて実定法化されているものもありますが、それはあくまでも役職員の刑事責任が問えることが前提となるものであり、個人の刑事責任と離れて、純粋に法人の刑事責任を追及しようとすると、おそらく上記の「他社の関与」にまで踏み込まなければなりません。したがって、我が国においては純粋な法人の刑事責任追及は、大きな勇気が必要となり、今後も進展しないのではないか、と考えられます。

また、たとえ「自己完結型不祥事」であったとしても、(これは時々、講演などでも申し上げるところですが)企業不祥事の根本原因を追及しますと、我が国企業の成長要因と重なり合うところがあるため、決して取り除くことができないものであることが判明してきます。たとえば販売促進のために取引先や顧客、同業他社担当者と信頼関係を築くことが営業職に求められる職責でありますが、それは裏を返せば取引先との共謀、顧客への例外的待遇、同業者との貸し借りを内包するものであります。

また性能偽装事件にみられるとおり、トップメーカーの技術社員には高い安全技術への誇りが求められますが、それは裏を返せば「驕り」を内包するものであります。経営トップ同士の「義理人情」が企業を救うときもあるわけですが、その「義理人情」が裏を返せば「私を社長に推薦してくれた先代社長の不祥事を墓場まで持っていく」ことであります。つまり、企業の持続的成長のための要因には、かならず不祥事のタネが隠されているのであります。

昨年来「不祥事はなぜなくならないのか」と、いろいろなところで話題になりましたが、上記のとおり、企業はグローバルな競争を繰り返さなければならないのですから、不祥事は必然的に(宿命的に)発生するわけでして、そもそも企業不祥事をなくす、というのは現実問題として無理であります。しかしそれでもなお、不祥事は防止しなければならない、とすれば、企業のリスク管理の視点で何から手をつけていけばよいのか・・・・・、そのあたりを今年の本ブログの重要な課題として考えていきたいと思っております。

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