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ワンフレーズとキャッチフレーズ - 楢原多計志

 小泉純一郎元首相が得意としたのがワンフレーズのメッセージ。「自民党をぶっ壊す!」「財政改革に聖域なし!」などは、本質は別として、多くの国民にウケたことは事実で、小泉政権は予想外の長期政権となった。

 一方、現政権与党の民主党はどうか。「消えた年金」「宙に浮いた年金」「ドラッグ・デバイスラグ」「第2のセーフティーネット」「ディーセント・ワーク」(働きがいのある人間らしい仕事?)など社会保障に関係するキャッチフレーズがやたらと目立つ。もっともフレーズが他からのコピーだったり、日本語を英語に置き換えただけだったりするものも少なくない。最近、閣僚の不用意な発言(本音だろう)が続き、フレーズが激減しているが…。

   小泉元首相のワンフレーズと民主党のキャッチフレーズには共通点が2つある。1つは、検証もせず、情緒的な報道しかできないマスコミを通じ、有権者のウケを狙った政治戦略であること、そして小泉元首相も与党も最後まで発言の責任を取ろうとしないことだ。

 民主党にとって、最大の包括キャッチフレーズ(?)は、やはり「社会保障と税の一体改革」だろう。野田佳彦首相は外遊先でも「不退転の覚悟」と言い続け、現地メディアから「ここまで何しに来たのか」と不思議がられているというが…。だが、民主党内は消費税率引き上げをめぐって大荒れ。野田首相の覚悟が本物なのか、民主党が得意とするキャッチフレーズで終わらせるつもりなのか。

 12月29日時点、一体改革の素案がまとまっていない。現時点でほぼ固まっている社会保障改革案に触れてみる。民主党が政権交代前からウリにしていた年金、医療、介護、子育て支援など重要施策の多くが実質的に見送られた。一応、ヤル気をみせている施策をざっと挙げてみる。
【2012年度から実施予定】

▽医療と介護の連携強化(看取り、重度リハの評価など)

▽地域包括ケアシステムの強化(24時間在宅ケアなど)

▽公的年金の特例水準を解消し、3年かけて減額(「払いすぎ年金」の解消)

▽医療保険の70~74歳の患者負担1割を維持(継続、13年度以降は財源検討)

?介護保険2号被保険者の保険料に報酬割導入(民主党内に反対、先送りか)

【2012年度に法案提出するが、実施時期は未定】

▽高額療養費制度の見直し

▽新しい高齢者医療制度の創設

▽パートへの厚生年金・健康保険強制加入の拡大

【2013年度以降に法案提出】

▽公的年金「マクロ経済スライド制」の修正(デフレでも適用へ)

▽厚生年金保険料の上限引き上げ

【消費税率引き上げ後、法案提出】

▽低所得者の国民健康保険料と介護保険料を引き下げ(高所得者は引き上げ)

▽基礎年金の2分の1国庫負担を恒久制度化

▽公的年金の受給資格期間を25年から10年に短縮
 実質的に先送りされたものが多く、選挙マニフェスト(政権公約)からみれば、“公約違反”そのもの。最大の問題は、最初から消費税率引き上げによって財源不足を確保しようという意図が見え見えなことだ。

 行政刷新会議の提言型仕分けは、当面、給付と負担の辻褄を合わせておけば、後は消費税率を引き上げれば何とかなるだろう―とでも考えたのか、消費税以外の財源を見つけようと言う意気込みが感じられなかった。

 必要な支出は別として、できる限り歳出を抑える一方、景気浮揚を後押しする強力な政策が欲しい。選挙目当ての施策の乱発は、自公政権の時で、うんざりしている。

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