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トランプ大統領の脳裏にはノーベル平和賞?

平昌オリンピックに金正恩総書記の実弟金与正が異例の同行を行った微笑み外交は、金正恩政権が大きな方向転換の第一歩でした。金日成の直系の子孫としては初の訪韓でした。南北融和に前のめりな文在寅大統領がこの仕掛けに乗り、板門店での南北首脳会談、さらに金正恩総書記の提案にトランプ大統領がツイッター合意の意志を示し、初の米朝首脳会談も開催される見通しとなりました。核・ミサイル実験による攻勢と挑発路線から一転し、金正恩政権は矢継ぎで異例づくめの南北融和・平和外交攻勢への転換を行ってきています。韓国からの特使団を迎えた南北会談では、金正恩総書記の表情は、もう「微笑み外交」を踏み越えた「満面の笑み外交」に変貌していました。

北朝鮮をめぐる情勢は、急速な変化が起こってきています。文在寅大統領の対北朝鮮外交が効を奏したというよりは、むしろ北朝鮮が資金切れで制裁に耐えられなくなる春頃までに、なんらかの変化が起こるという予想があたったことになります。民間は闇市場経済で持っても、軍部への食料配給がとまると軍部も揺らぎ、金正恩の支配体制も危うくなります。

つまり、経済制裁包囲網と米軍の韓国や日本と共同軍事演習による圧力に耐えきれず、北朝鮮が白旗をあげたのです。

それも追いつめられてからでなく、半歩先行する形で平和外交攻勢をかけ、北朝鮮の存在感を演じてきているところは外交手腕を感じさせます。問題は、このペースが続けば、白旗を上げたはずの北朝鮮が主導し、米国と対等な立場で外交を展開する新しいステージが生まれてくることになります。さっそく日本も「日本外し」を警戒し、河野外相の訪米、さらに日米首脳会談へと動きはじめています。

北朝鮮の融和・平和外交への急ピッチな転換の前に、これまで北朝鮮が数々の合意を平気で裏切り、また核・ミサイル開発のための時間稼ぎを行ってきた歴史から、慎重な姿勢を示すことは当然としても、むしろあまりに過去にこだわりすぎると、大転換の流れについていけないことのリスクのほうが高いのではないかと思えます。むしろ過去を教訓にして、裏切りようのない「非核化」プログラムを受け入れさせることのほうが重要です。

米朝の首脳会談は、いずれのトップも、独断先行型で、発言や行動が予想できないということで共通しています。逆に言えば体質的には相性がよさそうです。いずれにしても、大きいのは、いずれの首脳にもメリットがあることです。

一方のトランプ大統領からすれば、交渉はお得意芸で、核・ミサイル実験の凍結を踏み越え、非核化の合意ができれば、半島でのアメリカの支配力は増し、もしかすると対話による南北の平和的関係構築が進めば、大統領の支持率アップどころか、歴史を変える外交を行ったことでノーベル平和賞も視野に入ってきます。とうぜん中間選挙にもプラス材料になってきます。

もしそうなるなら、アメリカで歴史上最悪の大統領という汚名から、アジアの平和に貢献する歴史を切り開いた大統領へと評価が一変します。

北朝鮮は体制維持の保証を条件に「非核化」を着地点にすれば、それにいたるプロセス、また北朝鮮「非核化」後でも、さまざまな直接対話のルートを持てます。兵糧攻めの包囲網に白旗を掲げて惨めな姿をさらすのではなく、核・ミサイルを捨て、思い切った平和外交路線に転換させたリーダーとしての対面を保つことができます。

ただ非核化を進めた場合に北朝鮮国民がどう動くのかは定かではありません。はたしてこれまでのような統制がえきるのかも未知数です。

トランプ大統領と金正恩総書記双方の思惑、利害の一致で米朝関係の画期的な転換、つまり東アジアの安定が進む可能性もなきにしもあらずです。日本にも影響するダイナミックな動きが進むなかで、国会では相変わらず森友問題で停滞しています。ネットの一部でこの停滞を野党に非を求める書き込みが散見されますが、この問題は与野党の立場を超えた、官僚によって民主主義そのものが歪められている危機、これでは政治は三流と揶揄されてきた歴史への逆戻りだということであり、さらに、解決に向けたリーダーシップを発揮できない内閣に問題があるということではないでしょうか。

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