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2012年ドル円レンジ予想と財政・マクロ展望

みなさん、こんにちは!

為替千里眼、本日から実質2012年マーケットのスタートとなりますが、ご周知のとおり本邦およびNYが休場ということになりますので、市場参加者は限定的であり、市場の動意も一過性のものとなることから、来週くらいからを本格スタートと捉え、まずは年初の各通貨の長期的な動向シナリオなどをイメージしておこうかというところではあります。言うまでもなく1月中は、欧州債務問題が主テーマとなると思われ、引続き協議の進捗次第で振り回されやすい展開を強いられるというのがメインシナリオ、さらにはS&Pによる欧15ヶ国に対する格下げが現実となれば、ユーロは相当に下押しすることになるのは自明でもありますので、そうした懸念に備えている点はIMMポジションでのショートの積み上がりを見ても、数値として如実に現れているところです。

さて、肝心のドル円に関してですが、こうした回避動意orリスクオンの地合いでは、甲乙付けがたい展開になるのがセオリーで、回避動意の円買いドル買い、リスクオンの円売りドル売りでは、円とドルが同じ動きをしてしまい、どっちが多く売られるか、どっちが多く買われるか、という判断に依存することとなるため、手がかりとしては米債券利回りくらいしかないのが実情です。もちろん、米マクロの好転ということであればドルブリッシュの展開も考えられますが、これと同時に株価上昇であれば、債券売りに傾斜している可能性が高く、利回りも上昇していることから、ドル円の反発という判断もできますが、ここ最近は教科書的に動いていないことから、難易度も相当に高まっているというのが現状です。

明けは早々にFOMC議事録の公表が控えておりますが、市場では米利回りの低迷は長期化すると見るむきが多く、3年債などのフロントエンドの金利は一段と低下することが予想されています。その背景には、低調な成長率とインフレ率を想定する市場の見通しがあり、さらには昨今取り沙汰されている「時間軸に関する表現の強化」の問題、そして一向に出口の見えない欧州債務問題に対する安全資産としての受け皿としての機能も引続き根強い需要があることは言うまでもありません。マクロ面では様々なファクターこそあるものの、直近数ヶ月間の動向を見てもドル円に関してはセット価格といった感じで、行動を共にしつつ、どちらかと言えば円買いのウェイトが大きかったところではありますので、2012年初頭も大局的な部分は変わらないと見ておいたほうが無難です。

ここで、足許の動向を軽くおさらいしておきたいと思います。

1、リスクセンチメントを背景とした動向

リスクオン→円売り・ドル売り・債券売り→ドル円横ばい
リスク回避→円買い・ドル買い・債券買い→ドル円横ばい

2、金融政策面での優劣

Fed→時間軸効果の強化、エージェンシーMBSを通じたQE3の実施観測
BOJ→手詰まり(苦笑)

3、マクロ面での優劣

米国→財政赤字削減策の実施強化、財政緊縮によるGDPの押し下げ
日本→日経平均の低迷(これまでも低迷してますが円売りにはなっていない)


といった状況かと思われます。問題は、欧州債務懸念に対する「質への逃避」が10年債利回りをどの程度押し下げているかという点に関しては、バークレイズ曰く25~30bp程度とのことですので、今後欧州債務問題に具体的な進捗が見られるにつれ、10年債利回りは2.00~2.20%程度まで上昇する可能性はあります。引続き利回り上昇の要因としては、米マクロ改善を受けた株式市場の上昇、そして欧州債務懸念の後退であることはご周知のとおり、それに対して利回り低下の要因は、欧州債務問題に対する新たな懸念発生、そして米金融政策に対する一段の緩和拡大観測になってくると思われます。そうした観点からも、先日取り上げました2012年FOMCメンバーに関するウェイトは、若干無視できないものになってくると思われます。

USDJPY Daily


ドル円のデイリーです。先日の急落で既にモメンタムはOSゾーンに突入しておりますので、一旦は調整的な反発があるものと思われます。目先のサポートは76円Mid、レジストは77円Midといったレベル感です。アノマリー的な部分でお話すると、ドル円の1月アンダーは有名なお話で、直近5年間で見てみても近年は大きく値を崩しているのが実情ではありますので、やはり年初はダウンサイドリスクに注意すべきかもしれません。

07年1月:+1.75円

08年1月:-5.14円
09年1月:-2.30円
10年1月:-2.68円
11年1月:+0.92円


もちろん欧州債務懸念が台頭している以上、ドル売り一辺倒という状況は少々想像しにくいところではありますので、ドル円が下落する際にはストレートも軒並み鈍化、つまりクロス円のアンダーパフォームが顕著となる可能性が高いと思われ、特にユーロ円に関してはユーロ情勢を鑑みても、一段の下落に見舞われても特に違和感はないというところではあります。とは言え、逆に反発シナリオは描けないかというと、可能性としてない訳ではありません。

現状では、大幅な米国債売りにつながるような要因を特定するのは非常に困難ではありますが、まず足許で好調さを維持している米マクロ、特に今週はISMや雇用統計などが控えておりますので、米景気先行きに対する楽観度が高まれば、必然的に利回りが上昇し、ドル円は多少反発するかもしれません。これに関しては諸刃の剣で、逆にマクロ悪化となれば一段下落ということになりますので、この辺は蓋を開けてみないとなんとも言えないところです。そして、もう一点は米国債の格下げリスク懸念の高まりに伴う財政リスクプレミアムの拡大といった側面もあります。

米国も非常に悩ましい局面に立たされており、議会では足許の経済状況に軸足を置いた一段の緩和継続(給与税減税や長期失業者向け失業給付)に対して、格下げリスク回避のためのプライマリーバランスの正常化、すなわち財政赤字削減策の早期実行、いずれを優先させるかの協議が過熱しているのがご周知のとおりです。給与税減税や長期失業者向け失業給付に対しては2ヶ月延長で着地しましたが、今後は1年間の延長についての協議、そして延長した場合の財源の問題、そうこうしているうちに格付け会社からのレーティングリスクが燻ってきますので、短期的には債券売りの要因ではありますが、これと同時にドル売り要因として意識される可能性もあるため、この辺もその時の市場のセンチメント次第というところです。

USDJPY Weekly


ドル円Weeklyです。モメンタムはサポートぎりぎりのところに位置しておりますので、これが完全に下抜けるようなことになると、展開的にはかなり危険で、前回安値75円Midですらサポートされない恐れがあり、現状は非常に重要な局面だと捉えております。せっかくダイバージェンスで反転したかと思いきや、昨年末の78円手前から76円Midへの急落でしたので、当然短期サポートは下方ブレイクしております。Weeklyの遅行スパンはあまり参考にしておりませんが、これまでの遅行スパンの動きを見ると、一旦下放れしたあとは、しばらく横ばいが続き、価格と面合わせ付近になると、また一気に下放れするといったパターンを繰り返してきましたので、そろそろ面合わせとなる1月の第2週目あたりから新たな展開が予想されるところではあります。

少々長文となってしまいましたが、債券売り=ドル円上昇とはなっていないため、利回り動向と結びつけるのもナンセンスかもしれませんので、その点はお含み頂きたいところではあります。3月までのシナリオとしては、一時的に利回りが上昇し(2.20%付近まで)ドル円も反発する(80円前後)も、その持続性は限定的で、その後は再び下落。現状の78円アラウンドで方向感を見出せないというのが基本シナリオ、一応長期予想としては、76~79円が長期のコアレンジ、80円オーバーの水準は2012年後半のお話になってくるのではないかと思われますが、最後に本邦サイドからの介入という可能性は排除できませんので、特に日経平均の7,000円台突入などは一つのサインとなりそうです。まぁ、あくまで推測の範疇ではありますので、適宜市場の動向に合わせて対応しなければならないというのは今年も同じですので、その点をイメージしながら、今年も難局面を乗り切りたいと思います。

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