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安倍首相が自民“魔の3回生”との与太話ディナーを展開中

森友問題と裁量労働制問題で窮地だが…(時事通信フォト)
時事通信フォト

 大メディアの幹部からテレビタレントまで、安倍晋三首相の会食相手はバラエティ豊富だが、最近の“お気に入り”は自民党の若手議員たちだという。総理大臣自ら、若手に議員としての心構えを説く──というと聞こえはいいが、その会食の“中身”を取材すると、看板政策の行き詰まりに苛立ちを隠しきれない首相のストレスのはけ口に使われているというお寒い実態が浮かび上がってきた。

 最近首相は「裁量労働制」に関する国会答弁で厚労省のあまりにも杜撰なデータに苛立ちを隠しきれず、ストレスを感じていると指摘する声もある。自民党細田派のベテランはこう心配する。

「安倍さんはこれまで萩生田光一(幹事長代行)、世耕弘成(経産相)、加藤勝信(厚労相)ら気の許せる側近たちを官邸に置いていた。彼らは何か問題が起きると“総理、大丈夫です”“素晴らしい答弁でした”と励ますのがうまく、総理のストレスを緩和する精神安定剤の役割を果たしていた。

 ところが、そうした側近たちが出世して大臣や党幹部になり、官邸から“卒業”してしまった。加藤厚労相に至っては捏造問題の対応で総理に“あいつは頼りにならない”といわれ、逆にストレスの種になっている」

 そんな安倍首相にとって新たな精神安定剤になっているのが、自民党の「魔の3回生」との食事会だ。

 この2月から首相は自民党1~3回生の若手議員を公邸に招いて懇親会をスタートさせた。当選1回の新人から順に公邸に招き、3回生との懇親会は2月13日から行なわれた。

◆「5年前はカレーだった」

 安倍首相は“魔の3回生”を前にするとつい口が軽くなる。

「君たちくれぐれも秘書は大切にしてくれよ。秘書とのトラブルで人生を台無しにする人もいるんだから」

 公邸での懇親会は長テーブルの上座に首相、その隣に進行役の西村康稔・官房副長官が座り、約20人の3回生がズラリと並んでいた。

 彼らのほとんどは安倍氏が先頭に立って民主党から政権を奪還した2012年の総選挙で初当選した「安倍チルドレン」だ。高い内閣支持率を背景に風に乗って当選を重ね、選挙の苦労を知らないだけにスキャンダルが絶えない。同期にはゲス不倫の宮崎謙介氏や「このハゲー!」発言の豊田真由子氏ら議席を失った者もいる。

 首相も国会と違って彼らの前では元気になる。13日の懇親会は平昌五輪の開会式から帰国したばかりとあって、首相のスピーチは朝鮮半島情勢の話から始まった。

「(北朝鮮への対応は)米国と緊密に連携することが大事だ。拉致問題を含めてしっかり対応していく」

 憲法改正の話にはとくに熱がこもった。

「あなた方は憲法改正が国会で議論になる時代に議員になった。その責任を負っているということをよく自覚していただきたい」

 一通りスピーチが終わると、シャンパンで乾杯。本格コース料理が奮発された。

「われわれ魔の3回生(笑い)は、まだ新人だった頃に総理に招かれて公邸で懇談したことがある。あの時はランチでカレーライスだったから、えらい違いです。乾杯した後、肉料理やスープ、サラダまで美味しい料理が次々に出てきた。みんなシャンパンやワインを結構飲んでましたよ。総理も上機嫌で、乾杯のときはお酒にも口を付けていましたね」(出席した議員)

 宴もたけなわになった頃、進行役の西村官房副長官が、「せっかくの機会だから」と出席者に1人ずつスピーチを求めた。事前通告なしのハプニングだ。

「総理に伝えたいことを2分で喋れと突然言われました。地元の選挙区で困っていることや、次の市長選はどうしたらいいか、といった質問が出た。総理は一つ一つ親身に聞いて、『選挙に近道はない。地元を回って皆さんに顔を見せ、話をよく聞け』『君たちの一番大事な仕事は次も当選すること』とアドバイスをしてくれた。中には、総理にアピールしようとここぞとばかりに憲法改正への熱い意気込みを語る人や、地元に新幹線をつくってほしいという要望まででました」(別の出席議員)

 自民党の3回生(衆院)は88人。懇親会は13日の1回目は北海道から北関東ブロックまでの約20人、次は東京や南関東ブロックという具合に約20人ずつ4回に分けて行なわれたが、2回目以降の出席者には「総理の前でスピーチさせられる」という情報がすぐ伝わってパニックが起きた。

 西日本選出の3回生議員の1人は「アンチョコ」を用意したという。

「総理の前であがって話が混乱したら大変。だから懇親会では自分のスピーチの順番までこっそり原稿を見て頭に叩き込むのに必死でした。テーブルには美味しそうな料理が並んでいたけど、何を食べたかも味も全く覚えていません」

 まるで一夜漬けの受験生である。

 当の首相は懇親会も4回目になると、議員のスピーチへのアドバイスもそこそこに、「ハイ、次」と流れ作業のようにこなしていたが、若手が自分の前に出るだけで緊張でガチガチになる様子を眺めるのは絶好のストレス解消になったはずだ。懇親会の中身については西村官房副長官から箝口令が敷かれたというが、内容にさしたる機密性は感じられないから、首相のうさ晴らしの実態が詳らかになるのがマズいと判断したのだろうか。

※週刊ポスト2018年3月16日号

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