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意外と日本が大好きな中国人 - 澁谷 司

最近、『TopBuzz』に、面白い動画がアップされていたので紹介したい。

「【政治 経済 歴史】中国はどれだけ日本のことが好きか!100以上の映像実例で紹介!【国際政治】」(2017-11-15付)である。マッキーという方が動画を提供している。これを見ると、中国への見方・考え方が多少変わるかも知れない。

実は、このビデオでは、AKB48(ここでは、SKE48やHKT48等も含めた総称を指す)の姉妹グループ、SNH(上海)48が中心に描かれている。

因みに2016年、AKB48の運営会社・所属事務所であるAKSは 、SNH48側が契約違反をしたとの理由で契約を打ち切った。

その後、中国ではSNH48を模したコピー版が次々と生まれている。BEJ(北京)48、GNZ(広州)48、SHY(瀋陽)48、重慶CHQ(重慶)48などが続々と誕生した。

この動画の中には、いくつか興味深い点があるので列挙しよう。

第1に、動画制作者のマッキー氏は、世界的にみても日本のセーラー服文化は珍しいと喝破した。確かに、その通りかも知れない。一説には、1920年、京都の平安女学院がワンピース型のセーラー服を採用し、翌年、福岡の福岡女学院がセパレーツ型のセーラー服を取り入れたと言われる。

セーラー服は日本文化―kawaii―の1つの象徴である。だから、世界の女子中学生・女子高校生の憧れの的なのかも知れない。

そう言えば、フィギュアスケートの世界女王、ロシアのエフゲニア・メドベージェワ(平昌オリンピックでは銀メダル)が、2016年の世界選手権大会・2017年の世界国別対抗戦後のエキシビションで『セーラー服美少女戦士セーラームーン』(武内直子作)のコスプレで滑っている。

第2に、マッキー氏は、中国では、若い健康的な女の子達が多人数で歌ったり踊ったりするは珍しいとも鋭く指摘した。

例えば、K-popのグループ・ユニットは、見事な歌とダンスを披露する。日本人にもお馴染みのKARAや少女時代、TWICE等は、女性としての魅力(色っぽさ)を大いにアピールする。

ところが、 SNH48は女性としての色香を封印して、健康美を全面的に押し出している。どちらかと言えば、SNH48は、(本家本元のAKB48同様)K-popと比べてしまうと、歌やダンスはあまり褒められたものではない。

しかし、その素人っぽさが、逆に受けるのかも知れない。観客(視聴者)からすれば、プロだと別の世界の人間だと感じる。だが、素人っぽいと親近感を覚えるだろう。確か、AKB48のコンセプトは(秋葉原へ行けば)「会いに行けるアイドル」だった。

第3に、SNH48は、視聴者を巻き込むオーディション形式でアイドルをプロデュースしていく(因みに、2012年、中国では『The Voice of China中国好声音』というオーディション番組が始まった。それは、現在『中国新歌声』へと受け継がれている)。元来、この手法は、我が国で1971年から日本テレビで開始された『スター誕生!』で採用された(作詞家、阿久悠が考え出した視聴者参加型歌手オーディション番組。1983年に終了)。

素人がどのようにしてアイドルになるのかという、そのプロセスを視聴者に披露した。その番組からデビューしたスター第1号が、森田昌子(栃木県宇都宮市出身)こと、森昌子である。森昌子を皮切りに、その後『スター誕生!』から桜田淳子、山口百恵、岩崎宏美、ピンクレディらがスターへの道を歩んでいる。

第4に、SNH48もAKB48を見習い、2014年来、画期的な一大イベントである“総選挙”を実施している。ファンの投票総数で彼女達の人気順位(=活動の幅や多寡)が決まる。この投票自体、選挙慣れしていない中国の若者にとって衝撃的だったはずである。民主主義とは何かをこの総選挙で学べたのではないか。

昨2017年(第4回)の SNH48の総選挙では、第1位が鞠婧禕(2016年に続き、2年連続。四川省遂寧市出身。愛称はキクちゃん)、2位が李藝彤(西安市出身。愛称はイーちゃん)、3位が黄婷婷(上海市出身。愛称はテテちゃん)となった。鞠婧禕は昨年12月、SNH48を卒業して、女優へと転身している。

第5に、 SNH48は、活動をはじめてからずっとAKB48の曲を中国語でカバーしていた。J-popのリズムが中国の若者にも受け容れられたのである。けれども、2016年、日本のAKSとトラブルを起こして以来、主力のチームSⅡとチームNⅡは、AKBの中国語のカバー曲を歌っていない。その代わりに、オリジナルの中国語曲を歌うことになった。

結論として、一般に、少なくとも中国の女子は日本文化への憧れが強いようである。彼女達を応援する男子達が、彼女達アイドルを通して日本文化に触れ、日本へ憧れを持ってくれたら良いのではないだろうか。

日中政府間同士はともかく、ひょっとしたら、民間レベルでは日中友好が可能なのかも知れない。
澁谷 司(しぶや つかさ)
1953年、東京生れ。東京外国語大学中国語学科卒。同大学院「地域研究」研究科修了。関東学院大学、亜細亜大学、青山学院大学、東京外国語大学等で非常勤講師を歴任。2004~05年、台湾の明道管理学院(現、明道大学)で教鞭をとる。2011~2014年、拓殖大学海外事情研究所附属華僑研究センター長。現在、同大学海外事情研究所教授。
専門は、現代中国政治、中台関係論、東アジア国際関係論。主な著書に『戦略を持たない日本』『中国高官が祖国を捨てる日』『人が死滅する中国汚染大陸 超複合汚染の恐怖』(経済界)、『2017年から始まる!「砂上の中華帝国」大崩壊』(電波社)等多数。

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