今年1月22日になって、15人の実習計画の申請があったことを厚生労働省が明らかにしたと報道された。第1陣は5月頃来日とみられ、原則2ヶ月の講習を経て国内の介護施設で働くことになる。
◆外国人が介護現場で働くルート
1つは、この技能実習制度。民間同士の契約。そのため、「外国人技能実習機構」が新設され、実習先への監視を強める。実習生の受け入れは国の認可を得た「監理団体」が担当。実習先から出された技能実習計画の認定や実習生の相談支援をする。実習先も、訪問系のサービス事業所を除外し、設立後3年以上たった施設に限定。実習生5人につき1人の介護福祉士などの資格を持った指導員が必置。常勤職員が30人以下の小規模施設は、総数の1割を受け入れの上限とした。2つは、政府間の経済連携協定(EPA)。08年からインドネシア、09年からフィリピン、14年からベトナム。看護などを学んだ人が来日し、働きながら介護福祉士の資格取得を目指している。現在、2,000人程度。
3つは、留学生。昨年9月に入管難民法が改正され、在留資格に介護が加わり、日本の大学や専門学校で学んで介護福祉士の資格を取れば、国内でそのまま働けるようになった。留学生は約600人。この人数は増えると予想されている。
◆人手不足のあおり
外国人技能実習制度に介護職種が加えられた背景は、「技術移転による国際貢献」よりは介護人材不足にあるといえよう。25年には約38万人が足りなくなると試算されているように、現場の最大の課題は働き手の確保にある。そもそも一般人は高い給与を求めて職場を移動する傾向にある。介護施設で働くすべての人に老人介護に対する特別な思入れを期待する方がおかしい。因みに、著者の住所近くに大型商業施設が設置されたが、その商業施設では人集めのためこれまでよりも格段に高い時給が提示された。他の商業施設はもちろん近隣の介護施設までもたちまちあおりを受け、同程度の時給レベルを要求されることになった。介護報酬の制約などから引上げに応じなければ、途端に介護施設から人は消えてしまう。
介護施設には配置基準遵守義務があり、技能実習生を配置基準にカウントできるというので、施設側はその受け入れを本気になって考え出したわけだ。