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- 2018年03月03日 17:31
ウェブメディア乱立の今、業界従事者はどこへ行くのか… 先が見えない上に中高年貧乏人輩出業界になったらイヤだな
3月20日19時30分より阿佐ヶ谷ロフトAにてネットニュース「第1回モヤモヤ王」決定戦が開催されます。参入障壁の低さから続々とウェブメディアへの参入が続き、一昔前だったら「お、お前が世間様に対して文章を公のサイトとして公開するの???」みたいなことを言われそうなクソネットメディアも多いわけですが、業界の最新事情及び問題点について現場で働く人々及び「ご意見番」が好き放題言いまくる愉快なイベントになることが予想されます。今回の主役は20代の美人ギャル2名ですが、この座組みで実施することになった経緯については、2人とともに場をまわす出演者の1人であるHagex氏がブログで書いておりますので、そちらをご参照ください。
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この写真は家系ラーメンでまったく関係ないのですが、まぁ、ラーメンの写真ってあっても嬉しいものじゃないですか。というわけで、当ブログのエントリーについては「ウェブメディア」というものについて一つの問題提起をしたい。まずは、当日の出演者について。
【司会進行】
和田まおみ(週刊SPA!)
久住梨子(産経デジタル)
【コメンテーター】
Hagex(Hagex-day info 管理人)
【ゲスト】
鳴海淳義@narumi
渡辺一樹(ハフポスト)
私が阿佐ヶ谷からの引退を決めたのは、「若い人が喋る機会を得た方がいい」という考えがあったからです。それと同時に、自分自身にとっても集客や準備におけるツラさから逃げたかったからなのですね。今回、2人の20代女性、そして私よりは確実に若い3人の男性が場を回していきます。
普段、このブログはふざけたものですが、ここでは真面目にウェブメディアのあり様と今回のイベントの意義について書いてみる。ウェブメディアについては現状「多過ぎ」という状態があり、それに加えて「プレイヤーにバカも多い」という状態があると考えています。新しいことにトライする若い息吹は感じるものの、それは一時期の勢いのようなもの。
なぜかといえば、日本のウェブメディアの場合、日本語で書かれているものがほとんどのため、海外からのアクセスがなかなか期待しづらい状態なんですよね。動画や英語対応をすればともかく、日本語テキストとなれば、日本のサイト同士のPV及び時間、シェアの取り合いになる。
しかしながら「ウェブメディア儲かるらしいぜwww」みたいに思った人々によりメディアはボコボコと立ち上がっている。
私自身は2001年からメルマガの仕事にかかわるようになり、2006年からネットニュースの編集にかかわるようになりました。その後記事をネットで見る時代は本格化してきたわけですが、ウェブメディアにかかわる皆さんにこの問いをしたい。
この仕事、続けていてどこに我々は行くのだろうか……
プレイヤーの数だけは増え、人口減少などもあり人間が使う総時間も減少する。それなのに続々と「ウェブメディアいぇーい!」と参入者は続く。
かつて、雑誌の場合だと椎名誠、嵐山光三郎、石川次郎、山田五郎、岸田一郎(ここまで「郎」だらけだな)、町山智浩といった文字系の編集者に加え、堀江信彦、鳥嶋和彦といった週刊少年ジャンプのイケイケ時代を支えた編集者がいて、尊敬を集めてきました。また「文化人」としてのステイタスも獲得してきた。(他にも大勢優れた人はいるが、このぐらいで。あと、いちいち選んだ人物について突っ込まないでいいんで。優れた編集者像は皆さんが自由に考えてください)
ここからテレビや講演等幅広い活動を行うとともに作家活動をする人も出てきた。これって「編集者(時にライター)」をやっていた場合に、イケイケになれる余地があったってことを意味するんですよね。
翻ってウェブメディアですよ。昨年100人規模の参加者がいた「ライター忘年会」に参加し、そこにいた人々の熱気と華やかさに私も仰天し、羨ましくなりましたが、皆さん20~30代の若者。私は44歳でもう完全に「終わった人」であり「ロートル」です。この熱気は素晴らしいと思ったものの、同時に考えたのが、
果たして10年後もこの人々が同じようにこの場に集えるだろうか? 彼らに加え、新たに参入してきた若者と合わせて300人で楽しくこの会が開けるだろうか……。競争相手だけが増えるデスマーチが展開され、中年貧乏人大輩出業界になってしまわないだろうか……。
ということでした。たくさんの人が参加し、貧乏人が少ない状態であってほしい気持ちはあるものの、ライター・編集者という仕事は本来は日陰者であり、人数は限定的なものでした。ところがウェブメディア乱立の中、この2つの職種への需要が高まり過ぎ、現在の続々参入状態になってしまった。
となれば、10年後はオッサン・オバサンが既得権益を持って若者を排除するようないびつな業界になってしまっているのでは……なんてことも思ったわけです。ちょうど10年前の雑誌業界がそうだったように。
5年ほど前「ネットニュースやってまーす!」なんて言ったらバカにされる時代ですが、今はそうではない。多分ウェブメディアの方が紙メディアよりもイケてる仕事、的な空気は漂い始めています。紙メディアの人々と会うと今後の進路を嘆くコメントばかりもらいます。
そういった時代にある今、もはや「紙」「ネット」というアホのような2項対立から本来の文字コンテンツが大切にしなくてはならぬ「何を書くか」「何を取材するか」「どんな視点を持つか」という点で勝負する時代にならなくてはいけないのでは? と私は思うのです。
しかしながら私はもう終わった人。そういったことを考えるのはこれからの将来ある若手に任せ、栄えあるメディアの未来を作っていただければな、なんてことを思い今回のイベントに大勢のお客さんがいらっしゃることを期待します。
元々アホなことを書こうかと思ったのですが案外真面目な気持ちになってしまいました。イベントの登壇者とは3月5日にも打ち合わせをします。色々そこで課題なども出てくるかとは思いますが、私も裏方としてこのイベントが楽しいものになるよう、小作農的な動きはしますので、皆様どうぞ3月20日は阿佐ヶ谷ロフトにお越しください。
それではまた!
この写真は家系ラーメンでまったく関係ないのですが、まぁ、ラーメンの写真ってあっても嬉しいものじゃないですか。というわけで、当ブログのエントリーについては「ウェブメディア」というものについて一つの問題提起をしたい。まずは、当日の出演者について。
【司会進行】
和田まおみ(週刊SPA!)
久住梨子(産経デジタル)
【コメンテーター】
Hagex(Hagex-day info 管理人)
【ゲスト】
鳴海淳義@narumi
渡辺一樹(ハフポスト)
私が阿佐ヶ谷からの引退を決めたのは、「若い人が喋る機会を得た方がいい」という考えがあったからです。それと同時に、自分自身にとっても集客や準備におけるツラさから逃げたかったからなのですね。今回、2人の20代女性、そして私よりは確実に若い3人の男性が場を回していきます。
普段、このブログはふざけたものですが、ここでは真面目にウェブメディアのあり様と今回のイベントの意義について書いてみる。ウェブメディアについては現状「多過ぎ」という状態があり、それに加えて「プレイヤーにバカも多い」という状態があると考えています。新しいことにトライする若い息吹は感じるものの、それは一時期の勢いのようなもの。
なぜかといえば、日本のウェブメディアの場合、日本語で書かれているものがほとんどのため、海外からのアクセスがなかなか期待しづらい状態なんですよね。動画や英語対応をすればともかく、日本語テキストとなれば、日本のサイト同士のPV及び時間、シェアの取り合いになる。
しかしながら「ウェブメディア儲かるらしいぜwww」みたいに思った人々によりメディアはボコボコと立ち上がっている。
私自身は2001年からメルマガの仕事にかかわるようになり、2006年からネットニュースの編集にかかわるようになりました。その後記事をネットで見る時代は本格化してきたわけですが、ウェブメディアにかかわる皆さんにこの問いをしたい。
この仕事、続けていてどこに我々は行くのだろうか……
プレイヤーの数だけは増え、人口減少などもあり人間が使う総時間も減少する。それなのに続々と「ウェブメディアいぇーい!」と参入者は続く。
かつて、雑誌の場合だと椎名誠、嵐山光三郎、石川次郎、山田五郎、岸田一郎(ここまで「郎」だらけだな)、町山智浩といった文字系の編集者に加え、堀江信彦、鳥嶋和彦といった週刊少年ジャンプのイケイケ時代を支えた編集者がいて、尊敬を集めてきました。また「文化人」としてのステイタスも獲得してきた。(他にも大勢優れた人はいるが、このぐらいで。あと、いちいち選んだ人物について突っ込まないでいいんで。優れた編集者像は皆さんが自由に考えてください)
ここからテレビや講演等幅広い活動を行うとともに作家活動をする人も出てきた。これって「編集者(時にライター)」をやっていた場合に、イケイケになれる余地があったってことを意味するんですよね。
翻ってウェブメディアですよ。昨年100人規模の参加者がいた「ライター忘年会」に参加し、そこにいた人々の熱気と華やかさに私も仰天し、羨ましくなりましたが、皆さん20~30代の若者。私は44歳でもう完全に「終わった人」であり「ロートル」です。この熱気は素晴らしいと思ったものの、同時に考えたのが、
果たして10年後もこの人々が同じようにこの場に集えるだろうか? 彼らに加え、新たに参入してきた若者と合わせて300人で楽しくこの会が開けるだろうか……。競争相手だけが増えるデスマーチが展開され、中年貧乏人大輩出業界になってしまわないだろうか……。
ということでした。たくさんの人が参加し、貧乏人が少ない状態であってほしい気持ちはあるものの、ライター・編集者という仕事は本来は日陰者であり、人数は限定的なものでした。ところがウェブメディア乱立の中、この2つの職種への需要が高まり過ぎ、現在の続々参入状態になってしまった。
となれば、10年後はオッサン・オバサンが既得権益を持って若者を排除するようないびつな業界になってしまっているのでは……なんてことも思ったわけです。ちょうど10年前の雑誌業界がそうだったように。
5年ほど前「ネットニュースやってまーす!」なんて言ったらバカにされる時代ですが、今はそうではない。多分ウェブメディアの方が紙メディアよりもイケてる仕事、的な空気は漂い始めています。紙メディアの人々と会うと今後の進路を嘆くコメントばかりもらいます。
そういった時代にある今、もはや「紙」「ネット」というアホのような2項対立から本来の文字コンテンツが大切にしなくてはならぬ「何を書くか」「何を取材するか」「どんな視点を持つか」という点で勝負する時代にならなくてはいけないのでは? と私は思うのです。
しかしながら私はもう終わった人。そういったことを考えるのはこれからの将来ある若手に任せ、栄えあるメディアの未来を作っていただければな、なんてことを思い今回のイベントに大勢のお客さんがいらっしゃることを期待します。
元々アホなことを書こうかと思ったのですが案外真面目な気持ちになってしまいました。イベントの登壇者とは3月5日にも打ち合わせをします。色々そこで課題なども出てくるかとは思いますが、私も裏方としてこのイベントが楽しいものになるよう、小作農的な動きはしますので、皆様どうぞ3月20日は阿佐ヶ谷ロフトにお越しください。
それではまた!
- 中川 淳一郎
- ネットニュース編集者
ライター、編集者、PRプランナー。
一橋大学商学部卒業後、博報堂CC局で企業のPR業務を請け負う。2001年に退社後、フリーライターとなり、その後『テレビブロス』編集者に。企業のPR活動、ライター、雑誌編集などを経て『NEWSポストセブン』など様々な、ネットニュースサイトの編集者となる。
著書に『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)、『凡人のための仕事プレイ事始め』、『ウェブで儲ける人と損する人の法則』、『内定童貞』など。
一橋大学商学部卒業後、博報堂CC局で企業のPR業務を請け負う。2001年に退社後、フリーライターとなり、その後『テレビブロス』編集者に。企業のPR活動、ライター、雑誌編集などを経て『NEWSポストセブン』など様々な、ネットニュースサイトの編集者となる。
著書に『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)、『凡人のための仕事プレイ事始め』、『ウェブで儲ける人と損する人の法則』、『内定童貞』など。