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- 2011年07月30日 07:02
「メディアには何をやられても、メディアでやり返せばいい。」石川知裕氏と佐藤優氏が緊急対談(後編)
3/3菅首相が溺れている”ナルシシズム”
佐藤:石川さんは、今後の政治の中で何をやりたいですか?
石川::今、私は北海道・十勝にいますけれど、結論から言えば、きちんと国民の所得を上げて行く政治をやらなければならない。
佐藤:それは私も大賛成。とにかく東日本大震災の復興から、やらなければならないことは、たったひとつだと思うんです。大量破壊が起こったんだから、それを回復するには生産しかありません。そのためには仕事です。労働価値説を復活して、とにかくみんなで働く。
今、政府の議論は、基本的にすべてが分配の議論でしょう? 生産を復活させるためには、やはりバッチをつけた人に頑張って頂かないと。なぜ、こうやって皆空回りしてしまうんだろう?
石川:やっぱり胆力がないからだと思います。執行部全員が自分のことを棚に上げて、トップが悪いんだと攻めている。そんな会社が成功する訳がない。専務も、部長も、みんな『ウチの社長が悪いから、スミマセン』って......。
佐藤:それに合わせて、今はナルシシズムが出ていると思う。
もともとギリシャ神話なんですが、ナルキッソスという青年がいました。彼は非常に女性にもてていた。でも、余りにも素行が悪いために、『自分以外は愛せない』という呪いをかけられてしまう。ある日、水に映る自分の姿に見とれてしまって、身動きが取れなくなってしまった。結局、そのままやせ衰えて死んだ。別の結末では、水に映った自分にキスをしようとして、溺れ死んでしまう。その後に水仙の花が咲いたというわけで、水仙の花言葉は『自己中心』になった。
今の菅さんは、このナルシシズムに溺れていると思います。これは取って付けた議論ではなくて、フランスの政治人口学者でフランス国立人口学研究所のエマニュエル・トッドという人が『デモクラシー以後』という本の中で言っているんだけれど、『バラバラになった新自由主義の後には、極端に自己愛の強いナルシストが出てくる』と。
菅さんは権力にしがみついているのではない。権力にしがみついているならば、何かやりたい事があるはずです。彼はやりたい事がない。それは自分の映った姿に見とれていて動けなくなっているから。それと同じことをBLOGOSの『眼光紙背』でも書きました(佐藤優の眼光紙背:第105回「竹島問題を巡る外務省の中途半端な対応が、ロシアに付け入る隙を与えている」)。韓国の大韓航空が竹島の上空でデモ飛行をしたことに対して、外務省がは省員だけ7月18日から1カ月間大韓航空機の利用を自粛するとした。これは外務省としては、相当踏み込んだ対応です。例えば、北方領土を考えた場合、サハリン航空なんて毎日領空侵犯している訳ですよ。それにも関わらず、抗議なんて1回もしたことがない。
今の状況で、内閣府や経産省の連中が大韓航空を利用して、外務省だけ利用しなくても意味がないでしょう。これでは、政府として機能していないということをあぶり出してしまう。
外務官僚達は、今の日本には単一の政府はないと考えたんでしょう。『Small Governments』、複数形の小さな政府しかないと。この状況で自分達の中で国益を代表するには、自分達の中で出来る措置は何かと考えた。それを官邸に上げずに決めてしまったんです。これもナルシズムとしか言いようがない。 結果、ロシアからは『韓国に言って、俺たちに言って来ないのは、俺たちが強いからだ』となめられてしまう。この自己陶酔をやめさせるためには、自分の姿が醜いことを、知ってもらう必要があります。その点、小沢さんはナルシストではないと思う。
石川:この顔を見て、ナルシストにはなりませんよね。その心配はない(笑)。
佐藤:彼が、自分自身を突き放して見ているのは、はいい所だと思う。
石川:ニヒリズムとかが盛り上がる中で、小沢さんはギリギリのラインは分かっています。それが必要とされるんじゃないかな。
最高裁まで戦うには4,500万円必要
佐藤:この続きは、是非『悪党』を読んで欲しいんです。この本を出版した目的に、金儲けがあります。何のために金が必要なのか、それは裁判なんですよ。裁判はやっぱり金がかかるでしょう?石川:もう莫大な金額かかりますね。ビックリするくらい。
佐藤:私は8年間やりました。弁護士は適正な価格でやってくれましたが、外国からも証人を呼んできましたし、だいたい2,000万円掛かった。 この2,000万円は全て自分で稼いだんですが、税金払うことを考えると4,500万円くらいが必要です。これくらいの金額がないと、最高裁まで上げることは出来ないんです。石川さんは小沢さんに依存せずに、自分で訴訟費用を作っている。
石川:実際、ホームページで全国からカンパを募集して、500万円以上頂戴しています。
佐藤:10年も裁判が続くと金もかかります。『こっちだって執行猶予で済ませようと思ってるんだ。公判1回で終れば、みんなすぐに忘れる。新しい人生を始めることができる』って、検察官は本気でそう思っていました。外務省の東大卒キャリアだった私の同僚は、それを選択した。
石川さんが戦うという選択をした以上は金もかかるし、色々な逆風もあるけれど、最後までやってみた方がいいと思う。
石川:とにかく戦うことを選択したので、最後まで頑張ります。
佐藤:皆さんも、この『悪党』を是非読んで下さい。金返せって内容じゃないことは、私も本読みなので、ちゃんと保証します。
石川:重版が追いついていないんですけれど、Amazon等で予約して頂けると助かります。
佐藤:今日はありがとうございました。
石川知裕氏の記者会見
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佐藤優の眼光紙背
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