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【大豊作】:2011年を振り返るゲーム理論書12冊

2011年もいよいよあと3日となりました.今年を締めくくるような壮大な記事を書くのは無理そうなのですが,せっかく年の瀬ですので,今年出版されたゲーム理論関連の書籍をおさらいしてみます.本年は,入門書から上級書まで,まんべんなく良書が出版された大豊作の1年だったのではないかと思います.

以下では,2011年に出版された邦書の中から,入門・中級・上級・啓蒙・研究・番外の6つの項目ごとに2冊ずつ,合計12冊をピックアップさせて頂きました.
興味のある本がございましたら,ぜひ年末年始のゆとりのある時間に手に取ってみて下さい!

入門書

図解で学ぶゲーム理論入門

とても読みやすく,退屈さを感じさせない工夫があり,重要なトピックがカバーされ,それでいて記述が信頼できる,入門テキストのお手本のような1冊です.ゲーム理論のコンセプトを少し体系的に,でも退屈にならない程度に抑えたい方にジャスト・フィット!

Financial JAPAN (フィナンシャル ジャパン) 2011年 07月号 [雑誌]

雑誌の特集とは思えないほど「ゲーム理論」コーナーが充実しています.完全に手前味噌ですが,私もインタビュー記事を載せて頂きました^^


中級書

ゲーム理論とその経済学への応用

国際貿易やマクロ経済学などの分野で使われている,ゲーム理論の応用分析が数多くカバーされています.講義の副読本などとして特に役に立ちそう.

戦略とゲームの理論

ゲーム理論の確率的解釈やグローバルゲームなど,目新しいトピックにも切り込んだ,意欲的な教科書風エッセイです.


上級書

学部レベルの必要なトピックをすべてカバーしている中級ゲーム理論テキストの定番=ギボンズ(『経済学のためのゲーム理論入門画像を見る』と,Fudenberg and Tirole画像を見るOsborne and Rubinstein画像を見るなどの研究者向け洋書上級テキストを繋ぐレベルの邦文献は僅少だったのですが,今年は2冊も素晴らしいテキストが出版されました☆

非協力ゲーム理論

著者自身が強調しているように,細かい点に妥協せずに厳密にゲーム理論を学べる1冊です.一見すると中身がゴツそうですが(笑),難易度的にはギボンズとそれほど違わないので,ある程度ゲーム理論の基礎が固まっていれば挑戦できると思います.↓の岡田本では敷居が高いと感じられる方は,まずはこちらから攻めてみてはいかがでしょう?

ゲーム理論 新版

国内随一のゲーム理論上級テキストとして長らく愛されていた旧版『ゲーム理論』の出版から早15年,ついに待望の新版が登場しました!この間の学術研究の進展を反映されて新たなトピックがいくつも追加されたことはもちろん,全編にわたってレイアウトが変更されより読みやすく仕上がっています.(ただし,表紙に関して個人的には,今回のペーパーバックより旧版のハードカバーの方が好みでした^^)主要定理の証明が(省略されずに)細かく載っているのも有り難いです.文献のレファレンスとしても重宝するので,ゲーム理論の専門的な勉強に進みたい方は迷わず買いましょう!


啓蒙書

「しがらみ」を科学する: 高校生からの社会心理学入門

社会心理学の大家である山岸さんが,巷にあふれる「心でっかち」な説明の問題点とインセンティブの重要性を分かりやすく解説した名著です.イジメ問題の例を通じて,ゲーム理論の考え方(とそこで登場する複数均衡)を数字を用いながら説明する手腕は流石です.僕自身も,冒頭のジントニックのクイズから引き込まれ,一気に通読してしまいました!


不自由な経済


日経新聞に連載された松井先生の今までの記事をまとめて書籍化したもので,帯に書かれた「ゲーム理論で読み解く現代日本」というフレーズがそのまま当てはまる1冊です.本書(に収められた記事)の中で私の論考も2つ取り上げて頂きました.どうもありがとうございます^^ 大部分が未読ですので,年末年始にじっくり読ませて頂きます!


研究書

今年は大著と呼ぶべき研究書も2冊登場しました!私自身がきちんと通読していないため専門的なコメントは控えますが,どちらも分野横断的で野心的な著作です.前著では,ゲーム理論によるアプローチで企業統治を長年研究されている青木先生が,新しい研究成果やアイデアを提示されています.後者はタイトルに「社会科学の統合」とあるように,ゲーム理論アプローチの有用性/普遍性を幅広く解説したエッセイ風の上級テキストといった1冊です.
2冊とも,表面をなぞるような読み方では理解が難しい本ですので,じっくりと噛み締めながら楽しんで下さい!

コーポレーションの進化多様性―集合認知・ガバナンス・制度


ゲーム理論による社会科学の統合



番外編

最後に,番外編という形で関連書籍を2冊ご紹介します.前者はいわゆる(経済学者が慣れ親しんでいる)ゲーム理論書とは趣きが異なり,具体的な「ゲーム」(完全情報2人ゲーム)について,様々な数理的な分析を加えた研究書です.後者は,マンガを用いたミクロ経済学の新しいテキストで,個人の意思決定の後に市場メカニズムに直接進まず,グループの意思決定としてゲーム理論を細かく解説しています.この構成が果たして読者にとって読みやすいかどうかは議論が分かれるかもしれませんが,ミクロ経済学についてある程度知識のある方であれば,楽しみながら読めるのではないかと思います.


組合せゲーム理論入門 —勝利の方程式


この世で一番おもしろいミクロ経済学―誰もが「合理的な人間」になれるかもしれない16講

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