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仕事は「やりたいようにやる」常見陽平さんに聞く”社畜上等!”な働き方

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BLOGOS編集部

長時間労働や非正規雇用の拡大といった状況を打破しようと働き方改革が議論される昨今。会社で楽しく働き、生きていくことは難しい時代になったのだろうか。

先日、『社畜上等!会社で楽しくいきるには』を上梓した千葉商科大学国際教養学部専任講師の常見陽平氏に、会社に使い潰されない「正しい社畜・楽しい社畜」とはどのような考え方なのかBLOGOS編集長の田野が話を聞いた。【取材・構成:後藤 早紀】

ポジティブになりつつある「社畜」という言葉

BLOGOS編集部

田野:BLOGOSでは中途社員を募集しているのですが、面接で沢山の方とお会いする中で、改めて理想的な働き方、キャリアの描き方の難しさを実感しています。今回出版されたご著書『社畜上等!』は、どのような人に向けて書かれたのでしょうか。

常見:この本は、これから社会に出る大学4年生から、28歳位までの「若手」と呼ばれる社会人をターゲットとして想定して書きました。なかでも、会社に対する満足度が40~70点くらいで、仕事に対して不完全燃焼で、悶々とした想いを抱いている人に向けた内容になっています。

今回の本は「社畜上等!」という強烈なタイトルですが、これはボロボロになるまで働けという意味ではありません。「社畜」という言葉は、最近では、二転三転してポジティブな言葉になってきています。長時間残業している様子を、「俺、社畜だから」とプライドを持ってFacebookに投稿する人も増えてきていますよね。

田野:常見さんも新入社員の頃は、やりたい仕事ができず悩んだというエピソードを本の中で語られていますね。

常見:私は入社当初、通信サービスの営業をしていたのですが、もともとはクリエイティブな仕事を目指していました。その頃、同級生の中川くん(※編集部注:編集者の中川淳一郎氏)は博報堂に入社していたので「あいつはクリエイティブだな。学生時代は同じプロレスサークルだったし、俺の方が目立っていたのに・・・」という想いも正直ありましたよ。いつかはクリエイティブな世界に行くんだと思い、いまは廃刊になった『広告批評』(マドラ出版)という雑誌を毎月買うという、意識の高いこともやっていました。

新人時代に、どうしても会社を辞めたくなって、外回りの途中、求人雑誌を手に取りました。それを見て、結局自分は営業職でしか転職できない、この仕事から逃れられないんだという気持ちになったんです。そのとき偶然、SMAPの「夜空ノムコウ」が流れてきて、「あれから僕たちはなにかを信じてこれたかな」という歌詞と、切ないメロディを聴いた瞬間、思わず泣いてしまって。

田野:常見さんにもそういう時期があったんですね。その後、仕事は「やらされる」ものから「やりたいようにやる」という発想になったきっかけはなんだったのでしょうか?

常見:やはり、少しずつ契約を取って成功体験を積んだことや、3年目に念願叶って営業支援のパンフレットやDMを作成する部署に異動になったのは転機でした。

ただ、そうした部署に異動して気付いたのが、お客さんが社外から社内になっただけで、「結局、世の中の仕事は営業なんだ」ということでした。そうした経験を経て、「やりたいことをやる」のではなくて「やりたいようにやる」という視点を持って働くようになり、徐々に身に付いていったという感じです。

たとえば、当時は販促セミナーなどもやっていたのですが、堅いセミナーをやるのではなく、もともと好きで通い詰めていたライブハウスや、プロレスから学んだ起承転結、盛り上げ方を活かせないかという見方をするようになりました。最近は講演の仕事も増えていますが、その時もロックフェスやライブを意識して、どうやったらオーディエンスのハートに火をつけられるか、ということを考えています。

学ぶべきは「社内ヤクザ」の調整力

BLOGOS編集部

田野:求人を出していると、大企業を早々に辞めて面接に来られる方もいます。話を聞くと、「やりたい部署ではなかった」「やりたいことのイメージと違った」ということでした。そういう場合、一旦考え直すように促すべきなのか、対応も難しく感じています。

常見:これは難しい問題で、本人とじっくり話す必要がありますね。ただ、私は、若者は3年以内に会社を辞めてもいいと思っています。伝え方が難しいのですが、若者を使い潰す会社とか、一緒に働いて精神的、肉体的に壊れる会社なら、別のところに移ってもいい。ある意味でそれが雇用の流動化ですし、労働市場が機能しているということですから。もっと合うところがあると思います。近年、大手企業もだいぶ中途採用や、第二新卒の大量募集をやるようになりましたし。

ただ、会社を飛び出す前に、「やりたいことではなかった」ということを、どれ程の根拠で言っているのか、そしてその「やりたいこと」をやったら、君と社会はどれくらい変わるんだ、ということは問いたいですね。

今の新入社員たちは、会社と交渉してみるという選択肢がなく、0か100かで考えて会社を辞めてしまうところがあります。リクルート時代には、会社の役員をサシ飲みに誘い、自分がやりたいことの概念図を紙ナプキンに書いてプレゼンし、新規事業のきっかけを得たという先輩が多数いました。田野さんも昔、そういった「社内ヤクザ」みたいな人を見かけませんでしたか?

田野:社内調整の上手な先輩は確かにいましたね(笑)。そういうエネルギーを持った若手は減ってきているかも知れません。

常見:若手時代は「やりたいこと」と同じように、「向いていること」「期待されていること」をやることも大事だと思います。また、大企業に入る醍醐味は、「やらされること」だと思います。私はなんだかんだいって新人時代に、こうやったら会社は動くんだ、ビジネスはこうやって回っているんだということを身をもって理解できました。

周囲を見渡せば、同僚には後にノウハウ本を出版するようなすごい営業マンがいて、「トップを取る人はここまでやるんだ」というのを近くで学べたのはよかったです。その後、先輩社員からクライアントを引き継ぐこともあったのですが、その時は本当に試されますよね。

漫画「キン肉マン」の王位争奪編で、キン肉マンがいなくなったときに、ミート君が代わりに戦わなければならないシーンがあります。あのとき、誰よりもそばで一流超人の戦い方を見ていたからこそ、ミート君は勝利をつかむことができたのではないでしょうか。

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