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センター試験の見た目の変化は大学入試改革の本質ではない

 2017年12月にセンター試験に変わる「大学入学希望者学力評価テスト」の試行テスト問題が公表され大きな話題になった。しかしあえて言いたい。「大学入学希望者学力評価テスト」でいかに得点を重ねるかという対策に振り回されると、大学入試改革の本質を見失う危険性がある。

 2020年度の大学入試以降、AO入試や推薦入試のような特別入試が増えることが予想される。国立大学協会はすでに、AO入試や推薦入試による入学者を2021年度までに定員の30%に拡大する目標を立てている。

 一方、「AO入試」とは名ばかりで早期に学生を囲い込むための「学力不問入試」が跋扈するのを防ぐため、文部科学省は2017年5月、2020年度以降のAO入試や推薦入試に学力テストを義務づける方針を固めた。AO入試や推薦入試であっても、大学で学ぶのに必要な一定の学力水準を満たしていることは確認するようにという至極まっとうなお達しだ。

 ただしこの場合、従来の入試のように1点2点を競うような形にはならないだろう。「○○検定○級」のように、その大学で学ぶために必要な一定水準の学力を身に付けていることを証明するだけで良いはずだ。

 本当に特別入試が国立大学入学者の3割を占め、さらにその割合を高めていくのであれば、大学受験生に求められる「学力の身に付け方」が大きく変わる。すなわち高校生の学習スタイルが根本から変わる。

 いままでの入試対策はすなわち競合他者との努力合戦だった。相手が100努力するのなら、こちらは101努力する。すると相手も102努力するのでこちらは103努力する……。そうやって過当競争が生じていた。しかし検定試験や資格試験のように一定水準をクリアすればいいということになれば、その水準がいかに高かろうが、他者を意識せずともマイペースでの学習が可能になる。

 他者とかけひきしながら順位を争い最後は気合いと根性のデッドヒートを繰り広げるマラソンと、決められたタイムをクリアすれば良い長距離走では、走り方がまるで違うのと似ている。学校や塾の立場からすれば、競争意識を煽って勉強させるスタイルは通用しなくなる。

 検定試験や資格試験のように目標とする学力水準を着実に身に付けたうえで、自らの興味関心に従った探究的学習を高校生のうちに深めることができるか、そしてそれを大学での学びにつなげることができるか。それこそが最終的に合否を分けるポイントとなる。これこそが大学入試改革の狙いであり、この変化に比べれば、センター試験が大学入学希望者学力評価テストに変わり多少の記述問題や多肢選択問題が加わることなどは枝葉末節なことである。

 「大学入試改革に対応」とうたっていても、どこに照準を合わせるかによって10年後の学校や塾の在り方も大きく変わるだろう。

※「塾と教育」2月号に寄稿した記事を転載しています。

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