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原発過酷事故コスト論争、メディアも官僚も駄目

 25日の原子力委員会「原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委員会」の報道が一斉に流れていますが、マスメディアは十分に理解しないで記事を書いているとしか思えません。事務局がはじき出している、事故コストによる電気料金への上乗せが1キロワット時当たり「0.1〜1.1円」で済むとの試算も信じがたいモノです。この国の官僚組織もマスメディアも「あなた方、本当に大丈夫なのかい」と思ってしまいました。

 まず読売新聞《原発事故コスト、従来の発電費用の2割》の「日本の原発が事故を起こす確率は、全国の原発がこれまでに延べ時間数で1400年あまり稼働してきたなかで福島第一原発1〜3号機が過酷事故を起こしたことを根拠に、『500年に1回』と算定」です。

 原子炉1基を1年運転すると「1炉年」と数えます。国内では過去に1400炉年余りの運転実績があり、福島第一原発事故で3基が炉心溶融の過酷事故を起こしました。だから確率は「500炉年に1回」にするというのです。しかし、国内には54基もの原発がありますから1年で54炉年を消化します。10年もせずに500炉年は終わりますから、この計算方法だと10年後までにまた過酷事故あり、と言っていることになります。『500年に1回』では決してありません。

 次は中国新聞《原発事故1キロワット時最大1円 原子力委、コスト試算》です。「事務局は福島第1原発事故を参考に、損害賠償や廃炉費用を試算し、総額は3兆8878億円とした。ただ除染で出た放射性廃棄物の中間貯蔵施設や、森林の除染費用は含めず、今後の状況により見直すという」「小委員会メンバーの原子力資料情報室の伴英幸・共同代表は『損害費用が少なすぎる。48兆円に達する』としてコスト上昇は1キロワット時12〜16円と反論」

 例えば人口6千人の飯舘村だけで総額3000億円の除染計画を打ち出しています。これは極端なケースかと思いますが、除染費用は非常に膨らみそうです。米スリーマイル島事故と違って今回は原子炉3基で圧力容器の底が抜け、溶融核燃料が格納容器全体、あるいはその地下まで散らばる巨大な高レベル廃棄物体が出現してしまいました。廃炉・撤去を諦めて超巨大な石棺に封印しなければならない恐れすらあります。不確定要因がこれほど大きいのに、数兆円で済むなんて希望的観測を発電コスト比較に持ち込むのはルール違反です。冷温停止の虚構を信じて実態が見えなくなっているのでしょう。

【参照】インターネットで読み解く!「福島原発事故」関連エントリー

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