- 2018年02月23日 14:25
媒体として勃興するネットに圧倒される斜陽新聞メディア〜電通2017レポートと2/21日経社説検証
1/2さて株式会社電通(本社:東京都港区、社長:山本 敏博)は、毎年2月22日になると、わが国の総広告費と、媒体別・業種別広告費を推定した前年の日本の広告費を発表します、今年は「2017年(平成29年)日本の広告費」を発表しました。
2017年(1〜12月)の日本の総広告費は、継続する景気拡大に伴い、6兆3,907億円、前年比101.6%となり、6年連続でプラス成長となった模様です。
2017年 日本の広告費
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2018/0222-009476.html
この資料は、毎年前年の統計が発表されておりまして、広告媒体としてのテレビ、ラジオ、新聞、雑誌、ネットなどのメディアの動静、少しオーバーに表現すれば今世紀に入ってからのメディア興亡の軌跡を追うことができて、大変貴重なレポートであります。
今世紀に入ってからの広告媒体としての各メディアの動静を検証してまいります。
2001年には総広告費6兆0580億円でありました。
■表1:2001年媒体別広告費
媒体 広告費(億円) 総広告費 60580 新聞 12027 雑誌 4180 ラジオ 1998 テレビ 20681 インターネット広告費 735 その他 20959
見やすくグラフ化してみます。
マス四媒体(新聞、雑誌、ラジオ、テレビ)を図で灰色にしていますが、2001年当時は、全広告費のうちマス四媒体(以下マスメディアと表記します)が占める割合はテレビ34%、新聞20%、雑誌7%、ラジオ3%と、実に64%を占めていました。
例えば新聞広告は20%すなわち1兆2027億円であるのに対し、ネットはわずか1%735億円の広告媒体でありました。
広告媒体市場規模としては、94対6と新聞が圧倒していました。
今振り返るとひとつのターニングポイントであった年が2009年といえましょう。
■表2:2009年媒体別広告費
媒体 広告費(億円) 総広告費 59222 新聞 6739 雑誌 3034 ラジオ 1370 テレビ 17139 インターネット広告費 7069 その他 23871
年々媒体としての市場規模が斜陽するマスメディアが48%とそのシェア5割を割り込んでしまったのです。
一方ネット広告は12%7069億円と躍進いたします。
結果としてこの年、史上初めてネット広告が新聞広告を規模で逆転いたします。
■図4:広告媒体としての新聞とネットの市場規模対比(2009年)
さて発表されたばかりの昨年2017年の数値を押さえます。
■表3:2009年媒体別広告費
媒体 広告費(億円) 総広告費 63907 新聞 5147 雑誌 2023 ラジオ 1290 テレビメディア 19478 インターネット広告費 15094 その他 20875
ごらんのように、ネット広告は1兆5094億と24%に躍進、対して既存マスメディアは43%にまでそのシェアを落とします。
結果、ネットと新聞の市場規模は実に75対25にまで水が開いてしまいます。
ここまでをまとめておきます。
今世紀に入ってネットの台頭により、既存のマスメディア・マス四媒体(新聞、雑誌、ラジオ、テレビ)がいかに斜陽してしまったのか、ご理解いただけたと思います。
2001年と2017年の対比で、ネットが735億から1兆5094億と広告市場規模を1兆以上拡大したのに対し、マス四媒体は総計で3兆8886億から2兆7938億と1兆以上市場規模が縮小してきているのです。
中でも新聞は2001年の1兆2027億円から2017年には5147億円にまで縮小しています。
この17年間に半限どころか57.2%減なのであります、広告媒体として新聞の極めて深刻な状況がよく理解できます。
- 木走正水(きばしりまさみず)
- 新聞・テレビの報道分析が高い評価を受けている。