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【読書感想】 少年ジャンプが1000円になる日~出版不況とWeb漫画の台頭~

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少年ジャンプが1000円になる日~出版不況とWeb漫画の台頭~ (コア新書)

少年ジャンプが1000円になる日~出版不況とWeb漫画の台頭~ (コア新書)

Kindle版もあります。

少年ジャンプが1000円になる日?出版不況とWeb漫画の台頭? (コア新書)

少年ジャンプが1000円になる日?出版不況とWeb漫画の台頭? (コア新書)

内容(「BOOK」データベースより)
この新書は「出版不況」と「Web漫画の台頭」をテーマにした一冊です。出版不況と呼ばれて久しいですが、その一方で売り上げを伸ばしているのがWeb漫画。紙の漫画とはまったく違う形で利益を生み出しているのです。本書はWeb漫画のヒットの秘密を明かすとともに、出版不況の内実も暴露。紙とWebの狭間に揺れる出版業界を、キーマンへの取材によって解き明かします。

 本が売れない、とくに雑誌の凋落がひどい、という話は、本好きで、出版業界に興味をもっている人なら、耳にしたことがあるはずです。

 そんななかで、これからの出版業界(とくに漫画)はどうなっていくのか、について関係者への取材をまじえながら検証・考察されています。

 毎年出版業界のデータをリリースしている出版科学研究所によると、出版市場の2016年の売上額は1兆4709億円、これは前年比3.4%減。その内訳は書籍が7370億円(同0.7%減)、雑誌が7339億円(同5.9%減)で減少幅自体は前年の5.3%より下がっている。その結果にひと安心、と思いたいところだが、販売額は12年連続の減少ともはや下降線は止まらない。  

 そんな2016年の出版界に起きた大きなトピックがある。それは1979年から売上額は雑誌>書籍だったのが、2016年に売上額が逆転したことだ。37年ぶりの「書高雑低」。出版界の売上額は1996年まで伸び続け、そこから減少を続けているが、特に雑誌の下落が著しい。

 さらに最新の報道によれば、2017年の書籍と雑誌を合わせた紙の出版物推定販売金額は約1兆3700億円とさらに低下。しかも減少額は過去最大の7%減。出版界の市場規模は1996年の約52%まで縮小する見通しだという。

 普段通勤通学で電車を使う人なら、電車の中でサラリーマンやOLが雑誌を見る光景がめっきり減り、皆スマホを見るようになったな……と思うだろう。その光景と、この「書高雑低」のデータは無縁ではない。

 また最盛期である1996年の雑誌売上を100とした場合、定期誌(月刊誌・季刊誌)は43%、週刊誌は37%まで落ち込んでいる。

 僕自身も、雑誌を手にとることは少なくなった、というか、ほとんど無くなってしまったんですよね。
 ネットのリアルタイム性や無料で情報を得られることに慣れてしまうと、雑誌は情報が遅いし高いし、かさばるし……
 
 それでも、漫画というジャンルに関しては、大きな誌面で絵を楽しむ、という点や読者にネットでものを買うのが難しい子供の割合が多いということもあり、紙の雑誌や単行本が、もっとも生き残っていくジャンルではないか、と最初は想像していたんですよ。

 スマートフォンの小さな画面で読む漫画は、迫力に欠けるような気がするし。
 ところが、いまの電子書籍市場を牽引しているのは、漫画なんですよね。

 ここまで書いた紙媒体の落ち込みとはうって変わって、2016年の電子コミックは市場規模1460億円で前年比27.1%増。電子コミック雑誌にいたっては55.0%増という高い成長を見せている。

 2016年のコミック市場(コミック+雑誌)は、紙と電子をあわせて4454億円で前年比0.4%増。コミック誌限定では電子コミック雑誌が高い伸びを見せてるのにも関わらず紙媒体のマイナスを補填出来ず8.9%減。こうしたデータを照らし合わせても、電子コミックが現在の、そしてこれからの漫画界を支えているといっても過言ではない。

 電子書籍全体の勢いをまとめておく。出版科学研究所によれば、2016年の電書市場規模は1909億円と前年比27.1%増。その内訳は電子コミックが1460億円(前年比27.1%増)、電子書籍が258億円(13.2%増)、電子雑誌が191億円(52.8%増)。それぞれ高い伸びを見せてるだけでなく、その比率を見てわかるとおり、電子コミックが電子書籍の伸びを支えている。一昔前から「電子書籍元年」と言われ続けてきたが、本当にその扉を開いたのは電子コミックなのだ。

 著者は、出版社によって、電子書籍化率の違いがあることも紹介しています。
 出版物全体でいえば、電子書籍化率は8.2%にすぎないそうなのですが、KADOKAWAでは電子書籍化率は34%、集英社は26.5%など、大手出版社のほうが電子書籍化率は高い傾向があるようです。

 講談社は21.2%など、大手のなかでも、温度差はあるのも事実なのですが。
 コミックの電子書籍化率は全体で49.2%だそうで、この数字には僕も驚きました。

 最近の「目につく」作品は、ほとんど電子書籍になっていますし、それだけ、漫画にとっては電子書籍化することが重要視されている、ということでもあるのでしょう。

 著者は、雑誌からWEBに舞台を移したことがきっかけで、人気が再燃した『キン肉マン』や、WEB発で、人気漫画家とのコラボレーションでさらに注目を集めた『ワンパンマン』など、さまざまな事例を関係者の言葉とともに紹介しています。

 紙の書籍だから良い、WEBだから優れている、というよりは、それぞれの作品に向いた環境があって、それをうまく見つけられるかが重要になってきているのです。

 電子書籍には、書店に行かなくても買える、続きが読みたくなったら、どんな夜中でもすぐに(お金を払ってダウンロードすれば)読める、などのさまざまなメリットがあるんですよね。かさばらないから、持ち運びやすいし。

 ただ、すべてにおいて、電子書籍が正解とは限らない。
 その例として、田中圭一さんの『うつヌケ』が挙げられています。

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