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「ひと呼吸おく」経験値とおっちょこちょい

「日本に長年潜入中の休眠工作員(スリーパー)もいる。政府関係者によると、阪神大震災の時、ある被災地の瓦礫(がれき)から、工作員のものと見られる迫撃砲などの武器が発見されたという。」(読売新聞2007年1月19日付朝刊)

三浦瑠麗氏が「ワイドナショー」での発言について
「阪神大震災時の追撃法発見」を発言の根拠としてあげたことはさらなる炎上を呼んでいる。

それに関する記事が上記である。

この記事を目にした時、「『政府関係者』によると」と発言者が特定されていないこと、「工作員のものと『見られる』」としていること、極めつけは「発見されたと『いう』」としていること・・つまりは典型的な「責任回避記事」であることに、少なくとも論文や論考、エッセイの「書き手」ならば気づくはずだ。
曖昧な事に関してはこのように語尾で示しておくこと、つまりは何かで問われた時に「私も断言はしていません」と逃げられるように「自己弁護」の保険を打つことは、「書き手」にとっては作文技法のひとつでもあり、
何か指摘があったときには
「私はそうは言っていない」「ひと言も書いていない」と言う余地を残すのである。
最近では、差別発言や記載を指摘された際の反論としての常套句なっているのが示すように、
これは書き手に取材能力がなかったり、あるいは自分にとって都合のよい言論を引き出す時に使われる「稚拙」な技法であり、そこに情報発信者としての倫理観や矜持が問われていることにすら気づいていない場合が多い。

さて、話を「迫撃砲」の記事に戻そう。
阪神間に一定期間住んだ経験のある人ならば、この記事を読んだ際「ちょっと待て」「もう一押しの証拠がないと、そのまま鵜呑みにできないよな」と思うはずである。

というのも、例えば神戸市東灘区では2007年、2013年と第2次世界大戦中. に米軍が落としたとみられる不発弾が発見され、その除去のために道路封鎖、住民避難等大規模な不発弾処理の作業が行われている。
つまりは市民は武器等も含めて、いまだ戦時中の残存物が地中にあるといったことに対して現実として実感していて、
工作員の「迫撃砲」かも?と言われた時に、いや、それは第二次世界大戦時のものなんじゃないのか?ちゃんと調べた方が良くね?と「ひと呼吸置く経験値」を持っているのである。

そうした経験値が低いまま、ないまま、出所が確認できない記事に飛びつく、
もしくは「出所は言えないですが、実は・・」なんていう茶飲み話の延長のような発言を、具体的地域名他を挙げてテレビやネットメディアも含めて残る形でするのは、「おっちょこちょい」のやることだ。
それが「デマ」となる可能性や危険性を実感できない人はそもそも言論のプロである学者他に向いていないのだと思う。

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