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日本ではレイプが日常的に起こってしまう

■被害者をケアする体制になっていない

2017年10月18日に発売された伊藤詩織さんの『Black Box』。これに応答するように、同年10月26日発売の「月刊Hanada」には「私を訴えた伊藤詩織さんへ」と題した山口敬之氏の文章が掲載された。

伊藤さん本人はこう話す。

「山口さん個人に何かを言いたいとか、攻撃をしたくて本を書いたわけではありません」

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伊藤詩織(いとう・しおり)1989年生まれ。ジャーナリスト。フリーランスでエコノミストなど海外メディアを中心に、ドキュメンタリーなどを発信している。当時TBSワシントン支局長だった山口敬之氏から、支局での仕事や正式採用も可能といった誘いを受けていた。

伊藤さんは以前、山口氏を準強姦容疑で告訴したが嫌疑不十分で不起訴処分。検察審査会への申し立ても不起訴相当の議決。そんな経緯から両者の戦いの舞台が紙面に移ったと世間で騒がれた。しかし、伊藤さんの真意は違う。

「被害に遭って初めて、司法も警察も病院も、被害者をケアする体制にはなっていないことがわかりました。それらの機関から何らかの助けを得ることができていたら、もっと違うかたちで事件と向き合えたのではと思います」

■レイプ被害者になるなんて想像もしない

日本においてはレイプ被害を訴えるのがタブー視されている。性暴力に関する社会的、法的システムを変えるためにも、オープンに話すことができるようにするべきでは。その実現のために、自分の身に起こったことを整理し、何が必要なのかを考えるべく本書は著された。

17年5月、検察審査会への申し立てを報告する記者会見を行って以降、伊藤さんには「自分も過去にレイプ被害を受けた」という声が届くようになった。「今まで誰にも言えなかった」という人もいれば、同じ会社や業界の顔見知りから被害を受けたという人も多数いた。

「ほとんどの人は自分がレイプ被害者になるなんて想像もしません。私もそうでしたし、被害者がこれだけいるということも知らなかった。レイプは日常的に起こってしまうことなんだということを改めて思い知りました」

タイトルの『Black Box』は事件が密室で起こったことだけが由来ではない。真実に迫ろうとする過程で、捜査機関や司法のなかにも、多くのブラックボックスを見つけた。山口氏の逮捕を直前で取りやめた警視庁本部の中村格刑事部長(当時)に、何度も取材をするべく直撃したものの、一目散に逃げられた。

「周りから『勇気がある』とも言われます。でも、司法が正当に働いていれば、動く必要はなかった。私はジャーナリストなので、真実を知り、社会を少しでもよくできたらと思うだけです」

(ジャーナリスト 唐仁原 俊博 撮影=横溝浩孝)

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