- 2018年02月17日 08:32
【読書感想】革命のファンファーレ 現代のお金と広告
1/2- 作者: 西野亮廣
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2017/10/04
- メディア: 単行本
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- 作者: 西野亮廣
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2017/10/04
- メディア: Kindle版
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内容紹介
クラウドファンディングで国内歴代最高となる総額1億円を個人で調達し、絵本『えんとつ町のプペル』を作り、30万部突破のメガヒットへと導いた天才クリエイターが語る、"現代のお金の作り方と使い方"と最強の広告戦略、そして、これからの時代の働き方。
幻冬舎の電子書籍がセールで安くなっていたので購入。
僕は西野亮廣さんのファンじゃない、というか、むしろ、西野さんのスタンドプレイや炎上商法を苦々しく見ている側のオッサンなわけです。
でも、この本を読んでみると、西野さんの言っていることや、やっていることって、ちゃんと計算されていて、全然おかしくはないよなあ、と納得せざるをえないのです。
もちろん、西野さんだからできるんじゃないか、とは思いますし、結局、こういうことは善悪じゃなくて、徹底してやれる人なのかどうかに尽きるのかもしれませんね。
「炎上芸人」なんてひとくくりにされがちだけれど、西野さんの場合には、そこにちゃんと作品があって、顧客の満足度も高い。
「その気」にさせて、金融商品や情報商材を売りつけたり、「勇気を出せ」で終わってしまうだけのオンラインサロンをやっている人たちとは一線を画しているのです。
スマホ登場前後で時代は明らかに変わったのに、以前の方法論のままテレビに出続けるということは、嘘を重ねなければならない場面に出くわしてしまうということ。嘘を重ねれば、当然、信用は離れていく。
そのタレントが辿り着く場所は「人気タレント」ではなく、「認知タレント」だ。
お金を払ってくれる人を「ファン」とするのなら、人気タレントにはファンがいるが、認知タレントにはファンがいない。信用がないからだ。ベッキーとゲスの極み乙女。が例として分かりやすい。
不倫をしても活動を続けることができたゲスの極み乙女。に対して、ベッキーの活動が、たった一度の不倫で全て止まった理由は、彼女が「認知タレント」で、ファンを抱えていなかったからに他ならない。
スポンサーが離れ、広告以外の場所でお金を稼ぐしかなくなったわけだが、ファン(ダイレクト課金者)がいないからお金を生み出すことができない。
テレビタレントとしてリクエストに徹底的に応え続けた結果だ。
現代のテレビ広告ビジネスの、最大の落とし穴だと思う。先日、とある番組のクラウドファンディングの特集で取材に来られたディレクターさんが「なんで、西野さんはクラウドファンディングで高額が集まるんですか?」と訊いてこられたので、「信用があるからじゃないですか?」とお返ししたら、「そんなに好感度が低いのに?(笑)」と返ってきた。アホをこじらせて来春まで寝込めばいい。
『好感度』と『信用』、『認知』と『人気』は、それぞれまったく別物だ。
ベッキーさんに関しては、「女性が不倫をすることへの世間の風当たりの強さ」というのはあったと思うんですよ。致命的だったのは、その後に流失した「センテンススプリング!」だったのでしょうけど。
観客は、自分たちが軽んじられている、だまされている、ということに敏感なのです。
タレントとして信用を勝ち取る為に、まずは「嘘をつかない」ということを徹底した。
仕事だからといって、マズイ飯を「美味い」とは言わない。
それが、「美味い」と言わなければならない現場だとしたら、そもそも、そんな仕事を受けない。
昔、グルメ番組に出演した時に、釣りたての魚を漁師さんが船上でさばいてくださって、他のタレントは「新鮮で美味し~い」と食べていたが、シンプルにマズかった。あと、まな板が汚かった。
やっぱり魚は1~2日置いた方が美味しい。ただ、タレントは、この場面で「マズイ」とは言えない。
言ったところでカットだ。
テレビに出るからには「新鮮で美味し~い」と言わなければならないのだが、その頃、ツイッターのタイムラインには「あれは嘘だよ。魚は1~2日置いた方が美味しいよ」というコメントが流れている。テレビに出演しながら、一方で、そのタイムラインを見た人達からの信用を失っているのだ。
タレントは嘘をつかざるをえない環境に身を投じ、信用を失ってしまうわけだ。
嘘は「感情」でつくのではない。我々は「環境」によって嘘をつかされる。
以上の理由から、僕は、嘘をつかざるをえない環境にあるグルメ番組のオファーは全てお断りするようにした。
「美味い」という言葉を避けて、上手に食レポをする能力があれば話は別だが、僕にはそんな能力はないので、グルメ番組は全てお断り。