
津田大介氏。 写真一覧
そんな日本におけるTwitterブームの牽引役の一人、ジャーナリストの津田大介氏が、12月23日、AAJA(アジア系アメリカ人ジャーナリスト協会)で講演を行った。外国メディアに日本に関する記事を執筆しているジャーナリストたちを前に、自身とTwitterとの関わり、震災、そして今後のネットジャーナリズムについて語った。(取材・写真:BLOGOS編集部 大谷広太)
■15分で非常勤講師就任が決定
Twitterは2007年の4月11日から始めているんですが、きっかけはウェブサービスに詳しい技術者の友達がいて、彼に、「シリコンバレーでは、もうブログのブームは終わってTwitterに移行しようとしているから、使ってみたら」と言われたことです。最初は何が面白いのかわかりませんでしたが、一ヶ月くらい使ってみるうちに、情報がリアルタイムで流れて行き、すぐに多くの人に届く感じに、これは可能性があるかもしれないと思いました。
その時期に、僕はたまたま文化庁で著作権政策を決める審議会のメンバーをしていました。審議会では結構大事な内容が議論されていたので、もっと新聞などのマスメディアに報じて欲しいと思っていたんですけど、行政が開いている会議の取材に記者がわざわざ来るということはほとんど無いんです。そこで、Twitterっていうのは、今自分が何しているのかを報告するメディアですから、参加している審議会の内容をTwitterに流してみたらどうなるだろうと思って流し始めました。すると、僕のアカウントをフォローしている人から、「本当は傍聴に行きたかったんだけど行けなかったので、情報を知ることができて助かりました」という感謝の声が来たんですね。この体験から、Twitterがネットを使った最速の報道ツールとして機能するんじゃないかと思ったんですね。自分はジャーナリストだし、しかも新しいメディアを使ってやることにかけては人よりも速くできると思っていたので、twitterを使ってあちこちで情報発信を始めました。世界でも僕が一番早かったんじゃないかなと思います。
今実は早稲田大学大学院のジャーナリズムコースで非常勤講師として教えているんですけれども、そこで教えるきっかけになったのもTwitterなんです。「Twitter社会論 ~新たなリアルタイム・ウェブの潮流 (新書y)」を出した2009年の夏頃、大学院を出たばかりのクレイグ・カナリーという人が、シカゴにあるデポール大学で世界で初めて"Twitterジャーナリズム"を授業で教える、というニュースが出たんですね。その話を聞いたときは、そういうことを教えるんだったら2007年からTwitterジャーナリズムやってる自分が先に教えたかったと思ってものすごく悔しくて、「ああ、俺も大学で教えたいな」ということを愚痴みたいにTweetしたところ、早稲田大学大学院の田中幹人先生から、「だったら僕の授業の枠を半分あげますんで、やりませんか?」と5分後くらいに返ってきて、「やります」と返事しました。ものの15分くらいで非常勤講師になることが決まったという(笑)。これはTwitterマジックだなあと思いました。