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遅すぎる溶融予測公表より現実的予測しない罪が大

 原子力安全・保安院が福島原発事故の直後に炉心溶融を予測する計算をしていたことが、半年も経った9月2日になって報じられています。「全電源を喪失すると1号機は15時間22分、2、3号機は8時間35分で炉心溶融する」という全面溶融までの非常に粗っぽい推計です。この情報すら官邸にきちんと説明せず、活用しなかった点が非難されています。保安院は「現実的な予測でなかったから」としていますが、現実的な予測をすればいいではありませんか。今回明らかにされた緊急時対策支援システム(ERSS)に実際のデータを入れて算出し、東電がしている対策と説明に間違いないのかチェックする役割があるはずなのに、保安院は何もしませんでした。

 東電は原発資料公開を徹底して避けていますから、外部からは電源喪失時に原子炉にどれほどの水が残っているのかうかがい知れません。部分的な炉心溶融が起きたであろう事は外部放射線レベル上昇で推測できましたが、全面的な溶融を考えるデータが足りません。東電は虚偽の水位計データを根拠に久しく全面溶融を否定し続けました。チェックすべき保安院も同調していたのです。住民避難の遅れやヨウ素剤の配布、服用の失敗などに大きく響きました。

 「2、3号機は8時間35分」の短さを知っていれば、2、3号機で辛うじて働いていた予備系装置のバッテリー切れに備えた対策をしておかねばなりません。実際には海水の注入は大幅に遅れてしまい、3号機は1号機に続いて溶融燃料から出た水素ガスで建屋爆発を起こしました。現実的な予測計算を持っていて現場の東電を指導・指揮すべきなのに、出来るのにしなかった罪の方が、はるかに重いと考えます。政府側は「東電が」「東電が」と言い回るだけだった事故直後を思い起こすと、保安院は予測システムを持ちながら、それを使って自分の頭で考える責務を放棄していたのです。

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