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ローマ時代よりも不平等な現代社会? - wasting time?

「民主主義は素晴らしい制度です」、「民主主義の理念を世界に広げましょう」と言われるとなるほどそうだなとなんとなく深く考えずに思う人は多いだろう。

「政府が人々の最低限の生活を守り所得の不平等を是正するために分配をしなければいけません。」、「国家を成長させるために積極的に財政政策を行わないといけません」というと、それはおかしいだろうと思う人もそれなりにいるだろうが、なんとなく納得する人も多いだろう。

民主主義を積極的に肯定し、国家の経済への積極的な介入を期待する人というのはいつの時代にもたくさんいる。そして、今またそういう時代に入りつつあるようにも見える。

では、ローマ時代というのはどういう時代だったのだろうか?

いつも紹介するMarginal Revolutionというブログにこういう記事があった。

Roman Empire More Equal than the United States
in Rome the top 1.5% controlled 15-25% of income while in the United States around 2007 the top 1% controlled 23.5%
of income thus suggesting slightly more inequality in the United
States. Scheidel and Friesen calculate a Roman Empire gini coefficient
of .42-.44 again perhaps slightly less than the U.S. coefficient of
around .4-.45 depending on source.
ローマではトップ1.5%の階級が全所得の15-25%を得ていた。現代のアメリカではトップ1%が23.5%の所得を得ているという。アメリカのほうが古代ローマ帝国よりも若干不平等といえる。ローマ帝国のジニ係数は0.42-0.44でアメリカは0.44-0.45であるとの推計もなされた。
This finding confirms Hopkins’s claim that the imperial government
did not capture more than 5 to 7 per cent of GDP and that Roman taxes were fairly low.
この結果によると、君主制国家はGDPの5-7%以上の税金を徴収しないというホプキンスの主張に合致する。ローマ時代の税金はきわめて低かったといえる。

まあ、時代がまったく違う。人々の生活や文化も違うだろうし情報技術の発展においては極端な差があったことを考えれば、単純に論じることはできない。しかし、このことは以下の二つの重要な示唆を導き出すと僕は考える。

(1)民主主義国家は絶対か?

生活が苦しいから、経済の状態が悪いから。国家が金持ちや努力して成功した人間から税金という名でカネを巻き上げて社会保障を充実させたり財政政策を行えとの主張は根強い。多くの国民がクレクレ精神を持ってしまっている。一方で政治は混乱・迷走を極めている。典型的な衆愚政に現代の多くの先進国は陥っているように見える。政府のGDP対比の税収や財政支出はとんでもない額に膨れ上がるばかりか、膨大な借金が将来世代に残されようとしている。

一般には君主制の国において民衆は圧迫され続けたといわれる。しかし、多くの君主制国家がGDPの5-7%しか税金を徴収していなかったというのが事実であれば、本当に民衆は圧迫されていたのだろうか?という疑問を持たざるを得ない。

そして、本当に民主主義は君主制よりもはるかに優れた政体であるのかという疑問も沸いてくる。

(2)再分配をしなくても、また現代よりもより階級主義的な制度を持っていたと思われる古代のローマ帝国においても所得の格差は現代よりも少なかった。再分配政策に国家が積極的に関わることに本当に意味があるのだろうか?そういった疑問が沸いてくる。

まあ、だからなんなんだ!?といわれれば、一言で結論を出すのは難しいので今日は結論を出さないでおく。ただ、何が正しくて何が間違いかといのはやはりいろんな角度からいろんな事実を積み上げて考えなくてはならないと改めて思った次第である。

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