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仕事を辞めたくなったら、1日10分間メモを書きまくると良い - 「賢人論。」第55回赤羽雄二氏(後編)

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「マッキンゼー」出身の経営支援スペシャリスト・赤羽雄二氏が2013年に出版した『ゼロ秒思考』(ダイヤモンド社)は大きな話題を呼んだ。「頭に浮かぶことを次々とメモに書くだけ」というシンプルなその方法がなぜ、多くの読者の支持を集めたのだろうか?そしてこの「メモ書き」法は介護現場にも活かすことができると言うが?

取材・文/ボブ内藤 撮影/公家勇人

なぜ私は『ゼロ秒思考』を書いたのか?

みんなの介護 赤羽さんの思考術を明かしたご著書『ゼロ秒思考』シリーズは累計28万部を数える大ヒットとなり、仕事や人生に悩む多くの人たちに読み継がれています。

赤羽 経営改革の仕事に携わる中で私が痛感したのは、日本の企業は国際競争力を失い、海外の企業との間に取り返しのつかないほどの差が生まれてしまっているという現状です。特にITやインターネットが発達した2000年以降、その差は凄まじく広がっていきました。

これは経営者や経営幹部だけの問題ではありません。部課長クラスや一般職に至るまで、「自分の頭で考えて積極的に行動する」という能力があまり伴わない人が多いのです。

みんなの介護 なぜ、そうなってしまったのでしょう?

赤羽 私は、普通に会話をしたり本を読んだりインターネットを利用できる人はみな、本来的には「頭が良い」のだと考えています。しかし残念なことに、日本では小学校から大学までどの教育過程でも「深く考え、発言し、行動する訓練」があまりきちんと行われていない。そのため、多くの人はどうやったら深く考えることができるのか、どう発言し、行動すれば良いのかわからずにいるのではないでしょうか。もちろん皆さん、考えているつもりにはなっているのですが。

『ゼロ秒思考』を書いたのは、そういう方々に「自分の頭で考えて積極的に行動する」能力を養ってほしかったからです。経営者や経営幹部だけでなく、すべての人がこういった考え方を身につけることで「ことなかれ主義」をなくし、きちんとした意思決定ができるようにし、日本がもっと良くなるようにしたかったのです。

みんなの介護 『ゼロ秒思考』を身につける最短、最良の方法が「メモ書き」だと言います。その具体的な方法を教えてください。

赤羽 A4用紙を横置きにし、頭に浮かぶことを一件一葉で書いていきます。左上にタイトル、右上に日付を書いて、タイトルの下に4~6行、各20~30字を書きます。

例えばこれは、ある大手流通業で1000人ほどの部下をもつ地域本部営業リーダーが、部下を指導する力について考えるために書いたメモの内容です。

自分ならどんな指導を受けたいか 2013-12-1
  • 自分の課題を明確にしてほしい
  • 自分の課題に対して具体的な行動指導をしてほしい
  • フィードバックして、何が良くなっているのか明確にしてほしい
  • 自分の課題を明確にしてほしい
  • 良い、悪いをはっきり伝えてほしい
  • やる気を持たせてほしい
  • 自分でもできるかもし自信を持たせるフィードバックがほしい

このメモを書いた方は、非常に優秀で受け答えも素晴らしいのですが、部下に対しては我慢できずすぐに怒鳴りつけてしまうといった方でした。そこで「自分だったらどんな指導を受けたいか」と自問していただくことで、怒鳴りつけること以外のアプローチにも気づいていただきました。

このメモ書きは、習慣づけることがとても重要です。「1ページを1分で書く」「毎日10~20ページ書く」ということを3週間くらい続けると、頭にどんどん言葉が浮かぶようになります。もやもやしていた考えが明確な言葉になり、アイデアが次々と出てくるようになるでしょう。不安に思っていることや悩みなども抱え込むことなく、常にすっきりとした気持ちで過ごせるようになります。

本書で提唱している「A4メモ書き」法は、年間60回ほどの講演で必ず実施します。これまで1万人以上が実践され、大きな変化を体験された方が多くいらっしゃいます。


読み返すのではなく、とにかく書くことが重要

みんなの介護 メモを書くだけでアイデアを思いついたり、不安や悩みを解消したりすることができるのですか?

赤羽 その通りです。思いついたこと、気になること、疑問点、次にやるべきこと、自分の成長課題、腹が立って許せないことなど、頭に浮かんだことを何でも書く。頭に浮かんだそのまま、A4メモに書き留めるのです。

綺麗に書こうとか、かっこいい内容にしようとか考えず、頭の中の思考や感情をどんどん外部メモリーに吐き出していく感じです。1ページ書くのに1分以上かけてはいけません。最初は2行くらいしか書けなくても、また5~7字程度しか書けなくても全然構いません。1分を意識して必死に書いていると、十数ページ後には速く書けるようになります。また、夜寝る前にまとめて10ページとかではなく、思いついたその場で書くというのも重要です。もやもやを溜めず、すぐに吐き出すためです。

みんなの介護 「1日10ページも書くことが思いつかない」という場合は、どうすればいいですか?

赤羽 メモ書きは、頭に浮かんだことをそのまま言葉にすることが目的ですから、昨日書いたタイトルや似たような言葉・フレーズが浮かぶことがあるでしょう。そういうものも躊躇なく、もう1度書けば良いのです。また、書いたメモの行のどれかを次のタイトルにして、もっと思考を深掘りしていくこともできます。

そうやって浮かぶたびに何度でも似たようなテーマ、言葉・フレーズを書いていくと、もやもやがなくなって頭が整理され、気になっていることや課題の解決法がはっきりしてきます。そうなると、同じテーマに関してはもうメモに書こうと思わなくなります。書く必要がなくなるからです。

みんなの介護 書いたメモは、どうするのでしょうか?

赤羽 1日10ページのメモ書きを2週間続ければ140ページ、1カ月で300ページの量になります。これを放置すると収拾がつかなくなるので、7~10個程度のカテゴリーをつくり、そこにメモを保存することをおすすめしています。

具体的には、A4のクリアフォルダにラベルを貼って、「将来のビジョン、やりたいこと」「コミュニケーション」「チームマネジメント」「新しいアイデア」「悩みごと」「聞いた話」という具合にフォルダを分けます。そして、毎日寝る前に、書いたメモをフォルダに放り込んでいく。

以前に書いたA4メモは、そう頻繁に見直す必要はありません。見直すくらいなら、その時間は頭に浮かぶことをどんどん書くことに使った方が良いです。ただし、3カ月ほどたったらフォルダからメモを全部出して古いものから並べ直し、ざっと読み直してもよいかと思います。

自分が何を迷っていたか、どういうことを思いついていたか、どう進むことにしたかなど、成長過程がはっきり見えます。さらに3ヶ月ほどたったときにも同様にすれば、過去の自分が何に悩んでいたのか、どうしようと決めたのか、その後どれほど成長したのかがすべてわかります。自分への自信が湧いてきます。この2度の読み返し以降は、原則としてもうメモを読む必要はないと考えています。

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