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「日本には給付型奨学金がない」は嘘、でもその割合は?

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一口に「奨学金」といっても、給付型貸与型では大きな違いがある。奨学金といえば、一般的には給付型のイメージが強いが、日本では規模的には貸与型の割合が圧倒的に大きいため、イメージと実態の乖離が、先に挙げた奨学金批判につながっているといえよう。

日本学生支援機構が奨学金を貸与している人数は、2016年度現在で132万人だ。ピークの2013年度には年間134万人まで増え続け、1998年度の38万人から3倍以上にまで膨れ上がった。いまや、2.6人に1人の大学生が日本学生支援機構の貸与型奨学金を借りていることになる。

これに加えて、民間最大規模のあしなが育英会も貸与型奨学金を年間約2千人の大学生に貸与し、各地方自治体も貸与型奨学金を行っている。日本学生支援機構の学生生活調査(2014年度)のアンケート(有効回答数45,577人)によると、奨学金の受給率は大学学部生で51.3%だった。大学生の2人に1人が奨学金を受給しているが、その大半が貸与型奨学金であるということになる。

一方で、給付型奨学金は民間財団のものが多いが、各団体が給付している人数は全学年合わせても数名から数十名程度のものが大半を占める。給付対象者の多いものでも古岡奨学金(母子家庭の高校生対象)の一学年320名程度、3学年全体で900名強だ。(https://www.gakken.co.jp/furuoka/business/)すべての民間給付型奨学金を網羅した正確なデータはないが、これらをすべて合わせてもおそらく数千人で、1万人を大きく超えることはないだろう。

民間の給付型奨学金は、募集人数が少ないうえに、家庭状況や専攻、出身地などが細かく定められている場合が多く、非常に狭き門なのだ。実際に私自身も、山岡育英会から月3万円の給付型奨学金を得られるようになるまで、高校時代から大学入学後にかけて、いくつもの奨学金の選考に落とされ、苦い思いを経験した。何度落ちてもあきらめずに申し込みをし続けて、ようやく勝ち取ったのが給付型奨学金なのだ。

民間以外にも、もう一つ、給付型奨学金で見落とされがちなものとして、税金(2014年度からは企業からの寄付も合わせた新制度も新設)を原資として日本学生支援機構が行う海外留学支援制度がある。1)8日以上1年以内の期間、日本の大学等に在籍している学生を諸外国の高等教育機関に派遣するプログラム「協定派遣型」と、2)日本の高校を卒業した後に学士の学位取得を目的に海外大学に留学する学生を対象とした「学部学位取得型」、3)海外大学院で修士または博士の学位取得を目的とする「大学院学位取得型」の三種類だ。

日本学生支援機構の発行する「JASSO概要2017」によると、2017年度で合計約22,300人がこの海外留学給付型奨学金を受給する予定とあるが、その内訳は協定派遣22,000人、学部学位取得型が45人、大学院学位取得型が252人だ。

給付型奨学金としては最大規模となるが、その大半が大学間交流協定に基づいて派遣される協定派遣型であることから、一般的に個人単位で広く開かれたものとはいいがたい。また、海外留学のできる比較的富裕層が自然と対象になることから、貧困層に届いているともいいがたい。

以上をまとめると、給付型奨学金の受給者は、対象者が限定されるものも多いが、現状では合計3万人から4万人程度と推測される。貸与型奨学金と給付型奨学金の対象人数の割合は、およそ100:3程度になる。

「日本には給付型奨学金がない」といった主張を、報道などを通してよく目にするが、「まったくない」というのは事実ではない。ただし、割合としては貸与型奨学金よりも、かなり少なく限定されていることは確かだ。

2017年には、政府が給付型奨学金を新設することが定められた。2017年度から対象者を絞って先行実施し、いよいよ2018年度に本格運用が始まる。その予定されている対象者は1学年あたり2万人、全学年6万人されている。(出所:文部科学省HP「奨学金事業の充実」
この政府の給付型奨学金新制度が予定通り実現すれば、貸与型奨学金と給付型奨学金の人数比がおよそ100:10程度になると推測される。

日本の奨学金制度は貸与型が先行し、その割合を多く占めてきたが、多くの層に届けることが可能な貸与型奨学金と、より必要としている層に届けるべき給付型奨学金のバランスをどうとるかは、教育政策の重要な戦略の一つといえよう。

本文は、『今こそ「奨学金」の本当の話をしよう。』(ポプラ新書)から抜粋編集しました。 

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