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世間の常識の二歩先を行く「小泉今日子」という生き方

【交際の事実などを発表した小泉今日子】

 放送作家でコラムニストの山田美保子氏が独自の視点で最新芸能ニュースを深掘りする連載「芸能耳年増」。今回は、小泉今日子という存在について改めて考察する。

 * * *
「小泉今日子 不倫公表!!」
「豊原功補と『恋愛関係』」
「すべてをこの身で受け止める」
「豊原家族に謝罪」
「新たなスタート」

 小泉今日子が1日、個人会社『明後日』(あさって)のHPでデビュー以来所属していた事務所からの独立と、かねてからウワサがあった豊原との交際も明らかにした。

 それを受けて、一面で報じた日刊スポーツの見出しや小見出しが前述の5本。担当デスクによる「不倫バッシングの中、“キョン2”流正義感」なるコラムも付いていた。

 ワイドショーは、朝帯や午前中の番組は取り上げていた。が、それらは、MCやコメンテーターがそれぞれの見解を延々と述べてきた過去の不倫騒動とは大きく異なり、サラリとしたものだった。

 代表的意見は「小泉さんも豊原さんも大人。大人の二人が決めたことなのだから、他人が何か言うことではない」で、小泉今日子の潔さや正直さが評価される内容だった。

 私がチェックした限り、昼帯や午後帯のワイドショーでこの件を取り上げた番組はなかったのではないか。2日は、数日前からトップで票読みをしてきた相撲協会の理事選当日であり、特に午後帯の番組はオンエア中に投票結果がわかるということで“理事選シフト”で動いていたからだ。

 だが、いろいろ聞いてみると、取り上げなかった昼帯や午後帯のワイドショーの中には、「円満退社」とは言われながらも、小泉の前所属事務所に忖度した番組もあったようだ。

 円満退社は事実であり、同社のトップアーティストとして長年活躍し、近年も『あまちゃん』(NHK)や『続・最後から2番目の恋』(フジテレビ系)での演技がドラマ関連の賞で評価されたり、主演舞台『草枕』は紀伊国屋演劇賞や読売演劇大賞に輝いたりしている。そして『黄色いマンション 黒い猫』での講談社エッセイ賞獲得は昨年のことである。

 50代になってもなお、第一線で活躍する所属タレントと事務所がうまくいっていないハズはなく、繰り返しになるが、関係はいいのだという。

 ただ、1月いっぱいでCM契約がなくなったため、事務所に迷惑をかけないタイミングで小泉今日子が決断したのだと聞く。もちろん、そこには、自分の仕事も全部なくなってもいいという覚悟がある。

 小泉や豊原がマスコミ宛てに出したコメントを読み解くと、唯一、報道統制への不満があったことが伝わってくる。「すべてをこの身で受け止める」は、「いままで守ってくれてありがとうございます。でももう私は自分の身は自分で守ります」という旅立ち宣言と私は読んだ。

 さて、これまでにもさまざまな媒体で書いてきたが、私が新卒でラジオ局のリポーターの仕事を始めたのが1980年。その2年後に『私の16才』でデビューしたのが小泉今日子で、彼女は、前年秋にデビューした松本伊代を含め、堀ちえみ、石川秀美、早見優、中森明菜、新井薫子らと共に、「花の82年組」と呼ばれたものだ。

 なぜ、レコード会社、芸能プロダクション各社がイチオシの女性アイドルを一斉にデビューさせたかというと、それは80年にデビューした松田聖子に対抗できる女性アイドルを誕生させるためだった。

 髪型は横並びの聖子ちゃんカットで、衣装はフリフリ、アイドルスマイルを浮かべ、当時、各テレビ局、ラジオ局に存在した音楽賞の新人賞を順番に獲っていった彼女たち。

 三田寛子、松居直美らを含め、多くの同期がいまも芸能界で活躍しているのは、ライバルでもあり、仲良しでもあった彼女たちが、それぞれ、誰かとかぶらない個性や才能を意識的に伸ばしていったからではないか。「お人形さん」と呼ばれることもあった当時の女性アイドルだが、82年組は芸能界全盛期で仕事もふんだんにあったからか、それぞれ「自分」をもっている女の子たちのように私には見えていた。

 あまり比べたくはないのだが、その最たるものが小泉今日子だったのは確か。なんせ、デビュー曲の『私の16才』を、「こんな演歌みたいな歌、イヤだ」と“主張”していたのだから。

 確かに小泉今日子は、なぜかデビュー曲も2曲目もカバー曲で、オリジナル曲でヒットを飛ばす同期を羨ましく思っていたのかもしれない。

 とは言え、いまでも時折“お宝映像”としてオンエアされる『夜のヒットスタジオ』(フジテレビ系)に初登場したときの小泉は、CM中、緊張の面持ちでスタンバイしているのに、フロアディレクターがカウントし始めると3秒前から完璧なアイドルスマイルを浮かべた、ある意味、プロ中のプロ。

 昔話ばかりで恐縮だが、ラジオ局の文化放送が開催していた『新宿音楽祭』のステージでは、心無いファンから生卵をぶつけられるハプニングもあった。小泉今日子を狙ったものだったかは不明だが、そのとき「あんなにかわいい衣装が汚れてかわいそう。私に当たれば良かったのに」と言っていた中森明菜といちばん仲良しだった小泉今日子。タイプは異なるが、アイドル史の中で「枠にとらわれない」代表格がこの二人だったように思う。

 とにかく小泉今日子はアイドル時代から“自立”していた。一人暮らしも早かったし、クルマの運転もしていた。戦略的というのではないけれど、彼女が発したなんてことはない言葉がトレンドになっていったものだ。たとえば「深夜のおにぎり買い出し作戦」。コンビニエンスストアが24時間営業になり、コンビニのおにぎりがポピュラーになったことに気づき始めた人たちが居たものの、女性アイドルが「深夜」に「コンビニおにぎり」を「買い出し」に行く「作戦」の後に、自室で何が行われるのかと、ファンよりも業界人が想像を膨らませた。もしかして、女子会の元祖は小泉今日子が作ったかもしれないと思うほどである。

 実際、芳本美代子や観月ありさ、荻野目洋子など、後輩アイドルの中でも、ただカワイイだけではないタイプを小泉は好み、彼女らは「小泉組」と呼ばれていた。

 すごく憶えているのは、小泉が観月に「ファッションショーのお仕事は、やったほうがいいんじゃない?」というアドバイスをしていたこと。いまでこそ、モデルはもちろん、女優としてのポジションを確立してもランウェイの出演歴をプロフィールに載せる女性芸能人は後を絶たないが、当時は、アイドルや女優、歌手よりモデルが格下だった時代。それでも、ファッショナブルであることがカッコイイと小泉は信じ、後輩にもそれを伝えていたというワケだ。

 そして先日、『1周回って知らない話』(日本テレビ系)で荻野目洋子から聞いたのは、小泉の運転するクルマの助手席に乗って、深夜、ドライブに出かけたという話。荻野目ちゃんから見た小泉は、本当にカッコイイお姉さんだったことだろう。

 大人になってからのエピソードとしては、飯島直子やYOUが、小泉にビルを建ててもらって「みんなで一緒に住みたい」と言っていたことだ。姐御肌の小泉を慕っている女性のタイプを見ると、小泉の影響を大きく受けている者ばかりであることもわかる。

 小泉今日子の個人会社『明後日』は、もちろん、彼女の名前に入る「今日」に絡めたものだろう。「明日」ではなく、さらに一日先の「明後日」で、読みも「あさって」としたところが、いかにも小泉らしいではないか。

 人でも物でも、多くの人気を得るためには、ちょっと手を伸ばしたところに居たり、半歩先を行ったりすることだと言われてきたが、小泉今日子は、凡人が手を伸ばしても届かない、一歩ではなく二歩先を行く人なのだ。今回の一件で改めてそれがよくわかった。彼女はこの先、何を発進するのか? 目が離せない。

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