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死の床にまで襲うフラッシュバック~18才以降のPTSD

■「その後」の問題

児童虐待当事者は、18才になると「元当事者」として社会に投げ出される(児童相談所対象外)。虐待がマイナーな問題だった10年前はそれはそれで仕方なかったが、虐待がこれほど増えてくると(10万件平成27年度 児童相談所での児童虐待相談対応件数)、行政サービスから離れる膨大な人々の「その後」の問題を視野に入れる必要がある。

性暴力や身体的暴力を中心とする魔の記憶は、いくつになっても被害者を襲う。そのフラッシュバックそのものは人間の脳の構造上どうしようもないのかもしれない。

だから、フラッシュバックに襲われた時、そのフラッシュを流せるような技術が必要になる。

それは、J.L.ハーマンのいうような(『心的外傷と回復』心的外傷と回復)「再統合」的ロジカルなものではなく、「なんとなくその記憶を軽く流せる」といったいくぶんファジーなものではないかと思う。

■記憶はいくつになっても当事者を襲う

いずれにしろ児童虐待被害者は、18才になると社会に放り出される。僕が彼女ら彼らを支援していて痛感するのは、18才になろうが30才になろうがトラウマのフラッシュバックは襲ってくるということだ。

その忌まわしい記憶とシーンは、いくつになっても当事者を襲う。行政的には「18才」という線引きをする必要はあるだろう。が、記憶はいくつになっても当事者を襲う。

95才になり、死の床のその瞬間まで、当事者を襲う映像、それがフラッシュバックだと僕は捉えている。

みなさんの多くは虐待被害者ではないと思うが、みなさんが抱える「最低の記憶」はいくつになっても襲ってくるでしょう? 最低に上下はなく一般基準もない。個人にとって「最低」と思えばそれは最低の記憶になる。

こういう僕にも最低の記憶はいくつかある。それは、数カ月に一度程度、いきなり襲ってくる。それは結構やっかいではある。

やっかいだが、いつのまにかその記憶を心のどこかに置いておく技術を、僕は身につけたようだ。

■PTSDのフラッシュバックは死の床に至るまで襲う

児童養護施設の対象年齢は18才であり、その年齢以降の若者たちが日常を過ごすひとつの機関が、東京の国分寺市にある「ゆずりは」である。

だいぶ先ではあるが、僕はゆずりは所長の高橋さんと、以上のような観点から語り合ってみようと思っている。

ゆずりは高橋さんとのコラボ
ゆずりは高橋さんとのコラボ

行政サービスとして上限年齢を設定することは仕方がない。が、現実としてPTSDのフラッシュバックは死の床に至るまで襲う。

その現実は、我々にとってだいぶ「きつい」ことなのだろうが、それと反比例するように、大人になってからのフラッシュバックはあまり議論にならない。

ということは、フラッシュバック被害者たちは、それぞれの独自技術の中で(いきなりフラッシュバックに襲われたら、たとえばその場でしゃがみこみ、20分くらいしてからコーヒーでも飲んでみる等)生きている。

こうした現実を、言語化しないままでいいのだろうか。

虐待加害者の側はおそらく淡々と生きており、それとは別に、被害者は死ぬまでフラッシュバックに襲われる。

何を差し置いても、こうした「被害者がマイナー化していく」現象をどこかで食い止める必要はあると思う。加害者の人々が想像するよりはるかに深く長く、被害者は死ぬまでその映像に悩まされている。

※Yahoo!ニュースからの転載

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