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2018中学入試の聖域「採点現場」潜入記

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■「1844枚」を採点し合否を決定までわずか5時間

すべての科目の採点現場を回ったが、確かに科目主任を軸に各自の作業分担が明確になっていて、採点に対するさまざまな疑問もたちどころに解決できる「風通しの良い環境」が構築されていた。普段の教員同士の関係性が見えてくるようで実に興味深い。

採点作業が一通り終了したのは21時ちょうど。

このあと校長、教頭、主幹教諭、教務設計部長、事務長、事務係長の計8名のトップ会議「入試判定会議」がおこなわれる。ここで決定されるのは段階別の合格点である。同校では、受験生の合計点に応じて「S特選クラス」「特選クラス」「特進クラス」「不合格者」に分けていく。合格者たちの「歩留まり率」も予測しながら慎重に合格ラインを引くことが求められる。また、トップレベルの合格者の中から「特奨生」を決定する場もこの「入試判定会議」だ。

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(左)社会採点現場。答案が持ち込まれ、いよいよこれから作業。(右)採点現場の隅には教員用の夜食が置かれていたが、誰一人食べていなかった。

「入試判定会議」の開始時間は21時半、終了したのは22時半だった。この場で確定した「最終データ」が事務サイドに送られ、ウェブサイト上で合否発表が行われたのは22時45分だった。受験終了時刻から見れば、(受験生の大半が4科受験であることを考えると)単純計算で461人×4科目=1844枚もの答案用紙を採点し、合否を決定するまで、たった5時間だったことになる。

■受験生だけでなく教員も「骨身」を削っている

多くの教員は精魂尽き果てたという感じだったが、二瓶教頭はにこやかにこう語った。

「早い子では小学校3年生くらいから塾通いして中学入試に備えます。わたしたちはそんな受験生たちが悔いのない受験をしてほしいと願い、何回も受験するチャンスを設けています(編注:同校では2万5000円の検定料で最大5回の受験が可能)。そして、その試験結果はいち早く受験生に伝えたい。合格が早くわかると、それが自信になって5日ごろまで続く中学入試を乗り越える力になると思うからです」

今日も多くの受験生が試験に臨んでいる。多くの親子が緊張の日々を送っているにちがいない。そして、その裏側では多くの学校教員たちが受験生を応援するために骨身を削っているのだ。

 

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採点は必ず1人が1度チェック。そのため青ペンと赤ペンが必要だ。

(資料)【東京都市大学等々力中学校・高等学校】
創立者は東京急行電鉄(東急)の創業者である五島慶太氏で、学校の経営母体は東急グループに属する「学校法人五島育英会」。最寄駅は東急大井町線「等々力駅」もしくは「尾山台駅」。「東横商業女学校」として1939年に創立され、戦後、「東横学園中学校高等学校」と改称。2009年系列の武蔵工業大学が東京都市大学と改称されるに伴い、校名を「東京都市大学等々力」と変更。2010年に共学部を新設し、16年に女子部を廃止。17年からは完全な共学校となっている。

(中学受験専門塾スタジオキャンパス代表 矢野 耕平 撮影=矢野耕平)

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