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イエレン議長の生み出したアメリカ

ジャネット イエレンFRB(連邦準備制度理事会)議長にとって最後のFOMC(連邦公開市場委員会)が開催され、平穏無事に終了しました。イエレン議長は2014年に就任し、1期4年でその任から降りることになります。就任した時が昨日のように思えてなりません。

アメリカには二人の大統領がいると揶揄されることがあります。トランプ氏のような大統領は国家や外交などを牛耳る一方でFRB議長は経済を牛耳るという意味です。FRBの独立性は高く、特に近年はマネタリズムと称する市場の貨幣量のコントロールを主体とする経済政策が主流であります。かつての財政金融を主体とするケインズ学派ではなくなったところに分業体制が生まれたともいえるのかもしれません。(財政金融が主体であれば大統領と議会が主力になるでしょう。)よって、極論ですが、どれだけ不人気の大統領が選出されてもアメリカ経済だけは別の心臓が鼓動しているように感じるのはこの点でありましょう。

イエレン議長はアメリカ経済がリーマンショックから回復過程に在任したという点において「良い時期に就任した」とも言えます。前任のバーナンキ議長はリーマンショックで苦労しましたし、グリーンスパン氏もブラックマンディなどを経て、アメリカの住宅バブル崩壊はFRBのミスではなかったのか、という疑念も巻き起こったことがあります。そういう意味ではイエレン議長の4年間は追い風の中、氏の計画するアメリカ経済の回復期をほぼ予定通り進めることができました。

もちろん、氏の最終的な業績についてはあと4-5年たたないと答えは出ないはずです。例えば今の暴騰する株価がバブルでそれが何らかの拍子で崩壊した場合、イエレン議長のハト派政策があだとなったといわれる要因になるからです。

事実、ブルームバーグでは「トランプ大統領を襲う異次元バブル崩壊」というビデオ記事を展開しています。内容はトランプ相場がアメリカの大恐慌の引き金となった1929年当時のバブルと似ていて、時のフーバー大統領と同じではないか、というものであります。ただ、この内容はまるでダウのチャートがその時に酷似しているからという風にも取れ、「そうかいな?」とうんうん頷ける内容ではありませんでしたが。

さて、FRB議長の交代時期を迎えてしばらくおとなしかった為替相場が動き始めました。為替が動いたというより目先だけ見ればアメリカ国債が下落(利回りは上昇)しているトレンドと重なります。本来であればFRBが利上げを継続すると宣言している以上、金利差に目をつけてドルが買われるべきところなのに逆の展開となっています。

これをどう解釈するのか、例えば9年となるアメリカの長期的な景気回復サイクルももうここまでよ、と思う人が増えているのか、トランプ減税で材料出尽くしなのか、はたまたアメリカ一辺倒から欧州やアジア諸国へのシフトが進んでいるのか、見方はいろいろできそうです。

今、変革期にあるのかもしれません。一方でバブル崩壊を唱える人もいるのですが、地球儀ベースで見ればようやく回復途上に乗ってきた欧州や日本を含め、まだ果実を口にしていないところも多く、アメリカ一人勝手に盛り上がり勝手に盛り下がってしまっては困るというものです。

次期議長のパウエル氏もわりと石橋をたたいて渡るタイプでハト派サイドとされます。ご祝儀で3月の利上げはほぼ確実だとしてもその後については慎重な展開となるのかもしれません。「経済の大統領」交代がもたらす影響はなるべくソフトランディングであってもらいたいものです。

では今日はこのぐらいで。

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