記事
  • mkubo1

ノルウェー輸出金融公社がデフォルト?

ちょっとした騒動になっているようです。

BBGに「ノルウェー輸出公社サムライ債、ヘッジファンドがデフォルト宣言」なる記事が出たのが原因です。

では重要箇所を抜粋しておきます。
12月19日(ブルームバーグ):ノルウェー輸出金融公社は19日、同公社のサムライ債について米ヘッジファンドからデフォルト(債務不履行)を宣言されたと明らかにした。ノルウェー政府が先月、同公社の段階的閉鎖を決めたことが理由。

ノルウェー公社は「弁護士の助言に基づき、当社はこの宣言を断固否定する」との文書を発表。「デフォルトは発生しておらず、従って宣言は無効だという立場を貫く。これに基づき、宣言は他の債務に関するクロスデフォルト事由とはならない」と表明した。

  ノルウェー政府は11月、輸出産業支援のため1962年に設立された同公社を段階的に閉鎖すると発表した。一括大口融資を制限する欧州の資本規則からの適用除外の申請を拒否した。これを受けて格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは同月22日に公社の格付けをジャンク級(投機的格付け)に引き下げ。スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)はユーロMTN(ミディアムタームノート)プログラムに基づく同公社債が既にデフォルトしている可能性があるとの見方を示した。

  トリプルAの最高格付けを持つノルウェー政府の裏付けがあると考えて同公社債を購入した投資家は、不意を突かれた形となった。同公社の債務残高は約350億ドル(約2兆7300億円)相当。SMBC日興証券が先月示したデータによれば、日本の投資家は同公社債1兆円余りを保有している。
このニュースの意味が分かる方は、あまり多くないと思います。

証券会社に勤務の方、仕組み債を販売している方にとっても難解なニュースですよね。

普通、こんなことは起きないので、よく理解できなくても、仕方ないかもしれません。

しかも、突き詰めれば、法律のお話です。

では、私なりに解説してみます。

何が起きたか


あるクレジット投資の専門家であるヘッジファンドが、「ノルウェー輸出金融公社が発行したサムライ債(海外の企業や公的機関などの非居住者が日本国内で円建てで発行する債券)は、デフォルトしていますよね」って訴えたわけです。

ノルウェー輸出金融公社の業務について


先月、ノルウェー金融公社は、今後、新規の貸付業務を行わないことを決めました(貸付業務をやめるわけです)。

数年かけて、この貸付ポートフォリオが返済されるまでは、資産と負債の管理を行います。

デフォルトの条件とは


ノルウェー輸出金融公社が発行しているEMTN(ユーロ市場・ミディアム・ターム・ノート=ユーロ市場で発行される債券)のデフォルト条件は、会社の業務のすべて、もしくは実質的にすべての業務の遂行を中止した、もしくは中止する可能性がある場合で、なおかつ、そのことが債券保有者の利益を著しく損なうと受託会社が証明した場合に限られます。

ヘッジファンドの言い分


この条件に、今回の「貸付業務を行わない」ということが該当するということを、ヘッジファンドが主張しているのです。

と言いますのも、貸付業務は、ノルウェー輸出金融公社の業務の約55%から70%といわれており、実質的な業務の中止に当たると言っているのです。

つまり、「実質的」という、あいまいな言葉の定義が問題になっているのです。

ヘッジファンドの利益は


これは推測ですが、ヘッジファンドは、ノルウェー輸出金融公社のCDSを保有していると思います。

(BBGを見ても、過去1年以上、このCDSの取引履歴はないのですが、多くのCDSの取引は、BBGに載りません)

つまり、デフォルト確定しますと、CDSはデフォルトに対する保険ですから、その保険が効いてきて、利益が出ると思われます。

もちろん、ヘッジファンドが、サムライ債を安い値段で買った可能性も否定できませんが、サムライ債の規模が数百億円と小さいことと利率約1%のサムライ債が残存4年で8%の利回りということは、値段は約70円ということになり、額面100円に対して、それほど、安くないという理由で、可能性は低いと思います。

今後の予想


受託会社(ドイチェ・トラスティ:ロンドンにあります)がデフォルトの条件を満たしているかどうか判断すると思います。

その判断に対して、不服がある時は、裁判になるのだと思われます。

いずれにしても、短期間で結論は出ないように思います。

日本での影響は


BBGにもありますように、1兆円くらいの債券を保有しています。

結論によっては、デフォルトの可能性もあるわけですが(個人的には、その可能性は低いとは思います)、もし、そうなれば、デフォルト扱いになりますから、100で償還されるところを、残存年数にもよりますが、それなりのディスカウントされて償還されると思います。

教訓


分けの分からない商品に手を出さないことです。 このような混沌とした時代では、発行体リスクも考慮すべきなのでしょうね。

あわせて読みたい

「仕組債」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    橋下氏 任命拒否の教授らに苦言

    橋下徹

  2. 2

    iPhone12かProか...売り場で苦悩

    常見陽平

  3. 3

    すすきの感染 酒飲みにうんざり

    猪野 亨

  4. 4

    コロナ巡るデマ報道を医師が指摘

    名月論

  5. 5

    処理水の安全 漁業側が自信持て

    山崎 毅(食の安全と安心)

  6. 6

    学術会議に深入りしない河野大臣

    早川忠孝

  7. 7

    コロナ禍も国内工場は異常な強さ

    PRESIDENT Online

  8. 8

    韓国人記者に聞く日韓サッカー観

    森雅史

  9. 9

    岡村結婚の裏に涙のエレベーター

    文春オンライン

  10. 10

    福島みずほ氏が社民の消滅を阻止

    早川忠孝

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。