色々と意見はあるだろうが、やはりスポーツがプロ競技として生き残っていくために、あるいは営利事業なのであるから、収益の最大化が目標であることはいうまでもない。(ここで言う収益最大化とは今日の収益ではなく将来にわたる収益である。だから、短期的な人気取りや軽薄な話題づくりを是とする方針を必ずしもよしとするものではない)
いくら素晴らしいプレイを続けても、マスコミに対してもファンに対しても無愛想な選手であれば、むしろ所属する球団・クラブチームにとってはあまりプラスではないはずだ。
一方で人気のある選手は当然、チームに大きな経済効果をもたらすだろう。多少実力が伴わなくてもだ。
佑ちゃん、年俸倍増!経済効果40億円
日本ハム・斎藤佑樹投手(23)が28日、札幌市内の球団事務所で初の契約更改交渉に臨み、倍増の年俸3000万円でサインした。早大から大きな期待を背負って入団したプロ1年目の今季は、左脇腹痛でシーズン途中に戦線離脱し、6勝6敗、防御率2.69の成績に終わったものの、グラウンド内外で“佑ちゃん効果”がもたらした貢献度は大。北海道への経済波及効果は「40億円」という試算も飛び出した。少し古い記事だが、この記事などは典型的にそのことをよく表しているといえるだろう。
文句なしの一発サインだ。札幌市内の球団事務所で午後2時40分から約30分間。グレーのスーツ姿の斎藤が、初の契約更改交渉を終えた。来季年俸は3000万円。1500万円から倍増だ。(サンスポより引用)
球団の目標は収益を最大化することである。そのためには強いチームを作る・優勝するというのは一変数・一要素にすぎないわけだ。その他に、ファンサービスを行う・野球教室などを作って地元密着のチーム作りをする・地元出身の選手を優先的に獲得する・生え抜き育成に力を入れる・よりエキサイティングな野球のスタイルを確立する・あるいはスター選手を獲得しまくる などなど。収益最大化の方法は様々だ。
要はできるだけ少ない費用で収益を最大化する方策を考えなければできない。そして、今のパリーグの面白さ・人気はそういった球団の収益最大化意識からきていると僕は思う。一方でセリーグが過去の人気の呪縛から離れられず親会社頼みで金をかけて補強し無意味に勝利だけを追求すれば、収益や人気も後からついてくるといまだに勘違いしているようにしか見えない。
サッカーだってそうで、いくら強くてもつまらない守備的な戦い方を嗜好するチームでは面白くない。バルセロナのような攻撃的なサッカーを展開するほうがおそらくより多くの収益を稼げるだろう。勝利・優勝は非常に重要ではあるが一変数でしかやはりない。
話が若干連れたが、では球団にとって一番収益最大化に貢献する選手とはどういった選手だろうか?実力のみで人気がイマイチの選手の場合をまず考えよう。たしかにその選手の実力で優勝できるような球団であれば、いいが、分かりやすいのはその球団が優勝する実力がない場合だ。実力がある選手には成績に応じた給料を支払わなければならないが、球団が優勝争いもできずその選手が球団の人気上昇にも貢献しないのであれば、その選手を抱えるのは実は球団にとってマイナスですらあるかもしれない。(もちろん、強い球団・人気がある球団でも同じことが言えそうだ)
実力・人気ともに伴うのは非常に素晴らしいが、そういった選手にはそれ相応の給料を払わねばならないから、実は球団にとってはそれほどプラスではないかもしれない。ピークに達するころまではいいだろうが、活躍するのが当然になってくると人気も徐々に横ばいになるだろうから、次第にむしろ収益圧迫要因になるかもしれない。(だから、実力がある選手は数年すると放出されるのかもしれない。新しく獲得する球団側では○○選手が来たということで話題づくりに最適だからだ。)
ゆうちゃんは、実力はまあそれなりだが、人気は絶大という選手だろう。こういった選手はどうか?実はこの手の選手が一番球団にとってはおいしいはずだ。基本的には給料は実力・成績をある程度基準にして決まる。一方で彼の人気はおそらく球団に多大な収益をもたらしているのは想像に難くない。成績も6勝6敗で防御率も2点台なのだから、5番手で新人の先発投手としては及第点で成績面で球団に迷惑をかけてもいない。だから彼が生み出す球団への収益と彼への給料の支払いを考えると、日本ハムは笑いが止まらないのではないだろうか?球団としては彼が大エースに成長して給料が数億になるよりも、キャリアの中で数度10勝をあげる程度の活躍で勝つ波乱万丈な野球人生を送り人気をキープしてくれるほうがいいと思っているかもしれない。(もちろん、彼が大エースに成長したらさらなる収益が見込まれるかもしれないけど)
まあ、これなんかもモデル化して論文一つや二つかけそうな面白いテーマでありそうだ。いずれにしても人気か実力かという話は面白い。でもまあ、そういったことがわかっているから、内外を問わずにファンサービスに熱心な選手が数多く存在するということだろうし、その傾向は今後ますます強まるのではないだろうか?昔のように職人肌というタイプが人気が出る時代では最早ないように僕には思われるのだ。