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福島原発事故から170日、政治は何を明らかにしたか

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2011年8月31日

日本共産党衆議院議員・吉井英勝

Ⅰ.福島原発事故は人災

原発事故は、[1]2005年以降の国会での度重なる警告に耳を傾けず、地震・津波対策をとらなかったこと、[2]3月11日の地震・津波発生後、初動のまずさによって今日のような被害を拡大させた“二重の人災”であり、決して「想定外」の事態などではない。


(1)事故前―“警告”を無視し続けたことによる“人災”
*05〜10年の国会での取り組みは3/20付け「メッセージ」参照

(2)事故後―地震・津波発生以降の事故対応の誤りが炉心溶融を招いた

  • 地震から約1時間後に「全交流電源喪失」の報告―ただちにベントと注水を行い、核燃料棒を冷却水から露出させないようにすべきだった。ところが、東電は廃炉や株主代表訴訟等を恐れて踏み切らなかった。
  • 原子力災害対策特別措置法では、「原子力災害対策本部長(総理大臣)は、緊急事態応急対策を的確かつ迅速に実施するため…、主務大臣(経産大臣)に対し、原子炉規制法第64条3項の規定により必要な命令をすることができる」と規定されている。総理大臣には直接東電に指揮命令できる強い権限があった。何より総理大臣には、国民の命・安全・財産を守るため責務がある。
  • しかし、総理のヘリコプター視察などによるベントや注水の遅れがメルトダウン、メルトスルーにつながり、大気・土壌・海洋等への大規模な放射能放出を招いた。

4/6経済産業、4/14消費者問題、4/20経済産業、4/26予算、4/27経済産業、5/19科学技術、5/25経済産業、7/8本会議、7/13震災復興

Ⅱ.事故原因の究明に必要なこと

(1)事故時に何が起こっていたのか?

原発敷地内の地震動のデータ、各プラントの破損状況など基礎的データの公開を→4/25に経産大臣名で東電に資料提出命令

  • ベントと海水注入の判断時期―菅総理、班目原子力安全委員長、海江田経産大臣の自覚時期
  • 実際のベントと海水注入の時間
  • 福島原発へのヘリコプター飛行と対策本部空白にした問題
  • 「認識甘く深く反省」(寺坂保安院長)、「痛恨の極み」(鈴木元原子力安全委員長)、「深く反省。二度と起こらないよう指導する」(班目原子力安全委員長)、「『想定外』はもう使わない」(海江田経産大臣)
  • 「(全電源喪失による炉心溶融は起こり得ないという)政府答弁は間違っていた」(菅総理)
  • 研究者、技術者の英知を総結集して事故収束にあたれ→提言ふまえて相談したい(枝野官房長官)

(2)情報収集衛星の撮像公開

わが国には、これまで八千二百億円もの経費をかけて開発・運用している「情報収集衛星」がある。その目的は「防災」と「安全保障」。撮影した画像を活用すれば、地震・津波の被害予測、福島第一原発の破損状況の確認などができ、住民の避難や消防による注水活動に役立ったはず。しかし、公開することは「安全保障上問題」だとして拒否し続けている。

(3)事故後の原発の状況

  • 4/14段階で燃料棒露出が1号機で1.8メートル、2号機で最大2.7メートル、3号機で最大3メートルに達していたとしていたが、5月になってようやく東電自身が全電源喪失後の早い時期に炉心溶融していたことを認める。
  • 建屋上部のクレーン損傷(1、3、4号機クレーンはオペレーションフロアに落下、2号機は目視による状況把握不可、5、6号機も確認不可)

3/24経済産業理事懇、4/6経済産業、4/13内閣、4/14消費者問題、4/26予算、4/27経済産業・内閣連合審査会、5/25経済産業、5/27経済産業、7/15経済産業、質問主意書(6/30提出)、質問主意書(7/11提出)

Ⅲ.放射能汚染から国民を守る

(1)SPEEDIやERSSが機能せず

  • 固定モニタリングポスト(MP)の設置箇所数の増設(福島県内では文科省の2か所のみ。5679箇所の携帯基地局を固定測定所として活用することを提案)。測定データをもとに汚染状況を等量線図化すれば、汚染の瞬間値、累積線量がわかる
  • 事故時にはオフサイトセンターが原子力災害の対策拠点となり、SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)とERSS(緊急時対策支援システム)を活用して、事故対応や住民の避難等安全確保に当たることになっていたが、いずれも機能せず。オフサイトセンター(原発から5km圏内)はDG(ディーゼル発電機)の破壊により停電したため機器が動かず、さらに避難指示区域となった。SPEEDIとERSSは東電が放出源データを提出しないため、十分な予測が行えなかった。

(2)炉心の内蔵放射線量・放出放射線量

  • 福島第一原発1〜3号機の3/11時点での内蔵放射線量と事故によって放出された放射線量について核種別に明らかに。

(3)「ロンドン条約」違反の海洋汚染

  • 福島第一原発から大量の放射能汚染水を海洋に投棄。「低レベルだからやむをえない」などとんでもない。放射性廃棄物の海洋投棄を禁じた「国連海洋法条約(ロンドン条約)」への明白な違反だ。近隣国や国際社会への情報提供遅れも問題。
  • 本当に「低レベル」なのか?核種ごとの放射能レベルのデータが示されていない。漁業関係者への大打撃、消費者にとっても重大問題。

(4)内部被曝の問題

  • 食品、飲料水などの放射能汚染調査(線量測定)体制とデータ公開
  • 炉心溶融で放出された放射性物質の核種ごとの線量を定点観測するべきー「核種ごとの粒子の大きさと分布など内部被曝調査の重要なデータを公開すべき」「内部被ばくは健康への影響大きい」と崎山比早子(元放射線医学総合研主任研究官)参考人、矢ケ崎克馬(琉球大名誉教授)参考人らから意見陳述

4/13内閣、4/14消費者問題、4/22経済産業、4/26予算、5/20科学技術、質問主意書(8/25提出)

Ⅳ.早期収束のために

(1)事故の実態を明らかに

  • 事故の実態を明らかにする基礎的データの公開を
    →07/7/16新潟県中越沖地震により、柏崎刈羽原発(東京電力)3号機タービン建屋で2058ガルの地震動、事故・損傷3665箇所
    →11/3/11女川原発(東北電力)1号炉建屋上部で2000ガル超(振り切れた)。外部電源は5系列中4系列が破損。残った1系列で機器冷却系を動かし、約10時間後に冷温停止。
  • コンクリートの劣化の原因となる「アルカリ骨材反応」について、「工程表」に基づく水棺計画実施に先立ち状況を確認したのか。強度・構造の評価なしでは深刻な問題招くと指摘

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