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北朝鮮問題の核心は依然として中国問題である

 昨日北朝鮮の金正日総書記死去の報道がありました。様々な論評はともかくとして、あまり議論されていませんが忘れるべきではないポイントを一点書かせていただきます。

 それは国際政治的には今後の展開は、「北朝鮮問題」ではなく「日米(韓)対中国の問題」となる可能性が高いという点です。この点だけは誤ってはならない。

 「指導者の突然の死」を受けた北朝鮮問題のポイントの整理をすると、短期的リスクは突発的な暴発、中長期的リスクは核を保有し拉致を含む多くの犯罪テロを実行してきた北朝鮮という「テロ支援国家」の存在そのものです。すなわち、短期的には一定の安定が望ましいものの、中長期的には朝鮮半島の安定・固定化そのものが我が国にとってのリスクになるということであります。

 政治的には、短期的に突発的な暴発を防ぎ安定を図るという点では我が国は米韓とともに中国とも目的を共有できますが、中長期の問題、すなわち北朝鮮が今の体制のまま永続していくことについては、北朝鮮の同盟国である中国と日米(場合によっては韓国も)では全く追求する国益が異なるわけです。

 本来であれば、総理はこの様な認識のもとにどのような目標を短期、中期、長期にわたって同盟国であるアメリカと共有していくかについて、最低限昨日昼のうちに(初動の段階で)オバマ大統領と電話会談をしなければなりませんでした(李明博大統領はオバマ大統領と電話会談している)。

 同じ価値観とゴールのもとに連携すべきは米韓であって、北朝鮮の現体制の同盟国であり今後も強力にサポートしていく可能性が高い中国との連携はあくまで中国が日米の方向性を共有できた場合に限られるわけで、対米韓と対中国との関係を全く同一視した様な総理指示を出す事自体不見識としか言いようがありません。まさに短期的な視点しか持てていない実態が明らかになっています。

 今回の北朝鮮の指導者死去、さらにはその体制がどうなるかは、我が国の国益を大きく左右しかねない問題です。来年、台湾、韓国、中国そしてアメリカで指導者が変わる可能性があるという現実を考えたとき、朝鮮半島問題についての我が国のスタンスを明確にし、価値観を共有できる同盟国と一致して対処していくことが死活的に重要です。

 数日後には日中首脳会談が予定通り行われるわけで、それまでにどのようにして日米韓のコンセンサスを得て共通の要求を中国に突きつけることができるか、そのことで今後の東アジアの政治情勢は大きく変わってくる可能性があります。今回の事態を受けて受け身の必要最低限の危機管理だけして終わるか否か、まさに野田総理の外交手腕に我が国の将来がかかっています。

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