記事

面会「拒否じゃなくて」部屋から出てこられない、父・麻原彰晃(松本智津夫)は昏迷状態にあります。最新の東京拘置所の父に面会を求めた際の対応

2/2

画像を見る

 ――「麻原彰晃」として知られる父は逮捕されたあと、ずっと接見禁止がつけられ、ようやくわたしが父と会えたのは2004年9月14日のことでした。このときすでに、父は拘禁反応による重篤な昏迷状態にあったようです。

 昏迷とは、父を診断した精神科医の先生によると、
「昏睡の前段階にある状態。昏睡や擬死反射と違って起きて動きはするけれど、注射をしたとしても反応はありません」
とのこと。

 先生は、父に関して「松本被告人に関しては、会ってすぐ詐病ではないとわかりました」、「これは間違いなく拘禁反応によって昏迷状態におちいっている。そう診断」したとのことです。

 そんな父でしたので、面会中、会話が成立したことは一度もありません。わたしたちが面会に来ていることに気づいた様子もなく、もちろん名前を呼んでもらえたこともありません。それどころか、意味のある単語の一つさえ、発することはできませんでした。

 面会室には、刑務官に押される車椅子に乗せられて来ていました。記録が手元にある限りでは、わたしは父と少なくとも32回は面会していますが、常にオムツをつけられていました。ズボンに不自然なふくらみがあるので、一見してわかります。

 父と面接した少なくとも6名の精神科医は、父に治療が必要だと診断しました。

 2007年1月に父と面接をした日本弁護士連合会は2007年11月に、東京拘置所に対し
「被拘禁者A(父のこと)が人間として最低限の生活を自立して行うことができない状態にあると見ることができる。特に重視しなければならないのは、拘禁反応の症状のひとつである『昏迷』の結果として自らの安全を自分の意思で確保することができなくなっている」

「現段階において(拘置所が)可能な必要最小限の精神科的治療すら実施していない」
と、父に対する治療をするよう「勧告書」を出しました。

 しかし現在に至るまで、東京拘置所が父に治療をしたという話は聞きません。東京拘置所は父が病気であることを認めておらず、病気だと認めていない「重篤な拘禁反応にあり昏迷状態」にある父に、治療を行う理由がないのでしょう。

 わたしが父と最後に会えたのは、2008年4月のことです。東京拘置所は父の状態が外部に漏れるのを恐れたのか、家族や弁護人のみならず、外部の人間とは誰とも父を会わせなくなりました。宇未が行った家裁へのある申立において、調査を行うために東京拘置所に赴いた家庭裁判所の調査官でさえ、2013年、東京拘置所に面会を拒否されています。

画像を見る

 最後に父を見てから、もう10年になろうとしています。今も父は、排泄物にまみれた部屋に放置され、治療も受けられずにいるのでしょう。人間として扱われていない父の病状は、あの筆舌に尽くしがたい状態から更に悪化していると思います。心配でなりません。

 政治的思惑から自由である6人の精神科医の先生方の診断を見る限り、心神喪失の状態にある父に訴訟能力はありませんでした。これは客観的事実と言えるでしょう。

 被告人に訴訟能力がない場合、裁判所は刑事訴訟法314条に基づき、公判停止手続を行う必要がありました。当時弁護人は医師の意見書と共に2度も公判手続停止の申し立てをしていたのですから、裁判所は、社会のバッシングを恐れ、「麻原には何をやっても許される」という態度で違憲・違法行為を行う前に、裁判所としての役割をきちんと果たすべきだったのです。

 当時、ある精神科医の先生は、父に治療をすれば数ヶ月〜半年で病気がよくなるとおっしゃっていました。なぜその数ヶ月の治療期間すら、裁判所には認められなかったのか。それが残念でなりません。
なお、先生は最近も、父は治療すれば半年ぐらいで病気がよくなるとおっしゃって下さっています。

 父は現在も心神喪失の状態にあります。心神喪失の状態の人への死刑執行は、刑事訴訟法479条1項に反し違法です。

 憲法31条は、「何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない」と規定しています。

 では父は?

 法律の定める手続を無視され、あるいは「詐病」のレッテルを貼られて、昏迷の状態にありながら治療さえ受けられない父は? 訴訟能力どころか、0歳の赤ん坊ほどの意思表示も、意思疎通もできなかった父は? それで死刑判決を受けた父は?

 もちろん、適正手続など受けられておりません。父は今まで、いえ今も違憲・違法に扱われています。

 真相解明こそが、一連のオウム事件の再発防止につながる道なのに、なぜ、父を治療し、きちんとした裁判を受けさせず、殺し急ごうとするのか。わたしには理解できません。もし、現在の昏迷状態にある父を国が殺すとするならば、違憲・違法行為であり、「死刑」ではなく何ら根拠のない殺人です。適正な手続きをしていただけるよう、強く求めます。

画像を見る

あわせて読みたい

「オウム真理教」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    中年男性とJK密会描く漫画が物議

    BLOGOS しらべる部

  2. 2

    現金ばかり 日本と変わらぬ台湾

    川北英隆

  3. 3

    安倍首相は潔白証明に明細書示せ

    大串博志

  4. 4

    代役は川口春奈「別に」の過去

    女性自身

  5. 5

    宗男氏 前夜祭巡りホテルに確認

    鈴木宗男

  6. 6

    国内に虚勢張る韓国 外交で難点

    NEWSポストセブン

  7. 7

    音喜多氏の入党で一皮剥けた維新

    早川忠孝

  8. 8

    産婦人科は奴隷労働? 無知な市民

    中村ゆきつぐ

  9. 9

    韓国人旅行者65%減で地方に痛手

    BLOGOS しらべる部

  10. 10

    現金にこだわるサイゼ社長に呆れ

    永江一石

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。