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過失特大の政府賠償責任が論じられぬ不思議

 福島原発事故を巡る損害賠償の論議は、法曹関係者が多い政権にして不思議な非論理的展開になっています。「被災者は国策による被害者だから最後まで面倒をみる」「賠償は東電の責任で天井無しに払わせる」――これは矛盾しています。損害賠償は過失があって発生しますから、原発の安全審査でオーケーを出した政府の責任と、当事者である東電の責任を明確に区分しなければ賠償の枠組みが決められないはずです。金融機関に債権放棄を促す官房長官発言も電力各社にツケを回すのも、過失の考え方では論外です。

 折しも《原発の安全設計審査指針、改訂へ…安全委》が「電力各社は同委員会が定める各種指針に基づいて原発を設計・建設している。班目委員長は19日の記者会見で、外部電源や非常用ディーゼル発電機などの電源を長期間喪失する事態を考慮する必要はないとしている現行指針について、『明らかに間違い』と述べた」と伝えています。安全審査の指針が明らかに間違っている特大の過失がありながら「金は払わない」で済むはずがありません。

 各地の原発で定検後の運転再開が問題になっています。《川内原発再開は「住民の納得後」 鹿児島知事》をはじめ福井県知事らも再開に難色を示しています。安全審査の指針が明らかに間違っている状態で運転を始めるのは「違法状態」です。もし事故になって裁判でもあれば絶対に負けます。運転するなら国の責任で安全を保証してほしいと訴える知事たちの考え方は、とても理解しやすいと思います。

 もし保証するなら、暫定の安全審査指針が要ります。福島原発事故はどうやら津波だけではなく、前段の地震でも設備の大損傷が起きていたようです。どうして事故が起きたのかの具体的な究明が、賠償の仕方にも他の原発の運転再開にも絡んでいるのに2カ月を経ても遅々として進みません。

 《「志賀原発再開、安全支障なし」》で「定期検査などで停止中の志賀原子力発電所(志賀町)について、経済産業省原子力安全・保安院は20日、『運転再開は安全上支障ない』との見解を県と志賀町に伝えた。福島第一原発の事故を受け、北陸電力が行った安全対策を評価した」とあるのを見て、保安院の愚かさ、日本のテクノクラートの駄目さ加減を思い知りました。これは福島事故前の発想です。現行の安全審査体系は存続しているようでいて、裁判になったら否定されてしまうでしょう。

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