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「カネはあるか?なければ死ぬぞ」…金正恩「拷問部隊」の恐喝手口


金正恩氏(朝鮮中央通信)

平昌冬季五輪をきっかけに、対話が進む北朝鮮と韓国。しかし北朝鮮国内からは、雪解けがまだまだ遠いことを感じさせる状況が伝わってきている。

北朝鮮当局は、韓流ドラマの視聴、販売、韓国や中国との通話を厳しく取り締まる姿勢を見せているが、重罰に処される人が相次いでいると両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋が伝えてきた。

今月10日、道の保衛部(秘密警察)に勾留されていた6人が教化所(刑務所)に身柄を移された。いずれも中朝国境地帯で中国キャリアの携帯電話を使い、韓国と通話している途中で逮捕された人たちだ。

(参考記事:北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは…

裁判では、「韓国にいる者との会話はすべて国家機密の漏洩に該当しうる」「中国キャリアの携帯電話を所有することそのものがスパイ行為に問われうる」と断じられたうえで、被告らは刑法63条の祖国反逆罪、同64条のスパイ罪により、懲役7年から11年の実刑判決を受けた。

この話が伝わり、中国から様々な商品を取り寄せる密輸ブローカーや、韓国に住む脱北者からの送金を北朝鮮の家族に届ける送金ブローカーは、逮捕を恐れて営業を中断している。また、親しい人から個人的に「中国や韓国に電話をかけたい、携帯電話を貸して欲しい」と頼まれても貸さなくなっている。相手が保衛部の協力者であるおそれがあるからだ。

一方、平壌のデイリーNK内部情報筋によると、大都市を中心に、韓流取り締まりを担当するタスクフォース「109常務」が活動を活発化させている。取り締まりがあまりにも厳しいため、ほとんどの人が韓流ドラマを見るのをやめたという。「朝、目が覚めて聞こえてくるのは『また誰かが捕まった』という声だ」(情報筋)。

一連の取り締まりは、金正恩党委員長の方針に基づくものだ。金正恩氏は、昨年12月に行われた朝鮮労働党第5回党細胞委員長大会での演説に続き、1月1日に発表した「新年の辞」でも、ブルジョア反動文化や非社会主義、つまり韓流ドラマの視聴を含めた違法行為、風紀びん乱行為について、「根絶やしにせよ」との指示を発している。

(参考記事:美貌の女性らが主導…北朝鮮芸術家「ポルノ撮影」事件の真相

一方、北朝鮮において取り締まりの強化は、取り締まる側のカネ儲けに繋がる。拷問の中止、刑期の短縮、釈放などをちらつかせ、容疑者とその家族からワイロをゆすり取るチャンスが増えるからだ。情報筋によると、取り調べ担当者は最近になり、容疑者に「カネはあるか?」「なければ死ぬぞ」と露骨にワイロを要求するようになっている。

(参考記事:口に砂利を詰め顔面を串刺し…金正恩「拷問部隊」の恐喝ビジネス

国境地帯の保衛部と保安署は、韓国や中国に電話をかける人からワイロを徴収することで生計を立ててきた。また、そのような利権構造が、地域経済を潤してもきた。

ところが当局は昨年から、金正恩氏の指示に基づき、国境警備を強化した。そのため密輸も違法通話もいっそう困難になり、違法行為を行う人が減ったため、ワイロによる収入も少なくなってしまった。北部国境地域の経済の柱である密輸を抑えつければ、ただでさえ国際社会による制裁で青息吐息の地域経済はさらに深刻な打撃を受け、社会不安に陥る危険性もある。

しかし、北朝鮮におけるこうした取り締まりは、ほとぼりが冷めれば緩くなるものでもある。庶民はひたすら首を潜めて嵐が過ぎ去るのを待っている。それは取り締まる側も同じだ。韓流ドラマを楽しみにしているのは、当局の幹部も同じなのだ。

また、北朝鮮では以前から、恨みを買った保衛員や保安員(警察官)が殺される事件が相次いでいるが、今回の厳しい取り締まりで市民との緊張関係が続くと、自分の身に危険が及びかねないからだ。

※デイリーNKジャパンからの転載

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