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リビアはエジプトとは違う部族社会で軍は貧弱

 自国の首都でデモをする大衆に空から無差別に機銃掃射をしたリビア――あまりのことに言葉を失います。アルジャジーラの《実況ブログ22日》(英語版)は、エジプト側から入国したCNN記者が「リビア側には入国管理や税関の役人もいなかった」と報告、既に政権が崩壊しつつある様を伝えています。死傷者多数の話も出てきますが、混乱、混沌のひどさが感じられるばかりで、全容はつかめません。エジプトのような都市型社会ではなく、外国特派員もいません。そして、昔ながらの部族社会だそうです。

 東京外語大の翻訳《コラム:リビア、懸念すべきシナリオ》2月20日付 al-Quds al-Arabi紙は注目すべき指摘をしています。「エジプト、チュニジアと異なり、リビアには強力な軍隊が存在しない。リビア指導者は軍を恐れていた。信頼せず自身の体制への脅威とみなしていたため、『武装部隊』という名称のものを代わりにおき軍を解散させた」「リビアに軍組織が残っていないとは言えないが、脆弱でその権限は疑わしく、情勢を決する大役を演じることはない。リビア指導者が、その子息や彼の属する部族メンバーが率いる民兵組織や私設治安部隊を強化しようとしているのはこのためである」

 軍の将校団が反旗を翻したとの報道があっても、大きな流れにはなりにくいのでしょう。当初、デモ鎮圧に出た部隊に外国人傭兵がいたとのニュースに違和感がありましたが、こういう事情のようです。部族の対立が表に出れば、国家分裂の危機すら考えられるようです。

 al-Quds al-Arabi紙は「現状でリビアには三つの選択肢がある」としています。「1:政権が去ってダメージを最小にとどめる。1969年軍事革命に直面したイドリース・アッサンヌーシー国王がしたように。同王は、在位中の資産全てを新政権に残しナセル体制下のカイロへ向かった。2:リビアを二、三の国に分割し、現体制はその一つとして残る。3:蜂起が全土にいたり、元首とその親族に脱出を迫る」

 豊富な石油資源のおかげで一人当たりの名目GDPは9500ドルとエジプトの3倍以上あるリビアですが、人口は633万人しかなく、雇用者数や失業率のデータが見あたらず相当に遅れた社会のようです。(リビア統計データ

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