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トヨタマーケティングの敗北:SNSアプリ公募

過去の経緯や前提をすべて無視したら「若者のクルマ離れを食い止めるソーシャルアプリを!トヨタがアイデア公募」(INTERNET Watch)は現代風の面白いニュースになるのかも知れませんが、これは『トヨタマーケティングの敗北』と指摘するしかない事態ではありませんか。トヨタ自動車は高度成長期にはクラウン、現在はレクサスといった車で所有自体が社会的ステータスとなると消費者を信じ込ませて売ってきたのです。ライバルのホンダが運転して面白い車を目指したのと全く違うマーケティング戦略でした。ハイブリッドで世界に先駆けたプリウスですら、そのステータスシンボル戦略に乗っかっている印象が強いのです。

クルマ離れの実態を示す「生活者のクルマへの関心低下は深刻」と題したグラフが掲げられています。「よくする趣味が自動車・ドライブ」とする層が1992年は35%に迫っていたのに坂道を転げ落ちるように減っており、それが軽自動車を除く自動車販売市場縮小とぴったり合致しています。グラフ以前の1980年代なら、自分の経験からももっとクルマへの関心が強かったはずです。

「トヨタマーケティングジャパン代表取締役の高田坦史氏は、自動車メーカーであるトヨタがソーシャルアプリのコンテストを開催するに至った理由について、生活者のクルマへの関心が離れる一方で、それとは対照的にインターネットや携帯電話などのデジタルカルチャーへの関心が高まっている背景を挙げる。そこで、『デジタルカルチャーとクルマカルチャーを対立させるのではなく、融合することができないか?』と考えたという」

しかし、これはマーケティング専門の人によくある、言葉をもてあそぶ誤解ではありませんか。ツイッターの反応をTweetBuzz《若者のクルマ離れを食い止めるソーシャルアプリを!トヨタがアイデア公募》で見ましょう。

「このコンテスト、天下のトヨタ自動車の企画ですが、車離れの根本理由が消えないと意味なし!車は買うのも維持するのも多額のお金が掛かるので『だったら要らない』との結論が出ても変ではない」(happy415)、「安くて楽しい車を作ったらええねん。あと、商売抜きでモータースポーツに金使って夢を見せろや! F1参戦して面白い車で優勝しろ!」(semimaru)、「ソーシャルアプリ以前に、単純に『欲しい』と思えるクルマがトヨタに無いのだが…」(akoustam)とかなり散々です。もちろんアイデアがあり応募してみようと書いている方もいらっしゃいます。

トヨタの広告スポンサーとしての力は絶大ですからGREE、モバゲータウン、ミクシィといったプラットフォーム主要事業者の協力体制はがっちりです。アプリ企画応募は元になるアイデアだけでもよく、選定した優秀アイデア(最優秀企画賞金100万円)を年内いっぱいかけてアプリ開発し、サービス開始へ持っていくそうです。

【参照】インターネットで読み解く!「クルマ離れ」関連エントリー

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